【ライブレポート】WEAVER、“河邉徹、四半世紀誕生祭”スペシャルライブで音楽の喜びに溢れた気骨のパフォーマンス
はたしてその行列は、開演時間ギリギリまでNHKホールの壁際に続いていた。何のために並んでいるのだろうとしばし観察していたら、どうやら入り口脇に設置されたウェルカムボードの前で記念撮影をするためらしい。その巨大ボードは、今日のライブの告知ポスターなどでおなじみの河邉家の家族写真。共に写真に収まれば、まるで家族の一員になったかのような気分になれる、かどうかは人それぞれだろうけど、いずれにしろみんな一様に楽しそう。
◆<WEAVER Special Live 2013~河邉徹、四半世紀誕生祭~>ライブ画像
会場の中では、さらにこの日ならではの演出が。開演前に注意事項などを説明するアナウンス=いわゆるカゲアナが、河邉徹のお父さんによるものだったのだ───「息子の晴れ姿を一目見ようと、新幹線に乗って神戸よりやって参りました」
そして、終演後の「本日の公演はすべて終了致しました」というカゲアナを担当したのはお母さん。こうしてご両親の惜しみない協力のもとに開催された<WEAVER Special Live 2013~河邉徹、四半世紀誕生祭~>は、そのタイトルからイメージするお祭りっぽさよりも、むしろそのお祭り気分に乗じて、いつもより音楽的にぐっと踏み込んだバンドの気骨を感じさせるステージとなった。
のっけから、この疾走感だ。「トキドキセカイ」はこれ以上ないほどに突き抜けて、オーディエンスを一気に高みへといざなう。と、杉本雄治(Vo&Piano)が突然ピアノに飛び乗りハンドマイクを持つと、入れ替わるように奥野翔太(B)の両手が鍵盤へと伸びる。そのとき、奥野によるアバンギャルドな旋律と畳み掛けるような河邉のビートだけで紡がれた世界観に、私たちは確かに新しい景色を見た。生まれながらにして、WEAVERが持つ音楽的要素をてんこ盛りにした楽曲が、こうした機知に富んだ展開によってさらなる伸びしろを見せつけるのだ。これを遊び心とひと言で片付けてしまうのは、あまりにも乱暴に過ぎるだろう。事実、自由で自在なすべてのパフォーマンスが、彼らの確かなテクニックに裏打ちされている。
ちなみにこの日、アコースティックアレンジをほどこした「『あ』『い』をあつめて」では、奥野がアコースティックギター、杉本がアコーディオン、河邉がジャンベ(西アフリカのパーカッション)を鳴らし、杉本は終盤の「管制塔」でもアグレッシブなギターソロを聴かせた。後から本人に聞けば「めっちゃ緊張してました。ヒヤヒヤだったんですよ」と笑ったが、ステージで時おり聴かせるこのギターが実はすこぶる評判がいい。もちろんそれは、WEAVERのピアノバンドとしての存在がすでに確立されていればこそだ。メンバー自身もまた、今春行ったツアー<Piano Trio Performance>において自覚と自信を新たにしたことは想像に難くなく、なるほどすべてが成るべくして成ったこの日のライブだった。
終盤では、ニューシングル「夢じゃないこの世界」を筆頭に、彼らのピアノロックの真髄を存分に味わえた。目の前で命を吹き込まれていくかのように楽曲が躍動し、会場を大きく揺らす。WEAVERがステージで生み出すダイナミズムとスケール感は、こうした大きなホールにやはりよく似合った。そして本編ラスト「Free will」。杉本と河邉のパーカッションバトルを折り込みながら、ゆるやかに展開していく大きな、とても大きな歌。風が吹き抜けるように響き渡るストリングスと、河邉がハンドマイクを手にして拾いに行ったオーディエンス一人ひとりの声、声、声。みんなの歌声に包まれて、3人は嬉しそうな笑顔を見せた。このとき会場を満たした温かさは、そのままバンドの誇りとなっただろう。
さて、この日は言わずもがな<~河邉徹、四半世紀誕生祭~>としての側面も、オーディエンスの笑いを誘いながらたっぷりと。本編中盤では河邉の半生をたどるスライドショーに加え、高校時代からの友人同士である3人の懐かしい写真も堂々披露。アンコールではケーキも登場したし、こちらも殆どお約束だっただろう杉本の伴奏でオーディエンスが「ハッピーバースデー」を歌った。当の河邉はなんとも感極まった様子。
「泣きたいくらい幸せですっ!」(河邉)
鳴り止まない拍手と、あたたかな歓声と、そして次なる曲は「泣きたいくらい幸せになれるよ」。なるほど巧いね~と感心したのもつかの間、最後に待ち受けていた大きなトピックに客席からは歓喜の声が。なんと2コーラス目を河邉が歌ったのだ。想いのこもった歌だった。どこかつたなくて、ぎこちなかったけれど、でもその歌は“伝わる”歌だった。
誤解を恐れずに言えば、WEAVERは河邉徹の誕生日に“かこつけて”、今日までの感謝の想いをステージに散りばめたのだ。丁寧で贅沢なライブアレンジも、メンバーの意外な楽器使いも、そしてユーモアに満ちたMCも、つまりは全部彼らからの“ありがとう”だった。
「僕たちにとって一番の幸せを感じられるのが、このライブの瞬間です。今日はそんな瞬間をみんなと一緒に作れたんじゃないかなって、そう思っています。また一緒に、最高の景色を見ましょう!」(杉本)
ライブを観るたび伸びしろが増えていく。ライブを観るたび複雑になり、だけど同じだけ音楽の喜びに溢れていく。尽きぬ好奇心と底知れぬ探究心を持ち、それを満たすための努力を惜しまないバンドに、未来が扉を開かないはずはないだろう。そう、観るたび次のステージが楽しみになる。この夜のWEAVERも、それは当然のごとく。
文◎斉藤ユカ
『WEAVER Special Live 2013~河邉徹、四半世紀誕生祭~at NHK HALL』
発売日:6月30日(日)
価格 1,000円 全6曲(1曲250円)
iTunes限定で、6月29日(土)に開催された自身初のNHKホール公演<WEAVER Special Live 2013~河邉徹、四半世紀誕生祭~>からのライブ音源をリリース! 1夜限りのスペシャル公演音源を最速配信!
1.レイス
2.管制塔
3.1/4世紀
4.Shall we dance
5.Shine
6.Free will
i Tunes配信ページ
https://itunes.apple.com/jp/artist/weaver/id524560711
【オンエア情報】
6月29日(土)の「WEAVER Special Live 2013〜河邉徹、四半世紀誕生祭〜」のライブの様子と、翌日に行われた5組10名限定のレコーディングスタジオでのプレミアムライブの様子を独占放送!
『WEAVER Special Live 2013』
放送チャンネル WOWOWライブ
放送日時:2013年8月4日(日)夜11:00~
詳しくはコチラ http://www.wowow.co.jp/weaver/
※番組編成や内容は予告なく変更される場合がありますので、ご了承ください。
New Single「夢じゃないこの世界」
2013年6月26日発売
¥1,260(税込)
[初回プレス盤]AZCS-2025
※4曲目に「"WEAVER TV" CD special edition」と題して、WEAVER3人で語る爆笑トーク&秘話満載の約1時間番組を収録
[通常盤] AZCS-2026
1.夢じゃないこの世界
2.サマーチューン※『河合塾』CMソング
3.1/4世紀
■購入特典
CDショップ 先着予約購入特典決定
『オリジナル クリアファイル (A5サイズ)』
[対象店舗]
◆タワーレコード
◆TSUTAYA RECORDS
※一部、特典のお取り扱いがない店舗もございます。ご予約の際に店舗にご確認下さい。
◆アスマート http://www.asmart.jp/weaver
※特典数量に限りがありますので、無くなり次第終了となります。ご了承下さい。
LIVE DVD『WEAVER「Piano Trio Performance」LIVE at Zepp DiverCity』
2013年6月26日発売
AZBS-1013 ¥3,800(税込)
※アミューズ公式オンラインショップ“ASMART”限定発売
http://www.asmart.jp/
<Amuse 35th Anniversary BBQ in つま恋 ~僕らのビートを喰らえコラ!~>
7月13日(土) 静岡県・つま恋
7月14日(日) 静岡県・つま恋
http://bbq2013.com/
◆WEAVER オフィシャルサイト
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◆A-Sketch オフィシャルYouTubeチャンネル
◆WEAVER 「夢じゃないこの世界」インタビュー
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