【ライブレポート】KREVA、全国ツアーファイナル福岡公演で問答無用の多幸感「大丈夫。全部、俺が受け止めるから」

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KREVAが6月16日、福岡サンパレスにて全国ツアー<KREVA CONCERT 2013『SPACE TOUR』>の最終公演を行なった。2013年2月にリリースした6thアルバム『SPACE』を引っさげて、3月29日の埼玉公演からスタートしたツアーは、3ヶ月弱かけて最後の地、福岡にたどり着いた。

◆KREVA 画像

ヒップホップの方法論でEDMを昇華したサウンドデザインの独自性、ラップのスキルと精度、メッセージの説得力、そしてポピュラーミュージックとしての求心力。どの切り口から捉えても、KREVAならではのクリエイティビティが貫かれていた最高傑作が『SPACE』だ。リスナー の心と身体をしなやかに躍動させ、また豊潤に満たしながら、新たな感触に包まれた音楽体験へ導くこのアルバムの魅力をツアーで淀みなく体現すべく結成されたのが、スペシャル“半生バンド”である。もはやKREVAにとって“鉄壁の右腕”となったMPC&DJの熊井吾郎に加え、ベー スにしてバンドマスターの岡雄三、キーボードの菱山正太、ドラムの白根佳尚とともに半生(音)スタイルのサウンドを紡ぐことで、リスナーにダイナミックかつセンシティブな『SPACE』の世界観を立体的に体感してもらおうという狙いである。そして、その狙いは、ライブのスタートと同時に具現化された。

ステージに張られた紗幕に映し出される宇宙空間。アルバム同様、オープニングへのブリッジとなるインタールード「space4space 1」が会場に流れると、オーディエンスが歓喜の声を上げる。今度は扇情的なシンセフレーズが高らかに鳴り響く。1曲目「SAPCE」のそれだ。紗幕に浮かび上がるKREVAのシルエット。いうまでもなく、歓声がひと際大きくなる。白根が叩く人力ブレイクビーツを浴びながら、アルバム『SPACE』全体の骨子となるリリックを威風堂々としたフロウで刻んでいくKREVA。そのまま2曲目「Feel It in The Air」のイントロに入ると同時に紗幕が落ち、まずKREVAが登場。次にサビのタイミングでパン!という破裂音とともにKREVAの背後にかけられていた白幕が落ち、“半生バンド”のメンバーがその全貌を現す。以降、序盤は“攻め”のセットで畳み掛けた。KREVAの最高にスキルフルかつアグレッシブなラップとせめぎあう“半生バンド”のサウンドは、どこかロック的な迫力さえたたえてオーディエンスに向かっていった。

要所要所に比較的長いMCが挟み込まれるのも今回のツアーの特徴だ。前作『GO』の全国ツアーでは、あえて本編中にMCを一切しないストイックなスタイルで臨んだKREVAだったが、このツアーは硬軟絶妙なMCがとても重要な役割を果たしていた。MCで最大のポイントになって いたのは、“自由なマインドとモーションでライブを楽しんでほしい”というKREVAの願い。何も、会場全体が同じタイミングで手を挙げ、上下に振ることがヒップホップのライブの楽しみ方ではない。音に身を委ね、自分が踊りたいように踊ってほしい。時に感動のあまり立ち尽くしたっていい。リズムの取り方や全身の動きにこそ、音楽を受け取るその人の個性が浮き彫りになる――。「大丈夫。全部、俺が受け止めるから」と KREVAは言った。オーディエンスひとりひとりの“音楽を楽しむ豊かなスペース”を提供する。それもKREVAにとってこのツアーの大切な テーマだった。

近年、椅子席の会場では恒例となっているオーディエンスに着席してもらう中盤のセクション。オートチューンをフィーチャーした「I Wanna Know You」を皮切りにメロウな楽曲を重ねていく。なかでも『SPACE』を代表する楽曲であり、KREVA自身「いままで俺が作ってきたなかで最高の曲」と言ってはばからない、メロディアスに跳躍するワルツ「ma chérie」が何しろ素晴らしかった。“半生バンド”の豊かな奥行きと説得力抜群の躍動感に満ちたグルーヴが、着席を経てクールダウンしたオーディエンスの熱量をじっくり高めていく。そのとき、ラップし歌い舞い踊るKREVAも含めて、誰もが自由なあり方で音楽と共鳴していた。それは、紛れ もなくKREVAがこのツアーでもっとも希求していた光景である。そこからライブの様相は右肩上がりにエモーショナルになっていった。

「明後日、6月18日は俺の誕生日で。俺の誕生日=デビュー記念日でもあって、その日からソロ活動10年目に突入します。俺がソロを始動したころは、一気に日本の音楽シーンのトップに入り込むと思っていたんですけど。スピッツ、ミスチル、俺、みたいな気持ちでやってきたけど (笑)、10年やってみてわかるのはそんなに簡単じゃない。でも、だからこそ、ひとつのことに打ち込むといくらでも学ぶことがあるし、音楽っ て深いなと思う。そして、こうやってみんなの顔を見て、そしてさっきみたいに音を楽しんでいる姿を見たら、まだまだいけるって気になります」

終盤に差し掛かったあたりでSONOMIを迎え、「ひとりじゃないのよ」や彼女の新曲「遠くまで feat.KREVA」なども披露。そして、「KILA KILA」~「space4space 4」~「Na Na Na」という本編ラストの流れで、『SPACE』を巡るKREVAとオーディエンスの熱気はピークに達した。アンコールでは「バイトルドットコム」のCM ソングとして書き下ろした「BESHI」もプレイ。ソリッドな迫力に満ちた楽曲の求心力をもって、“『SPACE』以降”のモードを示した。オーラスを飾ったのは「Have a nice day!」。問答無用の多幸感が会場に広がり、「KREVA CONCERT 2013『SPACE TOUR』」は大団円を迎えた。

そして、ここからKREVAはソロ活動“10年目”を迎える。「派手に動く」と予告する来年の“10周年”へ向けたその動向を、つぶさに追いかけるべし、である。

文◎三宅正一(ONBU)

<KREVA CONCERT 2013「SPACE TOUR」>
3月29日(金)埼玉 三郷市文化会館 大ホール / ディスクガレージ 050-5533-0888
3月30日(土)栃木 栃木県総合文化センター / ディスクガレージ 050-5533-0888
4月05日(金)鹿児島 鹿児島市民文化ホール 第二 / キョードー西日本 092-714-0159
4月07日(日)佐賀 鳥栖市民文化会館 / キョードー西日本 092-714-0159
4月13日(土)北海道 札幌市民ホール / WESS 011-614-9999
4月20日(土)兵庫 神戸国際会館こくさいホール / 夢番地大阪 06-6341-3525
4月21日(日)愛知 日本特殊陶業市民会館フォレストホール / サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
4月23日(火)神奈川 神奈川県民ホール 大ホール / ディスクガレージ 050-5533-0888
4月27日(土)香川 サンポートホール高松 / デューク高松 087-822-2520
4月29日(月・祝)静岡 静岡市民文化会館 大ホール / サンデーフォークプロモーション 054-284-9999
5月03日(金・祝)新潟 新潟県民会館 / キョードー北陸 025-245-5100
5月05日(日・祝)青森 青森市民ホール / キョードー東北 022-217-7788
5月06日(月・休)宮城 仙台サンプラザホール / キョードー東北 022-217-7788
5月11日(土)大阪オリックス劇場 / 夢番地大阪 06-6341-3525
5月12日(日)大阪オリックス劇場 / 夢番地大阪 06-6341-3525
5月25日(土)東京 東京国際フォーラム ホールA / ディスクガレージ 050-5533-0888
5月26日(日)東京 東京国際フォーラム ホールA / ディスクガレージ 050-5533-0888
6月01日(土)沖縄ナムラホール / PMエージェンシー 098-898-1331
6月11日(火)石川 金沢エイトホール / キョードー北陸 025-245-5100
6月13日(木)長野 長野CLUB JUNK BOX / キョードー北陸 025-245-5100
6月15日(土)広島 上野学園ホール / 夢番地広島 082-249-3571
6月16日(日)福岡 福岡サンパレス / キョードー西日本 092-714-0159

アルバム『SPACE』
2013年2月27日(水)
◆完全限定生産盤(6,908セット限定)【スペシャルBOX+CD+DVD+オリジナル壁掛け時計】
¥6,908(tax in)/PCCA-06908
◆初回限定盤【CD+DVD】
¥3,300(tax in)/PCCA-06909
◆通常盤【CD only】
¥2,800(tax in)/PCCA-06910
1.space4space 1
2.SPACE
3.Feel It In The Air
4.ma cherie
5.王者の休日
6.space4space 2
7.俺は Do It Like This
8.調理場
9.言ってなカッタカナ?
10.OH YEAH
11.space4space 3
12.Space Dancer
13.Link
14.space4space 4
15.Na Na Na
DVD(完全限定生産盤/初回限定盤)
・Music Video「OH YEAH」、「Na Na Na」、「王者の休日」(color ver./monochrome ver.)
・メイキング「王者の休日」、「SPACE」
・Trailer「908 FESTIVAL」

ライブBlu-ray & DVD『908 FESTIVAL』
2013年3月20日(水)発売
Blu-ray ¥5,800(tax in)/PCXP-51908
DVD ¥4,800(tax in)/PCBP-57908
00. dj908+熊井吾郎
[OPENING SE]
01. PROPS feat. KEN THE 390, LB, HI-SO, KLOOZ, サイプレス上野
02. マカー GB-mix feat. AKLO, L-VOKAL(BETTER HALVES)
03. ハヒヘホ feat. SHINGO★西成
04. 挑め Remix feat. MCU & LITTLE
05. I REP feat. DABO, ANARCHY, KREVA
■SECOND STAGE / SONOMI
06. SUMMER
■雅-MIYAVI-
07. WHAT'S MY NAME?
08. DAY 1 with KREVA
09. STRONG with KREVA
■SECOUND STAGE / AKLO
10. RED PILL
■[全員 座ってみましょうコーナー]音楽劇
11. 中盤戦 feat. Mummy-D
■SECOND STAGE / サイプレス上野
12. よっしゃっしゃっす〆
■KREBand
13. パーティーはIZUKO?
14. 瞬間speechless
15. 音色
16. ビコーズ
17. ひとりじゃないのよ feat. SONOMI
18. NO NO NO feat. SONOMI
■SECOND STAGE / KEN THE 390
19. DREAM BOY
■KREVA
20. OH YEAH
21. Have a nice day!
22. 成功
23. No More Mr.NiceGuy feat. KEN THE 390, AKLO
24. くればいいのに feat. 三浦大知
25. 蜃気楼 feat. 三浦大知
26. Your Love feat. KREVA
27. Na Na Na
28. KILA KILA
29. 基準
■ENCORE
30. C'mon, Let's GO

◆KREVAオフィシャルサイト
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