【インタビュー】miwa、3rdアルバム『Delight』の新たな挑戦「このアルバムが2010年代の新しい音楽になったらいいな」

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2010年のデビュー当時、現役女子大生であることも話題となったシンガーソングライターmiwaは、小さな身体で抱えるようにギターをかき鳴らす姿やキュートな笑顔、等身大の飾らぬ想いが綴られた歌詞を伸びやかな歌声と親しみやすいメロディに乗せた楽曲で、多くの音楽ファンを魅了してきた。2012年、ドラマ主題歌として放ったシングル「ヒカリヘ」は、これまでのギターを軸としたサウンド感とは一線を画すエレクトロ&ダンスビートにチャレンジ。その新たな挑戦は、賞賛を持って受け入れられた。そして5月22日、大ヒットシングル「ミラクル」「ヒカリヘ」「ホイッスル ~君と過ごした日々~」を含む全11曲を収録した1年2ヶ月ぶりの3rdアルバム『Delight』がリリースされる。この春、大学を卒業し、より真摯に音楽に向き合う中で作り上げられた本作は、サウンド的にもアレンジ的にも新たな挑戦に溢れたものに仕上がっている。そのこだわりについてはもちろん、制作する過程で見えた壮大な“想い”まで、miwaがたっぷりと語ってくれた。

◆miwa 画像

■“今、自分は狭間に立ってるんだ” “環境の変化に戸惑ってるんだ”ということが認識できた
■“音楽の力で多くの歓びをもたらしていきたい”という気持ちがアルバム全体のテーマ

──早速ですがニューアルバム『Delight』のお話を。本作は3作目のアルバムということもあって、1作目や2作目と比較すると、より能動的に制作できたのでは?

miwa:そうですね。デビュー前は弾き語りで歌ってて、1stシングル以降にバンドサウンドと出会ったんですね。それからバンドにすごく興味を持つようになって、生楽器でセッションしたり、一発録りにこだわってチャレンジした曲もあったんです。それに、プロデューサーのNaoki-Tさんとはデビュー前から一緒に楽曲アレンジをしているんですが、ストリングス収録現場に立ち会ったり、マスタリング作業とかレコーディング過程のすべてを見せてもらったことで、制作自体に面白さを感じていたので。これまでに見たり体感してきた音楽への興味やこだわりが、どんどん実現しやすい環境になっているという実感はありますね。

──アルバム収録曲の多くがNaoki-Tさんによるプロデュースで、miwaさんと作曲を共作した楽曲もあります。プロデューサーとはどんな話をしながら作っていくんですか?

miwa:まず話すのは、最近聴いてる音楽の話。お互いに同じようなものを聴いてたり、いいなと感じるポイントが近かったりするんです。だからあまり説明しなくても、まずはやってみようかって感じで、すぐに音にしていける感じがあります。

──アルバムのタイトル曲であり、オープニングナンバーの「Delight」は、これまで幾つかチャレンジしていた打ち込みサウンドをさらに進化させたものですが、この曲もそんな会話から生まれたもの?

miwa:まさにそうですね。1年くらい前から、スケールの大きい、大地を思わせるようなサウンドに反応してる自分がいて。それをずっと形にしたいって思ってたんですけど、なかなかタイミングがなかったんです。2012年12月からアルバム『Delight』の制作期間に入ったので、ようやくトライしたかったことを実現できました。

──具体的に、それはどんな挑戦でした?

miwa:新しいサウンドなので、メロディも今までの自分にない構成にしたかったんです。変拍子に挑戦したことも初めてだし、音程のレンジがすごく広い。その結果、エモーショナルだけど壮大さも感じられる新感覚の楽曲になったと思います。元々の曲作りに関していえば、自然に出てくるメロディって鼻歌だったりしたんですね。それを基に打ち込みでラインを加えていくという。「Delight」は特に、自分が作ってこなかったメロディを意識的にあえて選んだものなんです。それを打ち込んでから聴き直して、実際に歌ってみて“新しくていいな”って感じたものを採用していきました。

──「Delight」は、miwaさんの新しさを象徴する楽曲なので、もう少しお聞きしますね。歌詞はすんなり書けましたか?

miwa:すっごい悩みましたね(笑)。サウンドが新しいものだったので、歌詞もそれにふさわしいものにしたくて大事に書いていきました。曲のスケール感や世界観は、初めて耳にする言葉で決定づけられると思うんですね。だから最初の3音の言葉がなかなか決められなくて。いろんな言葉をあてはめては“これは違うな”の繰り返しでした。

──ある意味、自身の決意を感じさせる歌詞となりましたが?

miwa:アルバム制作は「Delight」からスタートしたんです。音楽的にはいろいろやってみたいことがあったんですが、歌詞でどんなことを伝えたらいいか分からなくて……最初はほぼ真っ白な状態でした。何を書けばいいか分からないから、歌詞というよりも、とにかく思いついたことをノートにどんどん書いていったんです。そうしたら自分が感じていたことに改めて気づけた。この過程がなければこの曲はもっと違うものになっていただろうし、自分の心境の変化に気づくことも遅れて、モヤモヤしたままだったかもなぁって。実際にたくさんの言葉を書いたことで、“今、自分は狭間に立ってるんだ”“環境の変化に戸惑ってるんだ”ということが認識できたんです。そこから“新しい扉を開きたい”という想いが生まれて。“音楽の力で多くの歓びをもたらしていきたい”という気持ちが、この曲はもちろんアルバム全体のテーマになりました。「Delight」をはじめ、アルバム収録曲には、新しい音楽を作っていきたいという自覚的な言葉がたくさん入っていると思います。

──デビューからすごく順調な3年間に見えたけど、変化もあったし、実は不安も感じていたということも?

miwa:大学に居ればみんなと同じ学生だし、いろんな選択肢もあるんだって思えていたんですね。それが音楽と日常生活のバランスを取ってくれたり、心の余裕にも繋がっていました。大学を卒業してそのバランスが変化したことで、音楽の重みがすごく増して、意志も強くなったと思います。ただ、社会人になった4月はスケジュールがかなり詰まってて(笑)。まだアルバムも制作中で、プロモーションもテレビ収録とかが重なったときはホントに大変でした。マスタリング作業が深夜3時頃までかかったあと、午前中から音楽番組の収録が入っていたりすると本当に1日が長いんです(笑)。休みの日にやりたいことをリストアップしてたんだけど……。

──その夢はもろくも崩れたという(笑)?

miwa:そう(笑)。アルバムの制作作業が終わったらこれをしたい!と楽しみにしてたこともあったんですけど、1月くらいに、どうやらこのまま5月ごろまで忙しそうだなって何となく気づいて。最近、やっとペースが掴めるようになりました(笑)。

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