【ライブレポート】WEAVER、全国ツアー完遂。「僕達にしか作れない景色を描けたら。そう思って今日までやってきました」

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この日のステージを観れば、すべてが一目瞭然だった。彼らがどれほど強い想いで、アルバム『Handmade』をセルフプロデュースしたのか。どれほどの自信と確信を得ながら、今回のツアー<Handmade TOUR 2013『Piano Trio Performance』>を回ってきたのか。答えはちゃんと、このファイナルにあった。

◆WEAVER ライブ画像

4月21日、Zepp DiverCity。2400人の期待に満ちた歓声が、笑顔の3人を迎え入れる。そして最初の一音が鳴り響いた刹那、オーディエンスはオープニング「Performance」の世界へと一気に引き込まれた。杉本雄治のピアノ、河邉徹のドラム、奥野翔太のベース、それぞれが大きく躍動し、音はひとつの大きな塊になっていく。そこにあふれるダイナミズムは、おそらく2012年のライブハウスツアー以降に培われた“3人で鳴らす音”への自負、つまりピアノトリオであることの誇りによってもたらされたものだろう。

めくるめくようなライティングの演出も手伝って、視覚的にもすこぶる刺激的な場面だった。言うまでもなく、オーディエンスはこのオープニングですでにヒートアップ。「管制塔」のエモーショナルなサウンドに沸き立ち、グランドピアノの上に飛び乗った杉本のパフォーマンスに歓喜する。

それにしても、彼らのサウンドのふくよかさといったら!  WEAVERには上質なメロディーと伸びやかな歌声という揺るぎない核心がそもそも築かれていて、だからこそサウンドの自由度が高いのだが、彼らはこの日、それを最大限に活かしたステージワークを見せた。ピアノはおそろしく饒舌で表情豊かだし、リズムはどこまでもパワフルにしてグラマラス。オーディエンスと呼応しながら強く刻まれていくビートに乗って、WEAVERのピアノロックは輝きを放った。

中盤には、ちょっとしたユーモラスな場面も。カシオぺアが名曲「DOMINO LINE」の中で観せる通称“ドミノ倒し”(プレイヤーが16分音符をひとつずつずらして鳴らす)を、WEAVERバージョンで披露。河邉→杉本→奥野→杉本の順番で、最初はゆっくり、やがてはハラハラするほどにスピードアップして、会場を大いに盛り上げた。最後はアクロバティックな印象すら覚えるほどで、なるほど彼らの底力は並大抵ではないなと感じ入る。今さらながら、音を楽しむと書いて、音楽。オーディエンスには確かに、その楽しさが伝わったはずと思う。

「4月なのにめっちゃ寒かったけど、いいライブだったなって、そう思ってもらえるようなライブにしたいと思います」(杉本)

多大な熱量を発しながらの、丁寧なライブアレンジが心に残った。「ふたりは雪のように」のアウトロでドラムがフェードアウトしたそばから、ピアノがフェードインして「泣きたいくらい幸せになれるよ」。そして「アーティスト」での次第に高ぶっていく旋律が、会場を大きく揺さぶった。コミカルなメンバー紹介をはさみながらのメドレーも会心の出来で、すべての音が不可分的に結びつき、とめどなくステージからあふれてくるようだった。

そして怒濤の終盤。会場限定販売されたシングル「Just one kiss」に収録された「春に」は、メインボーカルを奥野が初めてつとめて会場の盛り上がりに拍車をかける。河邉と杉本のパーカッションバトルや、「トキドキセカイ」で聴かせた杉本の伸びやかなアカペラにも惜しみない拍手が送られた。

「ひとつとして同じライブはないんです。僕達にしか作れない景色を描けたらなって、そう思って今日までやってきました」(杉本)

目の前に広がるのは、まさにWEAVERにしか描けない景色。ウッドベース、ピアノ、ブルースハープが響き合う「The sun and clouds」を本編ラストに持ってきたところも心憎かった。大時代的ともいえる埃っぽいサウンドをギターレスで紡ぐなんて、おそらく大きなチャレンジだったに違いないが、彼らはこのピアノロックに絶対的なオリジナリティを打ち立てていた。大きなグルーヴでぐっとオーディエンスを引きつけ、もうこれ以上はないという高みでパッと解き放つ。情感あふれる、素晴らしいエンディングだった。このライブ、このツアーファイナルが、次への始まりであることを疑う人は、この会場の中にはおそらくひとりもいなかっただろう。

WEAVERは間違いなく今、大いなる成長期にある。貪欲さも吸収率も、見るからに半端ない。今回のツアーで積み上げた経験値がいかほどかも、きっとすぐに何らかの形で表れてくるはずだ。まずは、6月26日にリリースされる1年半ぶりのシングル「夢じゃないこの世界」と、同29日にNHKホールで行われるスペシャルライブを楽しみにしていたい。

文:斎藤ユカ

■SET LIST
1.Performance
2.Shall we dance
3.管制塔
4.白朝夢
5.Reach out
6.風の船 ~Bug's ship~
7.ふたりは雪のように
8.泣きたいくらい幸せになれるよ
9.アーティスト
10.Medley of performance
11.春に
12.Shine
13.Free will
14.ティンカーベル
15.トキドキセカイ
16.The sun and clouds
-アンコール-
17.Just one kiss
18.僕らの永遠~何度生まれ変わっても、手を繋ぎたいだけの愛だから~

New Single 「夢じゃないこの世界」
2013年6月26日発売
[初回プレス盤]
AZCS-2025 ¥1,260(税込)
[通常盤]
AZCS-2026 ¥1,260(税込)

LIVE DVD『WEAVER「Piano Trio Performance」LIVE at Zepp DiverCity』
2013年6月26日発売
AZBS-1013 ¥3,800(税込)
※アミューズ公式オンラインショップ“ASMART”限定発売
http://www.asmart.jp/

<WEAVER Special Live 2013~河邉徹、四半世紀誕生祭~>
6月29日 (土) 東京・NHKホー ル
プレリク1次抽選先行受付:5月3日(金)~5月9日(木)23:00
プレリク2次抽選先行受付:5月13日(月)13:00~5/19(日)23:00
http://l-tike.com/concert/weavernhk/
一般発売:5月25日(土)10:00~

<Amuse 35th Anniversary BBQ in つま恋 ~僕らのビートを喰らえコラ!~>
7月13日(土) 静岡県・つま恋
7月14日(日) 静岡県・つま恋
http://bbq2013.com/

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