【インタビュー・後編】CREAM「毎日夢を追いかけてる人のBGMになるような作品にしたい」

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シンガー・ソングライターのMinamiとラッパー/トラックメイカーのStaxx Tから成るニューカマー・CREAM。TERIYAKI BOYZ(R)やVERBALへのフィーチャリング参加、m-floや安室奈美恵、BoA、V6などを始めとする他アーティストへの詞・曲提供など、個々のクリエイターとしての才能もいかんなく発揮している彼らが、2013年2月27日にメジャーデビューアルバム『DREAMIN'』をリリースした。

そこで敢行されたCREAMのふたりへのインタビューの後編をお届けしよう。今回は、オリジナル楽曲やライブ映像のほか、名曲のカバーやリミックスなど様々なコンテンツを精力的にアップしているYouTubeチャンネル“CREAM VISION”の話から。

  ◆  ◆  ◆

── “CREAM VISION”のカバーは、どんなポイントを選曲の基準にしているんですか?

Minami:“CREAM VISION”に関しては、自分達が好きな曲っていうのが基本ですね。再生回数どうのこうのっていうよりは、まずは、このアーティストが好きだし、この曲が好きだ知っていう純粋な理由なんです。

Staxx T:うん。あとは、選ぶときに気をつけてたのは、同じアーティストの曲ばっかりをやっても広がらないだろうっていうのがあったんで、幅広く……。国も、ジャンルも、アーティストも全部幅広くやることによって、例えばリアーナのカバーをやればリアーナのファンの人が観てくれる可能性がある。

── なるほど。たとえば山下達郎さん、今井美樹さん、宇多田ヒカルさんのような日本人なら誰でも知っているような名曲もあれば、今もお話に出たリアーナ、他にもデヴィッド・ゲッタなどの海外の最新の音楽もカバーされていて。そうすれば、日本のリスナーだけじゃなく、海外のリスナーもSNS経由で繋がる可能性がある。

Staxx T:そうそう。だから、韓国のグループでも、例えばBIGBANGばっかりじゃなくて2NE1もやったり、日本なら最近だと玉置浩二さんをカバーさせてもらったり、本当に幅広く……。もっと時代を戻ると、今井美樹さんの「PRIDE」だとか、その曲をリアルタイムで聴いていた人が僕達のカバーを良いと思ってくれたら、世代を越えてCREAMを好きになってもらえるかもしれない。年齢の壁って、結構大きいと思うんですよね。リアルタイムで聴いてた音楽と、今聴いてる音楽って、たぶん年齢によって違ってくると思うし。「どうしても、今どきの音楽って好きになれない……」っていうようなところを、色々な人達が知っているであろう曲をカバーして、世代の壁をひとつ壊すことで、その後に僕達の曲を聴いてもらえるきっかけになるんじゃないかなって。原曲が好きな方がそれでも嫌いって感じるならもちろん仕方ないですけど、「この子たち、若いけどなんか良いじゃん!」っていう人が僕達と世代が離れている方の中に、もしいてくれたら……。その方々も“CREAM TEAM”になるわけですし。(CREAMを支えるすべての人を、”CREAM TEAM”と呼んでいる)

Minami:そう。だからこそ、原曲の良い要素は取り入れて、なおかつラップだったり、男性の曲でも私が歌ったりするので、そういう部分で“CREAMらしい”ところを表現するっていうことは意識してますね。あと、ヒップホップっていうジャンル自体に、「うっ……」ってなる人も多いと思うんですよ。特に、日本では。「私達ヒップホップだぜ!」みたいな雰囲気とかにちょっとしり込みしてしまう感じの人もきっといると思うんで、その壁をなくして、「これ、“音楽”だよ!」ってみんなで聴けるものを作りたいし。

Staxx T:こっちから聴く人を限定したくないっていうのがあるんですよ。ジャンルをあまりにも絞りすぎると、例えば僕が一人でゴリゴリのヒップホップをやってたら、それが好きな人にしか聴いてもらえないだろうし。それじゃあ僕達の音楽と永遠に出会えない人達がすごく多いと思うんですけど、間口を広げることでたどり着いてくれるっていうのは絶対にあると思うんで。

── BARKSでは2月に開催されたアルバムリリースパーティーをレポートさせていただきましたが、あのときの客層も確かに幅広かったですね。熱いファンが集まってすごく盛り上がりましたが、その後のリリースツアーの手応えはいかがですか?

Staxx T:僕達は、まだ行ったことない地方っていうのがたくさんあるんですよ。で、僕達が特にお世話になっている土地だと、例えば九州でも今回のツアーで長崎、鹿児島、宮崎は初めて行かせていただいたんですけど、初めての会場でも「待ってたよ!」っていう反応はすごく感じましたし。九州全域を一緒に回ってくれる熱心な“CREAM TEAM”がいたり、一番最近行った静岡でも、そのクラブの土曜日の集客の最高記録にかなり近づくぐらいの集客があったり。全国どこもかなり盛り上がってくれているので、手応えはすごくあります。もちろん、もっと大きな会場とか色んなところでやってみたいとか良い意味で満足はしないっていう気持ちはありつつも、僕達が初めて回っている全国ツアーにそういう“CREAM TEAM”のみんながいてくれるのは、本当に嬉しいですね。

Minami:うん。初めてのツアーでそれだけの人達が全国で来てくれるのは、やっぱりYouTubeのおかげかなとも感じたり。

Staxx T:そうだね。“CREAM VISION”は、現在で、再生回数が1300万回を突破しました。CREAMのことを知るきっかけは、やっぱり“CREAM VISION”が多いみたいですね。人気のある曲をYouTubeで観ようと思ったら、その関連動画で僕達が“CREAM VISION”でカバーした映像をたまたま観てみたらすごく良くて、っていうのが多いみたいで。

── そのリリースツアーでたっぷり披露しているのが『DREAMIN'』収録曲なわけですが、今回のアルバムは、作品全体を通して何かテーマ的なものを掲げていたんですか?

Staxx T:アルバム全体をまとめる大きなテーマは、“DREAMS & REALITY(夢と現実)”なんです。一番最初にMinamiとコンセプトを考えていたときに、“共感”するっていうことの大事さみたいなことを話してたんですね。音楽って、耳で聴いてそのサウンドが気持ち良いプラス、言葉が胸に刺さるからグッと来るわけじゃないですか。それって、例えば僕がDragon Ashさんの曲をずっと聴いてたときに、彼らのメッセージにすごく心打たれてた部分とも通じるというか。自分が思ってることを素直にぶつけるから相手の心に刺さるんだろうし、だからこそ、そこに嘘があってはいけない。そういう、僕達が嘘なくぶつけられるメッセージって何だろうって考えた中で導き出されたのが、“DREAMS & REALITY”っていうコンセプトで……。“DREAMS & REALITY”は、それこそ、僕達がアルバムが出せるか出せないかも分からなかった状態のときに考えたコンセプトだったんですよね。夢に向かって突っ走ってるけど、なかなか形にはならなくて。人生って、甘いときもあれば酸っぱいときもある。その甘酸っぱい感じを、甘いところばかりを書かないことがリアルなんじゃないか、だからこそ共感してもらえるんじゃないかと思っての“DREAMS & REALITY”なんです。

── 確かに、「Shooting Star」、のようなポジティブな雰囲気に満ち溢れた曲もあれば、「Nightmare」のようなシリアスな物語もあり……。“夢と現実”の両方が、アルバム全体通して描かれているっていう。

Minami:そうですね。あと、例えば「Fireworks」みたいな切ない曲もありますけど、その中でも、ただ切ないだけで終わらないように。

Staxx T:うん。どこかしらポジティブな要素は、ね。

Minami:そう。トンネルの先の光、じゃないけど。CREAMの曲には、どんなに切ない曲でも、悲しい曲でも、ポジティブな感覚は必ず入れたいと思ってるんです。

Staxx T:そういう二面性がないと、リアルじゃないですもんね。例えば「Whatever feat. WISE & Tarantula(Spontania)」みたいな、「パーティー楽しい! でも、明日仕事だ……。でも遊んじゃえ!」っていう曲もあれば、「Money Money Money」はもうそのまま「お金が無い、けどまぁいいや!」みたいな。“まぁいいや!”感で楽しいけど、“お金が無い……”っていう現実も、実際にはあるじゃないですか。10代のころは結構夢見がちな感じで「いやぁ、いけるっしょ!」みたいな感じだったけど、「いけない日もあるんや……」みたいな、その苦い感じも隠さずに僕は曲の中に入れたかったんです。それが“REALITY”だし、要は、「人生、上手くいかないこともあるけど諦めんなよ!」っていうこと。このアルバムを通して伝えたいのは、夢を追いかけることの素晴らしさなんです。夢が無くてさまよってる子もいれば、夢を諦めちゃう人もいると思うけど、でも、人生、何か一つでも希望を握り締めていないと楽しくないっていう。そういう、毎日夢を追いかけてる人のBGMになるような作品にしたい、そこに結びつくような曲をいっぱい作ろうっていう思いから、このアルバムの全ての曲は生まれたんです。

text by 道明利友

◆【インタビュー・前編】CREAM「小学校6年くらいでボブ・マーリーにすごいハマッたり……。」
◆BARKS インタビューチャンネル
◆CREAM オフィシャルサイト
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