【インタビュー】CREAM「“聴こえることを目的としている耳栓”って新しいですよね」
ミュージシャンにとって聴覚は何より大事なもののはず…なのだけれど、現実は皮肉なものだ。音楽家やプレイヤーに限らず音響チームや音楽関連の現場スタッフの多くも、常に聴覚を痛めてしまう危険性と背中合わせにある。爆音にさらされる環境に身を置くことが多く、音量が大きくなくとも長時間ものあいだ音楽に触れていることが、聴覚への多大な負担となるからだ。もちろん、熱烈な音楽リスナーにも同じくリスクはつきまとっている。
爆音や長時間の音楽にさらされる環境下では、耳栓をつけることで聴覚ダメージへのリスクを大幅に改善することができるが、「音楽を聞くときに耳栓?」「音を小さくするなんてナンセンス」…と、耳栓にはネガティブなイメージがつきまとう。なによりかつての耳栓は文字通り耳を栓するだけのものばかりで、音をカットさえできれば、使い心地やデザイン…ましてや音質などは気にしないというものばかりだったからだ。
昨今のフェス文化/クラブ遊びがスタンダードとなった今では耳栓も大きく進化を遂げ、LOOPのような「音楽を快適に楽しむために生まれた耳栓」も世に現れ、世界中から高い評価を得ている状況にある。ここではそのLOOPを肴に、CREAMのふたりからミュージシャンの聴覚保護事情を聞いてみた。
──「耳をケアする」ということについて、ミュージシャンってどの程度意識を持っているものでしょうか。
Minami:その意識を一番持っていなければいけないのに、意外とないかもね。
Staxx T:もともとミュージシャンって、爆音で音楽を聴くのが好きだったりしますよね。「音が大きければ大きいほど気持ち良い」みたいな感覚の人も多いと思うから、音楽を気持ちよく聴いているときは、耳が危ないなんてまったく感じないし、耳を守らなきゃっていう意識は薄いかもしれない。でも、音楽以外の雑音…たとえばパチンコ店や工事現場などのうるさい場所や、ハウリングのようなノイズに感じる音に関しては「あー、こんなうるさい音を聴いていたら耳がおかしくなっちゃうよ」って思うよ。
──音楽を仕事にしている現状で、耳に不調を感じたことはありますか?
Minami:私は大丈夫かな。でも、全国のクラブを回って思うのは、ハイの音がきつめに設定されてるクラブ…多くない?
Staxx T:多い。たまに1~2日くらい耳がおかしいなと思うときもある。でもそれはストレスからくるものだったりもするから、爆音が原因なのか分からないんだけどね。音楽は、ついつい爆音で聴いてしまうな。イヤホンの性能が上がったのか、スマホの出せる音量が変わったのかは分からないですけど、7割ぐらいでも耳が壊れるぐらいの音量が出るから、僕よりも大きい音を出して音楽を聴いている人も多いかも知れない。そういうことを日々繰り返していると、知らず知らずのうちに耳を痛めているんでしょうね。
──大音量もすぐに慣れてしまうのが怖いところで。
Staxx T:大音量に慣れてしまうっていうのは、普通に聴こえているものが聴こえなくなっているってことですもんね。そうなってしまっても、耳は元の状態には戻らない。僕、小学生のときに聴力検査の結果がめちゃめちゃ良かったんですよ。目が悪い代わりに耳がめっちゃ良いんだと思っていました。それが、大人になってから検査したら高音が聴こえづらくなっていて、多少なりとも耳は悪くなっていくものなんだなと思った。耳が一番大事な商売道具なのに、それがなくなっちゃったら…と思うと大事にしますよね。大人になってから意識するようになりました。
Minami:ハイのきついクラブに行ったときは、耳を手で塞いでしまうよね。でもそうすると音楽自体を楽しめない。そういうときにLoopみたいなバランスよく音量を下げてくれるアイテムがあれば、もっと気楽に音楽を楽しめるのかな。普通の耳栓って、音が聴こえなくなっちゃうだけでしょ?
Staxx T:普通の耳栓は「音を聴こえなくするだけのアイテム」だもんね。「聴こえることを目的としている耳栓」って新しいですよね。「音が聴こえなくなったら意味がない」という人たちが使うものだから、通常の耳栓とはまったく用途の方向性が違うわけで。
▲Minami with LOOP(Gold)
▲Staxx T with LOOP(Black)
──CREAMの音楽仲間の耳事情はいかがですか?
Staxx T:僕らは身体で感じるグルーヴを求めるので、レコーディングでも「爆音で聴かせてくれ」って言ったりするんですけれど、スタジオにいるMIXエンジニアさんは、すぐに部屋から出たりしますよね。耳がおかしくなって正しい判断ができなくなるのを避けるために。
Minami:ライブで会うときは、みんな必ず耳栓してますね。
Staxx T:「音についてまともな判断ができなくなったら困る人」「音にまつわる職業の人」は、耳を守ることがもっと大事なのかも知れませんね。多分そういう人たちも本当は爆音好きなんでしょうけど、耳の大切さをよりシビアに知っている。
──バンドを演っている人も、爆音にさらされがちですよね。
Staxx T:あんなにでっかい音が出る楽器たちを至近距離でかき鳴らしてるわけだから、耳へのダメージが如実に出るかもしれないですね。EDM系のクラブでハイの音をギャンギャン鳴らして営業しているところの音響さんも、ハイが麻痺して分からなくなっていたりしますよ。クラブに行ったことのない人が「クラブってこんなにうるさいの?」って思われたら悲しいけど、耳って個人差があるからLoopのようなアイテムがないと、同じ空間で共存することも難しいかもしれないね。
──そうですね。耳を守ってくれる「音楽を聴くための耳栓」は必携かも。
Staxx T:特に若い頃は耳の将来なんて考えないから、Loopで耳をプロテクトできるのは良いですよ。最初から付けなくてもいいし、「ちょっと耳が疲れてきたな」とか「曲調がしんどいな」と感じたときにLoopがあれば、大音量を我慢しながら遊ぶよりも絶対にいい。しかも見た目が耳栓ぽくないし。
▲LOOPはスウィンギングシルバー/レイビングレッド/ミッドナイトブラック/グロリアスゴールド/フラーティーローズゴールドの全5色のカラーバリエーションが用意されている。
──LOOPの装着感はどうですか?
Minami:めちゃめちゃ軽いですね。長時間付けても痛くならないし、パチンコ屋のカウンターとかで売ったら売れそう(笑)。
Staxx T:これっていくらなんですか?
──3,880円(税込)です。
Staxx T:普通の耳栓よりはちょっと高めではあるんですね。でも普通の耳栓は使ったら捨てるけど、これはずっと使えるし、イヤホンみたいに配線がダメになって買い換えってこともないから、長く使えますね。「イヤープラグを付けて音楽を楽しむ」っていうのは今までなかったけど、これからもっと当たり前になっていくような気もします。音楽の現場には、セキュリティさんとかお酒を売ってるスタッフとかもいるわけで、仕事でその場にずっといる人には助かるアイテムですね。
Minami:地方でライブをすると「この人絶対耳イカれてるよね?」という音響さんがたまにいるんですよ。毎日この感じで音楽聴いてたら、そりゃイカれちゃうよ、みたいな。
Staxx T:数多くのクラブに行くと、結構バグってる人いるよね。「耳ってダメになるんだな」っていうのが、そういうときにわかります。音楽は長く楽しみたいものだから、大人になってもおじいちゃんになっても音楽は聴きたいなあ。
──大きな音って美味しいけれど、カロリー過多のファストフードのようなものかもしれません。
Minami:そうですね。ただね、ファストフードを毎日食べて太ったとしてもダイエットすれば痩せられるけど、耳は悪化してしまうと元には戻らない。あと、実感が遅い。太ったことはすぐ分かるけど、耳は劣化してることに気付かないよね。家族でも耳があんまり聴こえない人とかいるけど、本当に大変よ? 周りの人も大変だし本人も大変だし。
Staxx T:高い音から聴こえなくなっていくんですよね。亡くなったひいおばあちゃんが結構耳が遠かったので、僕はしゃべるときに大きい声でしゃべろうとするんだけど、大きな声でしゃべろうとすると、ついつい声が高くなっちゃうでしょう?でも声が高くなったら聴こえづらいんですってね。低い声でしゃべるようにしたほうが良いらしい。
──我々も若いからといって、油断してはいけないですね。
Staxx T:「身体に悪いものは美味しい」ように、身体に悪いことだけど魅力的なものってあるじゃないですか。爆音っていうのもそのうちのひとつな気がします。耳には悪いんだけど体感としては気持ちいい、みたいな。そういう遊び方がみんなの周りにあふれているんだとしたら、Loopのような自分を守る道具があったらいいですよね。おしゃれならば付けても恥ずかしくないし。「耳を痛めつけるけれど楽しめる環境」が周りにたくさんあるから、耳を守ることも意識していかないといけない時代なんでしょうね。
──これを読んだリスナーのみんなが、自分ごとになってくれればいいなと思います。
Minami:逆に「私も気をつけよう」ってなりましたよ。
Staxx T:目だったらレーシックとかあるけど、耳には解決法がないですからね。LOOPはおしゃれだし、みんなが興味を持ってくれたらいいですね。
取材・文:BARKS統括編集長 烏丸哲也
●LOOP
3,880円(税込)発売中
・コンサート、イベント、スポーツ、旅行やミュージシャンのために設計された聴覚保護用イヤープラグ
・サイズ:直径1.5㎝
・重量:2g
・素材:ABS樹脂
・付属品:ポーチ、ユーザーガイド、6組のイヤーチップ(低反発フォーム:サイズS、M、L、シリコンイヤーチップ:サイズS、M、L)
・カラーバリエーション:スウィンギングシルバー/レイビングレッド/ミッドナイトブラック/グロリアスゴールド/フラーティーローズゴールド
◆LOOP オフィシャルサイト
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