【インタビュー・前編】CREAM「小学校6年くらいでボブ・マーリーにすごいハマッたり……。」
現在、各方面から熱い視線を注がれている、シンガー・ソングライターのMinamiとラッパー/トラックメイカーのStaxx Tから成るニューカマー・CREAMをご存知だろうか。
2013年2月27日にメジャーデビューアルバム『DREAMIN'』をリリースし、TERIYAKI BOYZ(R)やVERBALへのフィーチャリング参加、m-floや安室奈美恵、BoA、V6などを始めとする他アーティストへの詞・曲提供など、個々のクリエイターとしての才能もいかんなく発揮。さらに、オリジナル楽曲やライブ映像のほか、名曲のカバーやリミックスなど様々なコンテンツを精力的にアップしているYouTubeチャンネル“CREAM VISION”は、再生回数がなんと1300万回突破というものすごい記録を達成。自身発の多彩なアイデアを元に世界規模まで活動の幅を広げようとしている注目のクリエイターズ・ユニットを、音楽面はもちろん様々な角度にスポットを当てて紹介しよう。
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── CREAMの音楽のスタイルを、ご自身ではどんなふうにとらえていますか? リリックは日本語で書いていながら、洋楽的な雰囲気をどこか感じたりするのが個人的には興味深かったりするんですが。
Minami:まず、私はメロディを英語で全部書いて、歌詞はStaxxに書いてもらうんです。例えば、そのメロディを♪ラララ~みたいな感じで最初に書く人も多いと思うんですけど、それを英語で書くことによって英語のフロウになるんですよ。
Staxx T:英語的なリズムが出てくる。
Minami:そう。それを日本語に変えることが洋楽っぽい聴こえ方に繋がるのかな、って気はしますね。あと、Staxxはもうまさに、ラップは洋楽的なものを追求してますし。構成とか色々な部分で、ね。
Staxx T:うん。洋楽のヒップホップを聴くときも特に「フロウ」をすごく聴くんです、僕は。例えば、日本語って、言語的には全部の言葉に母音が付いているじゃないですか。その全部に母音を付けたままでラップをするとベッタリした感じになって、リズムが出にくいんですよね。で、僕がラップを書き始めたころからやってるやり方っていうのが、その母音を削れるところは全部削っていやり方で。Minamiが歌う部分にもそれはすごく使うんですけど、たとえば、♪まだ帰りたくない……って歌うときに、“まだ帰りたくない”の“く”の“U”の音は削れるな、とか。それによって英語にありそうなリズムが出る。そういう、そういう母音カットっていうのを僕はいつもやるんです。
── なるほど。日本語的な雰囲気が出る母音の部分を細かく削ることで、日本語で歌いながらも日本語的じゃない、洋楽的な雰囲気が出る。
Staxx T:そうそう。それによって、母音を全部言ってたら不可能なフロウでも意外と英語っぽい刻み方ができたり。そういうディテールをどんどん追求してやってきたことが今の僕達の当たり前になっているっていうところは、CREAMのスタイルのひとつだとも思いますね。
── 洋楽的な雰囲気を持ちながら、あくまでも日本語にこだわって。それはイコール、例えばJ-POPのリスナー等にもアピールできる音楽をやりたいっていう気持ちの表れ、というか?
Staxx T:そうですね。そこに刺さってこそ、っていうのもありますから。
Minami:J-POPっていう名前自体、“POP”イコール、多くの人に聴かれる音楽だと思うので。
Staxx T:“ポピュラー”、ね。
Minami:そうそう。だからこそ自分達も、いつかはJ-POPで1位になりたいし。ヒップホップを取り入れたりEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)を取り入れたりいろんな要素を入れながら、どんなジャンルの人でも聴きやすい音楽を目指していつも曲を作ってるんです。
── ということは、ヒップホップが軸になっているのはもちろんだと思うんですが、色々な音楽がおふたりのルーツになっているっていう?
Staxx T:元々は、僕はヒップホップにハマってからは、ヒップホップ以外は受け付けないっていう感じだったんです(笑)。一番最初の入り口で言うと、降谷建志さん。Dragon Ashさんは、それこそ「Grateful Days」や「Deep Impact」がドカーンと流行った時代から、さかのぼってインディーズのときのアルバムまで全部あさって聴いたぐらいすごいファンで。そのときに、ラップって、歌と違って言葉の文字数とかもすごく多くていろんなことを伝えられるし、楽曲の世界への引きずり込まれ方がR&Bのシンガーさんとかが歌っているものとかとはまた違った引きずり込まれ方だと感じたんです。そこからラップが好きになって、次第に洋楽のヒップホップとかも色々聴きだして……。例えば、ジャ・ルールとかネリーとかが衝撃的なぐらいヒットした時代。
Minami:全盛期だったね。
Staxx T:そうそう。当時の分かりやすい感じのヒップホップから洋楽に入って、ナズのアルバムを買ってみたり。ナズとジェイ・Zがバチバチのビーフをし合ってたころですね(笑)。そういうところも通りつつ、結局一番落ち着いたのが、サウスのヒップホップなんですよ。リル・ジョンとかがシンセがバキバキのイカツいサウンドをやり始めたころから自分でもちょうどトラックを作り始めたんで、トラックのルーツはサウスなんです。
── 『DREAMIN'』は、言われてみれば、そのルーツは活きているなって感じるサウンドが随所に見られると思います。
Staxx T:そうですね。特に(タイトル曲の)「DREAMIN'」とかは、サウスのルーツがすごい残ってるなって自分でも感じます。
── Minamiさんは、どんな音楽ルーツが?
Minami:私は香港生まれなんですけど、私がいたのは香港がまだイギリスのときだったので(注:当時の香港はイギリス領で、1997年に中国へ主権が返還された)、よく聴いていたのはイギリスの音楽で。特にイギリスのポップスが好きで、スパイス・ガールズにハマッたのが小学校1~2年生の時だったんです。そこからUSポップスにクロスオーバーして、イン・シンクだったりバックストリート・ボーイズだったり、いわゆる今で言うジャスティン・ビーバーみたいなポップスが好きで、小学校6年くらいでボブ・マーリーにすごいハマッたり……。
Staxx T:シブい!
Minami:(笑)もう、部屋中がボブ・マーリーのポスターだらけ。
── 12歳で部屋中ボブ・マーリーの小学生は、たぶん日本じゃ考えられないですよ(笑)。
Staxx T:(笑)小学生でボブ・マーリーの良さは分かんないですよね、たぶん。
Minami:(笑)レゲエがすごく好きな従兄弟に薦められたのもあるんですけどね。あと、親がちょうどジャマイカに行った帰りで、家にいろんなグッズがあって、「これ、誰?」って興味を持ち始めて。ヒップホップに出会ったのは、そのあとぐらいかな? マーダー・インク(現:ザ・インク・レコーズ)とか。
Staxx T:アシャンティとか好きやもんな。
Minami:アシャンティは本っ当に好き! 彼女みたいに、自分でメロディを書く人っていうのはすごく尊敬しますね。特にアシャンティって、一時、1位から10位のあいだに4曲ぐらい曲がランクインしてたり。ジェニファー・ロペスの曲を書いてたり、「この曲もそうなんだ!」って感じの時期もあったぐらいで。
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