【ライブレポート】アルマカミニイト、初の全国ツアーが終了。新たな可能性を感じさせる

ポスト

ペルー国籍、日系三世のエリックと、日本舞踊の師範でもある宗彦のツインボーカルユニット・アルマカミニイトが、3月10日に渋谷O-WESTにて、初の全国ツアー<Pasos del alma・魂の歩み>のファイナルを迎えた。

◆アルマカミニイト <Pasos del alma・魂の歩み> ライブ画像

オフィシャルからライブレポートが届いたので紹介しよう。

  ◆  ◆  ◆

今回のツアーは、2012年12月26日にリリースされたカバーアルバム『ALMA COVERS』に収録された楽曲を中心にした選曲。ライヴは、アルバムでもトップを飾る「タイミング~Timing~」、森高千里の楽曲を大胆にラテン調にアレンジした「ララサンシャイン」で幕をあけた。

小気味良いエリックのアコースティックギターに合わせ、客席からも温かい手拍子が鳴り響く。2ndシングルの「抱きしめたい 抱きしめたい」、ストリートライヴ時代からおなじみの楽曲「Blue Horizon」といったオリジナル曲が続くと、スペイン語で歌った最初の2曲との対比がさらに面白く感じられる。リズムとノリでグイグイ引っ張られるようなカバー楽曲と、詞をジックリ噛み締め味わうオリジナル曲。序盤から2通りの楽しみ方で魅せてくれるふたり。

圧巻だったのは、エリックの故郷・ペルーの風景が浮かんでくるような「コンドルは飛んで行く」。曲の前のMCでは、11月に世界遺産であるペルーの遺跡・マチュピチュへ行ったときの思い出をふたりが語る。

「朝8時にマチュピチュに着いたんですけど、ちょうど太陽が上がって来る時間で、マチュピチュの町に太陽の光が当たって、輝いて見えました。そんなペルーの素晴らしさを皆さんにも伝えたい。」

エリックがクリスマスに母親からプレゼントされたというペルーの弦楽器「チャランゴ」をかき鳴らしながら、スペイン語で力強い歌声を響かせる。ペルーの大空を雄々しく羽ばたくコンドルのイメージが脳裏に広がり、胸がジワッと熱くなる。ふたりの魂のこもったパフォーマンスに興奮覚めやらぬまま、「木蓮の涙」で熱気がさらに会場を包み込む。

中盤は英語詞で歌い上げた「奇跡を望むなら」。所属事務所の大先輩であるKANのカバーで「すべての悲しみにさよならするために」と、立て続けにじっくり聴かせたかと思えば、エリックが「パンチパーマにしたんですよ」と、ヅラをかぶってステージに登場し、客席に笑いを振りまく。宗彦がすかさず「それリーゼントだよね!」とツッコミを入れ、コンビネーション抜群のMCも楽しい。

続いての曲はアメリカや南米では知らない人がいないヒットメーカーで、エリックも敬愛するジャン・マルコ作の「Canta Corazon」。ライヴではもうおなじみの曲だが、宗彦が歌うパートでは一部、日本語詞になっていたり、オーディエンスも一緒に歌う場面もあり一体感が醍醐味だ。間に短いMCを挟み、「あなたに逢いたくて~Missing You~」をスペイン語でしっとり聴かせたかと思えば、英語でカバーした「もらい泣き」「愛唄」で後半に向け、再び場内がヒートアップ。

アルマカミニイトとファンの出会いのきっかけを作ったデビュー曲「茜」では、デビューから初の全国ツアーまでを駆け抜けた彼らの軌跡が走馬灯のように浮かび、ノスタルジックな空気が漂った。本編ラストは「雨粒パール」。この曲は、リリース前からライヴで育てたナンバー。サビではもう定番となったタオル回しで場内にフワッと心地よい風が舞う。

一緒に楽しんだり、ジックリ聴き込んだり、一曲ごとに違った楽しみ方を見せてくれた本編終了後、アンコールは「風になりたい」と、ここまで来れた感謝を込めて歌った「青にのせて」の2曲。

「今、自分たちがここにいるのは、いろんなことを一個ずつやってきたから。応援してくれた皆さんがいたから。」と話したエリック。「青にのせて」にある「ありがとう」のフレーズにも、力がこもっているように感じた。

アルマカミニイトはペルー生まれでスペイン語が母国語であるエリックと、日本舞踊という純和風の伝統芸能をたしなむ宗彦の国境を越えた個性が混ざり合う希有なユニット。ツアー前にリリースされた『ALMA COVERS』は、日本の名だたる楽曲をスペイン語や英語で歌った一風変わったカバー作品。ふたつの文化をミクスチャーした個性を持つ彼らだからこそ作ることができたアルバムといっていい。

今回のツアーで、アルマカミニイトは、そのアルバム音源通り、スペイン語や英語でも楽曲を披露した。宗彦にとっては、ハードルが高いツアーだっただろうが、それでも見事に唄い切った。そして、言語が変わるだけで、今までとはひと味違うアルマカミニイトのグルーヴが生まれ、新鮮な感動を与えてくれた。

彼らのライヴのスタイルに新たな武器を加えた今回のツアー。同時に、ふたりにとても大きな成長の糧となったことだろう。

◆ライブレポート チャンネル
◆アルマカミニイト オフィシャルサイト
この記事をポスト

この記事の関連情報