【インタビュー】リッキー・リー「何も考えず何でもできる気分になれるステージが一番自由だと思うわ」
■曲を書きながらパーティーしようよっていうことになって
■飲みながらビートとかリズムとかメロディーとかを試したの
──アルバムには、レディー・ガガやブリトニー・スピアーズなどの楽曲で知られるKNSプロダクションをはじめ、世界的ヒットメーカーと組んだダンスアンセムを満載しています。レコーディングで特に印象に残っているプロデューサーや、驚きのシーンはありましたか?
リッキー:KNSプロダクションとのレコーディング・セッションの時ね。彼らとは以前もレコーディングを一通りやってきたから、お互いのことをよく知っていたの。で、レコーディングは週末だったし、ずっとブースにカンヅメになりたくないみたいな気持ちがお互いにあって、スタジオの中でパーティーをしちゃったのね(笑)。で、どうせなら曲を書きながらパーティーしようよっていうことになって、もうラムとかシャンパンとかいろんなお酒を持ち込んで。飲みながら、ビートとかリズムとかメロディーとかを試したの。その結果、出来上がったのが「Do It Like That」(笑)。
──この曲のパーティー・ソング的な盛り上がりは、お酒の力が大きい(笑)?
リッキー:今までお酒を飲んで曲を作ったことがなかったけど、すごくいい曲が出来上がったので、次のアルバムはもうずっと酔った状態で作ってみようかな、なんて(笑)。実際にこの曲は、スタジオのライトを落として、踊りながら作ったから、完全に酔っ払い状態だったわ(笑)。
──それとは対称的に、ミュージックビデオは澄み渡った青空の下で爽やかに踊ってますね。
リッキー:そう! レコーディングの環境とはイメージが違うよね(笑)。ただ、曲を書いてるときに、ミュージックビデオのイメージはもうできていて。“踊り”を大きな要素に、映像を作りたいというのが頭の中にはあったの。歌詞もハジけてるでしょ。
──この曲に代表されるように歌詞は愛を描いたポジティヴなラブソングが中心となっていますが、「Human」のような実体験の告白を思わせる内容もあります。
リッキー:人によってはコンセプトを立ててから、ファンタジーとかフィクションの世界を書く人もいるけれど、私にはそれができなくて。自分の実体験からしか書けないの。でも、だからこそ強く、いろんな人に伝わると思うの。多くの人とシェアできるというか。共感してもらえたらうれしいわ。
──実体験であれば歌に感情を込めやすいでしょうし、ボーカルの表情が豊かになりますよね。「Crazy」のように息づかいが如実に伝わる歌い方もリッキーならではの魅力ですが?
リッキー:この曲はとにかく自分を解き放ちたいという内容なの。自分が大変だった時期のことを思い出しながら作ったので、ヴォーカルにも自然とそういう感情が入っていると思う。でね、この曲のミュージックビデオは、今までの自分の作品のなかで、最もフェイバリットなもののひとつなの。施設に入れられてる自分が、自由になるためにもがいてる姿を描いていて。肉体的セラピーみたいな感じ。
──その自由という言葉は、今回のアルバムの原題『Fear & Freedom』にもつながっていますが、このタイトルに込めた想いは?
リッキー:収録曲それぞれがどんな意味を持っているのか、歌詞を自分自身で分析して、この言葉に辿り着いたの。
──制作前の葛藤も含めて、それを乗り越えたリッキーの今が投影されているような?
リッキー:そう。自分の足でしっかりと立って、人生を、物事を、自分でコントロールしていかなければいけないということなんだけど。そういう動きを邪魔するのは、実は自分自身の恐怖心や不安。それが原因でコントロールするための操縦席に座れなかったから。好きなことをやるためには、そういったものから自分を解き放たなければならないという意味を込めて、この2つの言葉を持ってきたの。
──では、リッキーがこれまで一番恐い(Fear)と感じたこと、最も自由(Freedom)を感じる瞬間を教えてください。
リッキー:最近あったものすごく怖かったことは、ノドのトラブル。声の調子が良くなかったので、検査をしてみたら異常が発見されて。回復してからは声の出し方とか気をつけるようになって、より良いシンガーになれたから、もう心配はいらない。でも、シンガーとしては最も怖い経験だったわ。自由を感じる瞬間はやっぱり、ステージに上がっているときね。自分がなにかから解放される瞬間があるの。特に最近は感じるままに歌えるし、自信を持ってステージに上がれる。なにも考えず、なんでもできる気分になれるステージが一番自由だと思うわ。
──1月30日は、まさにそんなステージでした。
リッキー:ありがとう! 近いうちにまた必ず日本に戻ってくるわ。フルステージのライヴを楽しみにしててね!
取材・文●梶原靖夫
▲リッキーのネイルに注目。「I LOVE JAPAN」とペイントされているのがわかるだろうか。日本大好きのリッキーでした。
『リッキー・リー』(原題Fear & Freedom)
2013年1月30日発売
スペシャル・プライス1,980円 TOCP-71464
1.ヒューマン / Human
2.レイニング・ダイヤモンド / Raining Diamonds
3.バーン・イット・ダウン / Burn It Down
4.ドゥ・イット・ライク・ザット ~恋の合言葉~ / Do It Like That
5.レフト・トゥ・ライト / Left To Right
6.クレイジー / Crazy
7.オン・ザ・フロア / On The Floor
8.アイ・フィール・ラヴ / I Feel Love
9.ネヴァー・レット・ゴー / Never Let Go
10.ワールド・ディサピアズ / World Disappears
11.ボムシェル / Bombshell
日本盤ボーナス・トラック
12.ルック・アット・ミー・ナウ / Look At Me Now
◆リッキー・リー・オフィシャルサイト