【インタビュー】泉 沙世子、しんどい人の心のよりどころになるような歌が歌えればいいな

■スーッと通りすぎてしまうんじゃなく
■心に引っかかるような一言一言に責任を持って

――体験から来ている言葉だからこそ、自分自身もその言葉に癒されるんですね。「アイリス」は夢を追っているような歌詞ですね。この曲にも実体験がこもっている気がしました。

泉：この曲は神戸コレクションのために書いたんですが、はじめは、「神戸コレクションに来るような女の子ってどういう子なんだろう？」って考えることから始めたんです。正直、始めは自分とタイプが違うように思ってたんです。自分にこのお話が来たときに、「私でいいのかな？」って気持ちがしたし。私が素で書くと、すごくネガティヴな部分も出ちゃうし、頑張ったら全部うまく行くっていうものでもないから、ちょっとスレた部分も出ちゃうなぁって（笑）。

――かつてオーディションをたくさん受けて、落ちた経験があるから（笑）。

泉：はい（苦笑）。期待しないでおこうとする感情も混じってきちゃうんですよ。だから、そういうところを見ないように、最初はポジティヴにキラキラしたところを想像して書いたんですが、あまりにも自分とかけ離れてて、嘘くさくて嫌やなぁと思ったんですよ。

――自分じゃないって感じたら唄いずらいもんね。

泉：そうなんです。嘘を唄ってる気がしちゃうから。それが嫌で、哀愁漂う感じにしてみたりして、両極端に振り切ってみたりもしたんですが、どっちも違うんですよ。で、結局、まったく同じじゃないかもしれないけど、これを聴いてくれる人と重なる部分があればいいなぁと、そこを探したんです。夢でも恋愛でも、なんでもいいんですが、自分なりの目標に対して絶対にできると信じて突き進むことって、誰にでもできるわけではないと思うんです。できない理由を探してしまったり、「私、こんなんやし……」って卑屈になったりする瞬間もあると思うんです。だけど、毎日一個でも、確実に何かやることで、掴みたい。後ろ向きな部分もあるけど、気持ち的には前向きになりたい。そういう微妙な気持ちって私にもあるし、神戸コレクションに来る女の子にもあるんだろうなって。そこが共通点だし、落としどころなのかなって思って作りました。

――歌詞にも「隣のあの子を　羨んだり」ってあるけど、きっとみんな思ってますよね。人と比べて焦ったり。ただ前向きなだけの曲じゃないのがリアルですよね。それを「アイリス」っていうタイトルにしたのは何故？

泉：この歌詞みたいな女の子って何かの映画の登場人物にいなかったかなぁってマネジャーさんと話をしてたんですよ。そうしたら、「ホリデー」っていう映画の中にアイリスっていう子が出て来て、こういうイメージなんです。その後にアイリスの花言葉を調べたら、「自分に賭けてみる」とか「愛」とか、そういうのがあったんです。この曲も夢って限定せずに、夢なのか恋愛なのか、大きく言うと、この二つを掴んで行く女の子っていうイメージで書いたので、花言葉を見てピッタリだなと思って。

――両方ともタイアップはあるけど、自分のことをしっかり唄ってますね。

泉：ふふふ（笑）。タイアップの方に寄せて行こうとすると最終的に違和感があるものになってしまうんですよ。自分の言葉とか、考え方が軸になったものに落ち着きますよね。

――曲を作るようになってから2～3年ですよね？　その前は人の曲をカバーしてたんですよね？

泉：そうなんですよ。人の曲を唄っていたときは、「私の声は、この音からこの音まで出ます」とか、歌唱力重視の選曲をしてたんです。洋楽を選んで唄うことが多くて。

――当時は自分がこの歌詞を唄って違和感があるとか考えてませんでしたよね？

泉：う～ん。好きな歌を唄っているの？と聞かれたら、好きな歌を唄っているわけではないな、という違和感はありましたね。これを唄ってるけど、別に好きな曲じゃないなぁって。マライア・キャリーさんの曲がカッコいいって思っても、自分が伝えたい歌なのかと言ったらちょっと疑問がありました。

――じゃあ、自分で作詞をするようになって、しっくりくるようになったんですね。

泉：そうですね。今は本当に伝えることに重きを置いてるので、歌詞はすごく大切にしています。最初はテンプレートみたいなものしか書けなかったんですよ。カッコつけて形を整えすぎているというか。それがすごく気持ち悪くて。今は歪なくらいのほうがいいって思っています。スーッと通りすぎてしまうんじゃなく、どこか心に引っかかるような一言一言に責任を持てるような、これからも、そういう作り方をしていきたいなと思っています。

取材・文●大橋美貴子

2ndシングル「境界線／アイリス」
2013年1月30日発売
KICM-1432　￥1,050（tax in）
1.境界線
2.アイリス
3.境界線（Instrumental）
4.アイリス（Instrumental）
「境界線」：映画「さよならドビュッシー」主題歌
「アイリス」：【「神戸コレクション／東京ランウェイ」2013 SPRING/SUMMER】テーマ曲


映画「さよならドビュッシー」
2013年1月26日（土）全国ロードショー
原作：中山七里「さよならドビュッシー」（宝島社）／監督：利重剛／脚本：牧野圭祐、利重剛出演：橋本愛、清塚信也　ほか／配給：東京テアトル／(C)2013 さよならドビュッシー製作委員会

＜インストアライヴ＞
2013年2月2日（土）START 14：30
イオンレイクタウンkaze 1F 時の広場
[問]TSUTAYA イオンレイクタウン越谷店　TEL：048-990-3380
2013年2月3日（日）START 14：00
エアポートウォーク名古屋　3Fイベントスペース
[問]紀伊國屋書店　名古屋空港店　TEL：0568-39-3851

2月24日（日）名古屋コレクション　出演
3月9日（土）神戸コレクション　出演
3月20日（水・祝日）東京ランウェイ　出演

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