【インタビュー】バロック「ヴィジュアルを捨てたくなった時期があったからこそ、もう1回ヴィジュアル系から始めようって思った」

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結成から2年3ヵ月で日本武道館公演を成功させ、クラブミュージックやヒップホップの要素も取り入れたスタイリッシュなミクスチャーサウンドで後継のバンドに大きな影響を与えたバロック。しかし、人気絶頂の2004年に突如「バロックは君たちに預ける」という言葉を残して解散。怜(Vo)と圭(G)はkannivalismとして活動を共にした後、2011年7月に約7年ぶりとなるライブを実施、9月に完全復活を発表した。そして、2012年は“バロック現象”と銘打ち精力的な活動を展開するなか、メンバーの失踪というアクシデントに見舞われるも、12月にシングル「キズナ」で2度目のメジャーデビューを果たし、その勢いを止めることなく1月23日にニューシングル「たとえば君と僕」をリリースした。波乱万丈な歴史を経て、新たな一歩を踏み出したバロック。現在の彼らを形成する6つのキーワードをもとに、ボーカル怜に話を訊いた。

◆リスタート・・・解散したバンドをなぜ再始動したのか?

――そもそも、解散したバロックを、なぜ再始動させようと思ったんでしょうか。

怜:当時(2004年)はすごいいろんな葛藤があって活動を止めたんだけど。その後、震災があった年(2011年)にメンバーみんなで集まる機会があってね。まだこうしてメンバーがいて、やりたいと思うバンドがあるなら生きてるうちにやろうよ、という話になって。それで、まず横浜の赤レンガのライブでファンの人たちに活動を休止するとき預けていたバロックを返してもらったんです。そのときは今後活動するかどうか何も決めずステージに立ったんだけど、ステージを降りたときにはここから新たにスタートしてみようかというのを各々感じてて。それで、去年(2012年)1月から再び動き出した。

――それで「凛然アイデンティティ」「tenny-tiny star」「モノドラマ」というシングル3タイトル同時発売で動き出して。

怜:その後から“バロック現象”を起こしていくんだけど。ウチらのいいところは、自分たちが面白がってることにみんなを巻き込んでいくっていうところだから、俺らが中心になって“バロック現象”を引き起こしていくことを去年1年かけてやっていこうって。その間には、自分たちが予想もしていなかったベース(万作)がいなくなるというアクシデントもあり(苦笑)。それでもツアーを回れたときは、ファンの愛を感じた。この間ね、インストアやったときにファンの子に“いつも心配かけてゴメンね”っていったら“もう慣れてます”っていわれて。ウチのファンはどうやらドMみたい(笑)。俺らは、そういうファンに心配かけるようなところもすべて見せ続けてきたバンドだからさ。でも、アクシデントはもういいよ(笑)。

――バンドがリスタートするまでの7年間は、怜さんにとってどんな時間でした?

怜:俺は、バロックが終わって1回音楽から離れたんだよね。その後、圭(G)からまたやらないかといわれてkannivalismをやるんだけど。俺はそこではバロックの怜は封印しなきゃいけないとか、すごく葛藤があった。言葉遣いから何から。だから、kannivalismをやりだした頃は、自分で不自由にしてた気がする。いまから思うと。

――そこから再びバロックの怜になって思ったことは?

怜:kannivalismの怜は俺の根本、兒玉怜の人間性すべてを深いところまで描く場所だったんだ。でも俺にとってバロックの怜は、“俺はこうありたい”っていう俺の夢のアーティストだから、ベクトルが全然違う。バロックの怜は自分がカッケーって思うアーティスト像を目指すだけだから、描く詩も自分の深い深い感情を描くというよりは、もっと幻想であったり衝動的なもの、理想の未来、夢を描きたくなるんだよ。それは自分の夢=バロックに直結してるから。


◆2回目のメジャーデビュー・・・“新しい仲間”の居心地とは?

――バロックのように、同じバンド名で再びメジャーデビューできる人って、なかなかいないと思うんですよ。

怜:俺だって、もう1度同じバンドをスタートさせることができるなんて到底ないと思ってたからね。だから、すごく贅沢なことなんだよ。でも、デビューに関しては、俺は圭と“俺ら何回メジャーデビューすんの?”っていってて(笑)。メンバー的には“メジャーデビュー”っていうよりも、より面白いことをやる新しい仲間が増えたって感じ。

――新しい仲間の会社、居心地はどうですか?

怜:ここは褒めといたほうがいいよね?(笑) あのね、トイレがきれいですね〜!!

――待遇はどうですか?

怜:歩かせてくれないです。(一同笑)みんな、ワーナー入ったら歩かしてくんねぇぞっ!!


◆1コインシングル・・・特殊なリリース形態にこだわる理由とは?

――バロックは、再始動したときから1コイン(500円)シングルというリリース形態を続けてきていますが。これをやりだしたきっかけは?

怜:(収録曲)1曲で出したかったというのがまずあって。一番最初に3枚同時で出したとき、このシングルが1コインで買えたら面白いよねって。そこが始まり。それで、やってみて凄いなと思ったのは、曲ができてすぐ出せるんだよ。1曲だけだから。そこからとにかくバロックってものを提示し続けたの。去年1年。それも含めて“バロック現象”だったんだよね。1コインをやりだしたら、みんなに“(シングル)500円って、それ儲けないでしょ”ってよくいわれたけど。でも、俺らは自分たちが面白いと思ったことには全力なんスよ。何に関しても。

――だけど、曲を作ってすぐに出せるのはとても魅力的だった。

怜:そう。とくにバロックは時期によって全然、姿形を変えるバンドだから、間を空けすぎるどんどん変化するから。昔のバロックって、その切り替わり方があまりにも激しすぎて、それがいいところでもあったけど、損してきた部分でもあったのね。それも踏まえて、時期ごとの変化をすべてをリアルに見せ続けられたらいいなと思ってたから、それにはうってつけだったよ。

――言われてみれば、バロックは昔からサウンドも見た目も変化し続けてきましたからね。

怜:そこがウチのバンドの面白さだから。

――なんでサウンドもルックスもコロコロ変わるようになったんですか?

怜:分かんない、俺。性格じゃない? 俺がすぐ変わるから?(笑) 人生のなかで反抗期とかきたときは“カワイイとかいってんじゃねぇ”って気持ちになって、写真撮られるときも前向かなかったし。逆に“カワイイ”っていわれたいときはそうしてたし。でもね、今回再び動きだしたときはルールがあったんだよ。

――え! それはどんなルールですか?

怜:どんなことをしてもいいし、どんな格好をしてもいいけど、ヴィジュアル系でやろうと。ヴィジュアル系でやるならメイクはしようって。

――なんでヴィジュアル系をやろうと?

怜:それは、一番バロックを出せる場所を考えたときにそう思ったから。バロックのスタート地点を思い返したら……ヴィジュアル系だったでしょって。そのヴィジュアルを俺らは捨てたくなった時期があった。だからこそ、もう1回ヴィジュアル系から始めようって。

――いまもヴィジュアル系なんですか?

怜:「たとえば君と僕」のときは髪の毛グレーだから、ヴィジュアル系でしょ? メイクもしてるし(笑)。


◆スタイリッシュ・・・何をやってもオシャレでスタイリッシュなバンドの根本とは?

――バロックは昔から、他のヴィジュアル系バンドと違って、見た目もサウンドも作る作品のアートワーク含め、とにかくオシャレでスタイリッシュでしたけど、それは何でだったんですか?

怜:そんなの知らないよ(笑)。たぶん、いい意味で俺が何も知らなかったからだよ。一番前に立つメンバーとして、当時何も知らないまんまステージに上がってたからね。だから何でもできた。だって、分かんないんだもん。誰かがコントロールしてた訳じゃない。

――それが、何をやっても新しくてオシャレで都会的に見えた。

怜:晃君(G)なんか四国出身なのに(笑)。だって、俺だけだよ? 東京出身は。

――東京つっても都心からは離れてますけど。

怜:田舎だよっ!(笑) 川で魚とって遊んでた野生児だよ。

――昔からオシャレだねっていわれてたタイプですか?

怜:ううん。普通。服が好きになったのはバンドやりだしてからだからね。

――でも、いまはバロックのアートワーク、デザインにまつわること、ファッションは怜さんが引っ張っていく感じになってるんですよね?

怜:アイデア出しに関してはみんなフェアなんだ。そのなかで、たまたま洋服のことやデザインのことは俺だったり、音楽のことは圭だったり、さらにバンドの根本を支えるのは晃君と万ちゃんがやるようになっただけ。

――では「キズナ」と「たとえば君と僕」のアートワーク、これらはどんなところからアイデアを思いついたんですか?

怜:「キズナ」に関しては、先に“絆”というテーマがあったんだ。だからタイトルも先にあって、そこにみんなで向かっていったんだけど。作曲者の圭は、この曲に関して記憶を閉じ込めるというイメージがあったんだって。俺は鍵穴のイメージがあったの。それで、鍵穴に記憶を閉じ込めるってことで「キズナ」のジャケットは生まれた。それで、バロックのシンボルマークになるものが欲しいなと思って(アーティスト写真は)角をつけた。俺らの存在を色濃く出すために。これをずっとつけようっていってたのに……もう「たとえば君と僕」のクリップではつけてないし(笑)。それで、この曲のジャケットは、いろんなデザインがきたんだけど、やっぱり俺はこの鍵が一番しっくりきたんだ。


◆恋愛論・・・怜は恋をするとどうなるのか?

――「たとえば君と僕」は久々に恋愛がテーマの楽曲ですね。

怜:そうだね。今回は「キズナ」を経て、ここから3人でやろうというスタートラインでもあったから、メンバーそれぞれ出せる限り曲を作ってきて、そのなかからワーナー(レコード会社)と共に選んだのがこの曲だったんだけど。この曲に何を描くのかってなったとき、いまのバンドの心境というよりも“恋”っていうテーマがいいんじゃないかってことでこれを描いた。

――なるほど。では、そんな怜さんがいま恋してるものはなんですか?

怜:バンドじゃない? 俺はメンバーに、バンドに盲目に恋してるから。だから音楽をやってるだけで。このメンバー、バンドがなければ、いつでもマイクは置ける。それが俺の人生なんだよ。俺はファン以上にこのメンバー、バロックの、kannivalismのファンだから。病的なぐらい。これぞ愛だよ。

――怜さんは恋するとどうなるタイプ?

怜:鼻の下が伸びる(笑)。あと、そっぽ向く。好きな人を面と向かって見られないからツンツンしちゃう(笑)。それから、すぐ“好き”っていう。恥ずかしいけど。“付き合って”とかはいわないけど、すぐ“好き”っていう。

――好きになった人には誰にでもポンポンいっちゃうってことですか?

怜:はい! って………じゃなくて(笑)。燃えるような恋はバンド以外したことないから、俺。付き合い方とかあんま分かんないんだよ(笑)。恋愛下手。だから……2番目でいいです。2番目の男子でいたい、恋愛では。どういう意味かは察して下さい。

――ちなみにどんな女性がタイプですか?

怜:武器は歌しかねぇ、こんなどうしようもない俺を何とかしてくれる人。

――怜さんの理想のデートとは?

怜:これは俺の勝手な想像だけど、圭はオシャレな店でワインとか飲んで、カッコつけてそうな気がするんだよ。晃君は一緒に焼き鳥とか食ってそうなんだ。でも、俺はたぶん家にいる、デートでも。まず俺、人ん家行くの嫌だし、人ごみも嫌いなの。って考えたらさ、家がいいんだよ。家で何もいわずに居てくれたら最高!

――猫みたいに。

怜:あ、いいね〜。犬はもう飼ってるんで。俺の手がかからない猫がいてくれたら最高っスね。ここ、恋人募集コーナーにしていい? 手がかからない猫のような女性1名募集って書いといて下さい(笑顔)。


◆バロック現象・・・これからバロック現象はどうなっていくのか?

――今年のバロック現象は、シングル発売に続き、3月1日(金)に赤坂BLITZで<TOUR バロック現象 第5現象>、3月3日(日)に同場所で<TOUR バロック現象 第0現象>が開催されますが。

怜:3月にまずこれをやって。現状では決まってないけど、バンドとしてはツアーをやりたいねって話もでてます。

――アルバムのほうはどうでしょうか。

怜:それ、ファンにもよく聞かれるんだけど。そのたびに、俺らいまシングルだけで7枚出してるから、そういうアルバムでもいいの?って(笑)。でも実はさ、俺ら、“バロック現象”を考えたときから、そういうものを作りたいっていってたの。シングルベストぐらいの、どの曲聴いてもメインっていうようなアルバムを最初は作ろうっていってたから。1曲ごとにいろんなバロックが入ったアルバムが作れたらいいな。

取材・文●東條祥恵

【プレゼント】
「たとえば君と僕」ポスター
10名様
応募締め切り:2013年2月28日(木)23:59
プレゼント応募ページ https://www.barks.jp/present/entry/?id=1000001883&a=form


「たとえば君と僕」
2013年1月23日発売
【初回盤A】(CD+DVD)
WPZL-30547/8 ¥1,000(tax in)
[CD] 1. たとえば君と僕
DVD:「たとえば君と僕」ミュージックビデオ
【初回盤B】(CD+DVD)
WPZL-30549/50 ¥1,000(tax in)
[CD] 1. たとえば君と僕
DVD:「メロウホロウ」ミュージックビデオ
【通常盤】(CDのみ)
WPCL-11268 ¥500(tax in)
[CD] 1. たとえば君と僕
※初回プレス分のみ「キズナ」通常盤(初回プレス分)との連動シリアルコード封入

<「TOURバロック現象」第5現象>
2013年3月1日(金) 赤坂BLITZ

<「TOURバロック現象」第0現象>
2013年3月3日(日) 赤坂BLITZ
[一般発売] 1/26(土)
[問]NEXTROAD 03-5712-5232(平日14:00-18:00)

◆バロック オフィシャルサイト
◆ワーナーミュージック・ジャパン
◆BARKS ヴィジュアル系・V-ROCKチャンネル「VARKS」
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