【インタビュー】WEAVER、ニューアルバム『Handmade』で押し開けた新たな扉の向こう側

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1年半ぶり、5作目、過去最長の11曲入り、そしてデビューアルバム以来のセルフ・プロデュース。ポップでスタイリッシュな3ピースのピアノバンドとして安定した人気を持つWEAVERが、新たに押し開けた扉の向こうにあったのは“音楽の冒険”という広く豊かな世界だった。ニューアルバム『Handmade』に込めた様々な挑戦とバンドとしての新たな決意について、三者三様の言葉で語る真実のWEAVER像がここにある。

◆いままでも根底にあった“きれいごとのような言葉をきれいごとじゃなくしていきたい”という思いを、ちゃんと言葉にするのが正直でいいのかなと思った。

――もう一聴しただけで、“これは前とは違うぞ”と思いましたよ。

河邉徹(以下、河邉/Drum & Chorus):今まで以上に達成感のある作品で、胸を張って出せる作品がやっとできました。11曲も入ったアルバムを作ったのは初めてで、しかもプロデューサーの亀田(誠治)さんの力を借りずに自分たちだけでプロデュースして、今まで学んだことを発揮できたので。すごく自信になる作品です。

――2012年の春のツアーで、3人だけで小さなライブハウスを中心に回ったじゃないですか。今思うと、アルバムにつながる流れはあそこから始まっていたのかな? と。

河邉:そうですね。2011年のツアーが終わった時に、“次は3人だけで作品を作ろう”という気持ちがあって、2012年はそういう年にしようと思ったんですよ。そのひとつが前回のライブハウス・ツアーで、全国31か所33公演というたくさんの会場を回って、自分たちの音楽を3人だけで伝えていくことをやって、そこで3人の力がすごく磨かれたんですよね。今までやらなかったセッションみたいなことをやり出して、新しいことにどんどん挑戦できたのが大きくて、3人のグルーヴがそこで磨かれたと思います。

杉本雄治(以下、杉本/Piano & Vocal):WEAVERは3ピースなので、ウワモノ(メロディ楽器)が僕しかいなんですよ。そういう部分で、今までは勢いに任せていた部分があったんですけど、3人だけでやっていく以上はもっと精度を高めて、僕が責任持って音を作らなきゃいけないということを強く感じました。ツアーではピアノとシンセを2台使って、表現としていろんな音を出していく難しさを実感しましたし。でもそれが結局、アルバムのレコーディングにもつながったなと思ってます。

――ピアノ中心の3ピースって、あんまりお手本がいないでしょう。今も昔も。

河邉:僕らはもともとギターバンドをやっていたんですけど、ピアノバンドに変わった時にも、お手本になるものは少なかったんですよね。その頃教えてもらったのがベン・フォールズ・ファイヴで、すごく感動して影響を受けたりしましたけど、やっぱりお手本の数は少ないなとは思います。だからこそ自分たちが作れるものがあるんじゃないか? という気持ちはずっとあって、今回の『Handmade』は、歌だけじゃなくて楽器で遊んでるところも聴いて楽しんでもらいたいと思って作ったアルバムなので、そこも楽しんでもらえたらうれしいですね。

――1曲目に早速、3つの楽器で会話しているような、自由闊達なインストの「Performance」が入ってます。

杉本:昔は“インストで伝わるかな?”“WEAVERのお客さんは歌を聴きたいんじゃないか?”という不安もあったんですよ。でも2012年のライブハウス・ツアーで、インストのセッションみたいなことをやって、“いい”と言ってもらえたので。7月にビルボード東京でやった<MTV Unplugged>のライブでもそういう要素を増やして、すごく手応えも感じられたので。インスト曲でアルバムのオープニングを飾れたら、新しいWEAVERをわかりやすく見せられるんじゃないかな? と思って、今回入れました。

――語り始めると全曲解説になってしまいそうなので。あえてそれぞれの“推し曲”を1曲ずつ、挙げてもらえますか。

奥野翔太(以下、奥野/Bass & Chorus):2曲目の「Shall we dance」は2011年の年末にできた曲なんですけど、疾走感があってキャッチーなメロディで、ピアノのリフもいいなと思ってたんですよ。でもその時僕が作っていたAメロが、J-POPのテンプレートにはまったような、いかにも歌もののAメロという感じで。その後のライブハウス・ツアーで勝ち得たものを踏まえて、“WEAVERは歌もカッコいいけどサウンドもカッコいいんだぜ”という、ひと皮むけた部分が、この曲には足りてないんじゃないか? と。それで杉本がAメロを書き換えてくれて、今のWEAVERを見せられる曲になったんですよ。間奏も最初はもっと大雑把な作りだったのが、“今ならもっとできる気がする”といって、3人でセッションしながら作っていって。そういう進化が『Handmade』というアルバムを象徴しているので、「Shall we dance」はすごく思い入れのある曲です。

――僕は「風の船」が好きなんですよね。ちょっとジャズっぽい感じのグルーヴに乗った、ベースの響きがすごくいい。

奥野:六弦ベースを使ってるんですよ。この曲は今までにない感じの、すごく細かいリズム感を持った曲なので、六弦ベースを初めてレコーディングで使ってみたら好評で、自分でもしっくり来たので。可能性を広げてくれた曲だと思います。

――その次の「Reach out」も、イントロのクラシック調のフレーズが好き。…って、結局全曲解説になりそうだ(笑)。

杉本:僕ら二人とも、メロディのポップさにおいてキャッチーなものを書く自信はあるんですけど、やっぱりそこだけじゃなくて、このアルバムではもっと音楽的な面白さをサウンドで出して行きたいという思いがあったので。今まであまりやってこなかったんですけど、「風の船」も「Reach out」もリズムから構築していって、最終的にメロディを乗せるという作り方をしてるんです。楽器にも明確に意味を持たせることができた2曲だと思いますね。

――河邉くんの推し曲は?

河邉:全曲それぞれこだわりがあるし、1曲を選べと言われても…。

――じゃあこっちから、気になるところを聞いちゃいます。「ふたりは雪のように」のドラム、あれは打ち込み?

河邉:いや、生でやってます。

杉本:奇跡のテイクです。

河邉:録る前に3人で音のイメージを共有しあって、“ドラムはたっぷりミュートする”“絶対にフィル・インをしない”というのがあったんですよ。最後まで何もせずにやり通すのがカッコいいと思ったので。すごくシンプルなフレーズなので、統一した空気感を出すにはすごく集中力が必要だし、演奏していて難しい曲でした。

――すごくいい音が鳴ってますよ。言ったみたいに、ループのように聴こえるシンプルなリズムで。

杉本:グルーヴが絶妙ですよね。河邉は普段はせっかちだから、前に行きがちなんですけど(笑)。この曲はどっしりとしたグルーヴ感があって、歌っていても違いがすごくわかるんですよ。歌う時に安心感があるというか、たっぷりと呼吸ができる感じがありましたね。

――あと、一番最後の「The sun and clouds」に入ってる弦楽器。これは生ですよね。

杉本:はい。曲を彩るウワモノについて、ちゃんと僕が責任を持ってやらないといけないという思いがあったので、今回は弦のアレンジも自分でやりました。自分の楽器だったら手グセでやってもいいかもしれないけど、ストリングスの人に弾いてもらう時は、そこに妥協があったらすごく失礼なことだから、それは絶対ないようにと思ってました。音の構築も一音一音、“これがベストなんだ”という意味を持って作っていったので、それをやりとげたことは、また次につながるんだと思います。

――河邉くんには、歌詞についても聞きます。アルバムの前半には、ちょっと気持ちが落ち込んだり悩んだりしている人を励ますような希望の歌があって、中盤にはラブソングとか、自分の心の中のダークな面をえぐりだすようなシリアスな曲もあって。最後にはすごく大きな愛に包まれる世界を示唆して終わっていくという、アルバム全体がそんな流れに聴こえたんですよ。それは僕個人の聴き方だからいいとして、河邉くんが今回の詞を書くにあたって、どんなことを意識していたのかな? と。

河邉:今まで以上に自分の意志をもっと書こうと思ってました。それはそうしようと思ったというよりは、自然とそうなっていった感じです。正直なことを伝えたくて、それがたとえ望まれていないことであっても、そこまでちゃんと書けるアーティストでありたいと思ったし、そこで共感してもらえれば一番強いことだと思ったんですよ。今までは“この世界って幸せでしょ?”という歌詞を、特にライブで歌うことをイメージして、きれいな言葉をみんなで共有して幸せになるということを考えていたんですけど、今はそれだけじゃなくて、痛みとかも正直に書いて、そこで共有しあえれば強いんじゃないかな? と思うんです。そういうことは望まれていないかもしれないし、すごく主観的になってしまうかもしれないけど、この『Handmade』というアルバムは、誰かに文句を言われるわけでもなく、自分たちで進んで行くものだから、そういう作品の中でこういうことをちゃんと歌いたいなと思ったので、そういう歌詞を書きました。

――たとえば1曲目「Shall we dance」に“きれいごとは何もしてくれない”というようなフレーズがありますよね。

河邉:まさにそういうことです。それはアルバムを象徴している言葉でもあるんですけど、今までも“きれいごとのような言葉をきれいごとじゃなくしていきたい”という思いが根底にあって。それで人が幸せになればいいなと思ってきたんですけど、もしかしたらそれをはっきり言葉にしたほうが伝わるのかな? と。それは詩的ではないかもしれないけど、ちゃんと言葉にするのが正直でいいのかなと思ったんですね。

――その思いはすごく伝わると思いますよ。そして『Handmade』というタイトルは誰が?

河邉:僕がみんなに提案したんですけど、3人で作品を作りたいねというみんなの共通の意識があったからこそ出た言葉です。それと僕らのデビューアルバムが『Tapestry』(つづれ織り)なので、そこにつながるニュアンスの言葉を探して、『Handmade』にしました。

――そしてもう2013年。WEAVERにとって、どんな1年にしますか。

奥野:2012年は3人で原点回帰するライブハウス・ツアーをして、自分たちの力でアルバムを作って、本当にたくさんのものを自分たちの手でつかみとってきたと思うので。今はすごくいい流れに乗れているので、2013年は次のステージに進める1年にしたいと思ってます。まずは3月から始まる次のツアーを成功させて、年の初めにやったライブと、年の終わりにやったライブが“全然違うじゃん”と言われるくらい、目に見てわかるぐらいに新しいことにどんどん挑戦していく1年にできたらいいなと思ってます。

取材・文●宮本英夫



DVD Single
「REPLAY~Medley of Handmade~」
AZNT-1 ¥1,000(税込)
※TOWER RECORDS/TSUTAYA RECORDS/山野楽器/Ready Set Go!!会場での限定販売

New ALbum
『Handmade』
初回盤(DVD付き) AZZS-14 ¥3,300(税込)
※7月にビルボード東京で開催されたMTV Unpluggedライブ映像5曲に加え、2012年のWEAVERの活動を追ったドキュメント映像が収録
通常盤 AZCS-1022 ¥2,800(税込)
<収録曲(初回・通常盤共通)>
01.Performance(税込)
02.Shall we dance
03.風の船 ~Bug’s ship~
04.Reach out
05.blue bird
06.アーティスト
07.君がいた夏の空
08.ふたりは雪のように
09.偽善者の声
10.Free will
11.The sun and clouds

<CDショップ・サイン会サーキットスケジュール>
1月16日(水) 17時~ HMV栄店 (HMVイオンモールナゴヤドーム前店)
1月16日(水) 19時~ タワーレコード名古屋パルコ店 (タワー名古屋近鉄パッセ店)
1月17日(木) 19時~ タワーレコード梅田NU茶屋町店 (タワー梅田大阪マルビル店/タワー難波店/タワーあべのHoop店)
1月18日(金) 17時~ HMV三宮店  (HMV阪急西宮ガーデンズ店)
1月18日(金) 19時~ タワーレコード神戸店
1月19日(土) 14時~ タワーレコード横浜モアーズ店
1月20日(日) 15時~ タワーレコード渋谷店
1月20日(日) 20時~ タワーレコード新宿店
1月27日(日) 14時~ SHIBUYA TSUTAYA

対象店舗でアルバム「Handmade」をお買い上げの方に「サイン会参加券」を差し上げます。
(  )内はサイン会会場以外での参加券配布
詳しくはオフィシャルサイト、開催CDショップにて、ご確認ください。
今後開催CDショップが追加決定することもあります。

<WEAVER Handmade TOUR 2013「Piano Trio Performance」>
2013年03月20日(祝・水)仙台・RENSA
2013年03月23日(土)札幌・ペニーレーン
2013年03月30日(土)新潟・LOTS
2013年04月06日(土)高松・MONSTER
2013年04月07日(日)広島・CLUB QUATTRO
2013年04月13日(土)福岡・Drum LOGOS
2013年04月14日(日)大阪・Zepp NAMBA
2013年04月20日(土)名古屋・Zepp NAGOYA
2013年04月21日(日)東京・Zepp DiverCity

◆WEAVER オフィシャルサイト
◆「Handmade」特設サイト
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