lynch.【インタビュー】「LIGHTNING」“明日死ぬかもしれないんだから、やっちゃえよ!”っていう意味に取ってもらいたい

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最新アルバム『INFERIORITY COMPLEX』で未だかつてない“速さ、激しさ、切なさ”を追求し、それに伴う全国ライヴハウス・ツアー<THE FATAL EXPERIENCE>では、バンド史上最高に熱いライヴを繰り広げたlynch.。しかし、ニュー・シングル「LIGHTNING」は、そこから一転。“今という瞬間を感じながら、後悔しないように生きていこう”という葉月(Vo)の人生哲学が濃厚に盛り込まれた、なんとlynch.初のメッセージ・ソングに仕上がっている。常日頃から絵画のように歌詞を描き、メッセージ性など求めないと公言していた彼に果たして何があったのか!? lynch.最大の問題作と言っても過言ではない、このシンプルな疾走チューンについて、作者・葉月が語る。

◆lynch.「LIGHTNING」~拡大画像~

■沢山の人に聴いてもらうにはどうしたらいいか?
■初めて素直に向き合ってみたんです

――新曲の「LIGHTNING」を一聴し、歌詞を拝見させていただいたところ、この曲には相当に強いメッセージが籠められていますよね。

葉月:はい。その通りです。

――これまでインタビューのたび、“歌詞にメッセージ性は籠めない”と語ってきた葉月さんだったので、本当に驚きました。そのスタンスを一転させた理由は何だったんでしょう?

葉月:それは、今までメッセージ性が無かったからですね(笑)。たいていのアーティストがメッセージ性を重視する中、“特にメッセージは無いです”と公言することでインパクトを狙ってた部分もあったんですが、メジャー・デビューから1年半経って、さすがにそろそろ効き目が無くなってきたかなと。何より、自分的にも作詞に関して刺激が無くなってきていて、じゃあ、何がいちばん刺激的だろう?と考えたとき、今まで考慮してこなかったメッセージ性というものを、目一杯詰め込むことじゃないかと思ったんです。

――なるほど。今までやってこなかっただけにね。

葉月:もともと今回のシングルには、“沢山の人に聴いてほしい”っていうコンセプトがあったんですよ。なので、レコード会社のスタッフにデモを聴かせて、どうしたらいいのか意見を求めたら、やっぱり歌詞にメッセージ性は絶対欲しいと。それで決まりましたね。歌詞にメッセージを籠めることは。

――自分たちのやりたいことだけを貫いて、周囲に一切おもねることのないのがlynch.の個性でもあったのに、これまた何故そのようなコンセプトを?

葉月:その“やりたいこと”が、具体的に見えてなかったのが一番の理由ですね。例えば前作の『INFERIORITY COMPLEX』(2012年6月発売の最新アルバム)のときは、テンポの速い曲にツービートやシャウトを多用して激しさを打ち出そう!っていうテーマがあったけれど、今回は本当にフラットで。そもそも“沢山の人に聴いてほしい”っていう気持ちは、ずっと自分の中にあったんですよ。ただ、そこで今までは“メジャーの宣伝力に激しい音を乗せたらどうだろう?”みたいな感じで、少しヒネくれたアプローチをしていたのが、今回は“じゃあ、沢山の人に聴いてもらうには、どうしたらいいんだろう?”と、初めて素直に向き合ってみたんです。

――裏返すと、ヒネくれたアプローチでlynch.というバンドの一筋縄ではいかない加減を十分にアピールしてきたからこそ、今、素直になれたのかもしれないですね。

葉月:どうでしょう(笑)。ま、そこでメッセージを籠めようということになったとき、やっぱり本当に自分の中にある想いじゃないとダメだろうと思って探っていった結果、“人生は一度しかなくて、明日死ぬかもしれないんだから、今、この瞬間を後悔しないように生きよう”っていうところに辿り着いたんです。そこだけは僕、常に意識してるんですよ。例えば今、超腹が減ってたとして、目の前にコンビニがあっても、食べたいものが30分タクシーに乗った先にあるなら、迷わずタクシーに乗る。万が一のとき“俺の最後のメシ、コンビニかよ!”って後悔しながら死ぬのはイヤだから(笑)。

――その考え方って、そういえば今までの作品にも下敷きとして存在していましたよね。

葉月:そうですね。だから新たに生まれたテーマではないんですけど、その矛先が今までは自分だったんですよ。いわば独り言に過ぎなかったのが、今回、初めて外に向けてみた。いわば“今という瞬間を意識して生きてほしい”というメッセージを、部屋で曲を聴いている一人一人に届けたくて、それで写真やPVではガラスの飛び散ってる様を使ってみたんです。

――一瞬で粉々になるガラスのように、時間というものは脆く儚い。だからこそ大切にしなければいけないんだ……って考えると、ちょっと焦ってしまう部分もありますけどね。“私、こんなことやってる場合じゃないのに”って。

葉月:いや、そう思われるのは本意ではなくて。この曲の“明日死ぬかもしれない。今は今しか無いんだ”っていうメッセージは、僕にとっては戒めじゃなくて支えなんですよ。その想いがあるからこそ何にでも挑戦できるというか、“今しか無いんだから俺、頑張んなきゃダメじゃん”ではなく、“明日死ぬかもしれないんだから、やっちゃえよ!”っていう意味で取ってもらいたい。そこで瞬間みたいなものを力強く切り裂いていく稲妻のイメージがあったから、稲妻=「LIGHTNING」と名づけたんです。実際、最初は“稲妻となれ”的な歌詞もあったんですね。でも、それはメロディが変わっていく中で自然と無くなって、タイトルだけが残ったという。

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