サイモン・ラトル指揮ベルリンフィル、ブルックナーの未完成交響曲第9番をリリース

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サイモン・ラトルが指揮する世界最高峰のオーケストラ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が、ブルックナーの交響曲第9番(第4楽章付)をリリースした。

これは、クラシックファンにとって、近年最大の事件と言ってもよいのではないだろうか。その理由を以下に記す。

「未完成」と言えば、シューベルトの交響曲第9(8)番がつとに有名だ。しかしそれだけではない。マーラーの交響曲第10番、そしてブルックナーの交響曲第9番も「未完成」なのである。この交響曲第9番というのが問題で、“書くと死ぬ”番号として作曲家たちが恐れるのが、この第9番なのだ。

ベ―トヴェン、ドヴォルザーク、シューベルトは、第9番目の交響曲を完成させて亡くなった。この“第9交響曲のジンクス”を恐れたマーラーは、大急ぎで第10番に着手するが、やはり完成前に亡くなってしまう。ブルックナーは、最初の交響曲2つを、00番と0番と名付けることで事の回避を図るも、結局第9番を作曲しているさ中に亡くなってしまったのだ。

そしてその時、この第9番の楽譜が散逸するという最悪の事態が起こってしまった。ブルックナーの死の知らせは瞬く間に広まり、訪れた多くの人の手によって、おびただしい数の自筆譜が、「記念に」「想い出に」「おみやげに」と持ち去られてしまったのだ。死の当日まで書き続けていた交響曲第9番第4楽章の楽譜もそこに含まれていた。

研究家があらゆる手を尽くして蒐集するも、いまだ完全な形では集まり切らず、幻の楽曲となってしまっているのが実情なのだ。

そんな困難を乗り越え、残った楽譜を基にした膨大なる研究や分析の末、今回の楽譜が完成したのが2012年2月1日。25年かけて完成された最終稿を基に、2012年2月7日~9日録音が行われた。

サイモン・ラトルは語る。
「この作品を、ブルックナーを自分たちの血、肉としているベルリン・フィルと一緒に演奏できることは大変意義のあることですし、さらにはこの演奏をコンサート会場に来た方々だけでなく、多くの聴衆の方々に聴いていただくべく、EMIが録音を決心してくださったことにも私は意義を感じています」


このアルバムの世界発売は5月14日予定。日本盤は世界に先駆けて5月9日に発売された。さらに、高音質リスナーから好評のSACDハイブリッド盤は日本だけという、日本のファンには嬉しすぎるリリースとなる。

多くの困難を乗り越えて完成された幻の名盤の誕生だ。この重みを受け止めて、じっくりと耳を傾けたい。

ブルックナー:交響曲第9番(第4楽章付)(SPCM補筆完成2012年版)
サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
2012年5月9日リリース
TOGE-11092 ¥3,300(tax in)

◆サイモン・ラトル・オフィシャルサイト
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