三浦大知、初の日本武道館公演を開催。「今ここがまた新しいスタート地点」

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ヴォーカリストとしての三浦大知にスポットした中盤で披露された「Lullaby」。東日本大地震以降、自らの無力さに打ちのめされそうになり、一時は音楽を聴く事すら出来なかった中で、自分の気持ちを再び音楽と向きあわせてくれたという曲だ。このバラードを、大知はグランドピアノの前に座って、弾き語りでプレイ。100%三浦大知の音、想いに包まれた空間は、優しさからもたらされた幸福感によって満たされていく。そうかと思えば、ライヴでの定番「DANCE NUMBER」では、周りを固めるダンサーとともに、鍛え上げた全身の筋肉を使ってビートを視覚化し、会場を昂揚させる。言うまでもなく、三浦大知のダンススキルは超一流。ダンサーたちともまったく引けをとらない。

昂揚という意味で、会場が大きく沸いたのが「別れのベル」に続いた「Your Love」のイントロ。大知が再び口を開く。

「出会いがあれば別れがあって、その別れがあれば、そのぶん、出会いがある。そういうものだと思います。僕も今日、この武道館、このステージに立つまで、たくさんの出会いを経験してきました。そのたくさんの出会いの中で……」

大知の言葉を耳にして、勘の鋭いファンからは早くも歓声が上がる。まさかと顔を見合わせる人たちもいる。「Your Love」はKREVAとコラボレーションして制作された楽曲だ。

「どうしても、この武道館、このステージで、音楽で恩返しをしたい、そんな人がいます!」

イントロに入るKREVAの声。そして「Dr.K」と声を重ねる1万人。大知は叫ぶ。「そう、Dr.K!」。次の瞬間、センターステージから、鯉のぼりが大胆にデザインされたスーツでシークレットゲストのKREVAが飛び出してくる。「俺が来ないわけねーだろ!」とKREVAが大知とステージ上で握手。そして観客の熱狂を受けて、楽曲は「Your Love」から、大知がフィーチャリング参加したKREVAの「蜃気楼 feat.三浦大知」へ。まさかの武道館公演でのコラボにボルテージも最高潮だ。

バンド紹介を挟んでもこの興奮は収まるはずはなく、ギター・上條頌の歪んだリフを受けての「RUN WAY」で、オーディエンスの伸ばした手の向こうに大知が揺れる。スタッフまでもが拳を突き上げて大盛り上がり状態。さらに、うねるベースラインが心地よい「Love is like a bass line」、そしてleccaが作った「Turn Off The Light」と、限界点を超えてヒートアップ。本編ラストチューンとなった「SHOUT IT」で、もう誰も身体の奥から湧き起こる衝動が止められない。1万人がハンズアップしてリズムに身を委ね、そしてシャウト。そんな熱狂の渦の中心で、熱唱する三浦大知。そんな白熱したライヴは日本武道館をも激しく揺らした。

“DAICHI!”“MIURA!”の大歓声を受けてのアンコールは、「Black Hole」から。ステージ奥に設置された幅17m60cm / 高さ8m、760インチの超大型モニターに映し出されるブラックホールをイメージした映像と、その中心に浮かぶように見える大知の姿は、まさに三浦大知という人の求心力、人を惹きつけて離さない様子をヴィジュアライズしたかのよう。さらに未発表曲の「Elevator」に、リリースされたばかりの新曲「Two Hearts」をライヴで初披露する。

「本当にありがとうございます。なんか、“ありがとう”って言葉も、まあ、こう、霞んじゃうくらいの、そんな気持ちです。なんて言っていいかわかんないですけど。あのー、こう、いろいろ、もちろんありました。ソロデビューしてから7年。でもようやく、みなさんのおかげで、こうやって、武道館のステージに立つことができてですね。でもまったくゴールではないので、しっかり、今までどおりやっていけたらいいな、と。そういうふうに感じています。」

「音楽を通して、みなさんに何かを届けられるように」という気持ちを胸に活動を続けてきた三浦大知からの、この日の最後の曲は、「Magic Word」。不器用だから言葉の代わりに音楽で想いを伝えるという大知らしいナンバー。そしてこの曲で大知は、少年の顔をしながら、最後まで音と戯れていた。

ダンサーズとDMバンドの手をとって、最後の挨拶。これで終わってしまうと誰もが思っていた……が、「最後にどうしても、もう1曲歌いたい曲がありまして。もう1曲歌ってもいいですか?」と、まさかのダブルアンコール。「すべて、音楽に込めて歌いたいと思います。」とだけ伝え、“本当のラストの曲”として披露されたのは、アレンジを新しくした三浦大知のソロデビュー曲「Keep It Goin'On -2012 MIX-」だった。大知は、自身の昂ぶる感情もそのままに、<I got the MUSIC!! / 響かせて>と叫ぶ。その姿、その歌声からは、これからも今までどおりに歩いて行く、すなわち、自分の音楽と真摯に向き合って、しっかりと作っていく、という力強い決意のようなものを感じ取ることができたはずだ。

「夏からまたツアーをやります。すぐ! もうすぐです! 夏はもうすぐそこです! 多分、今までよりも、もっと、いろんな場所で、できるんじゃないかなって思っておりますので。しっかり、もっともっと、ひとつひとつ、一歩一歩、みなさんに音楽を伝えていけたらいいなと思っています。ホントに、ここ、今ここがまた新しいスタート地点だと思っているので、これからも、三浦大知の音楽をよろしくお願いします。」

最後に夏ツアー開催決定を急遽発表した三浦大知。またすぐ会える、またすぐ三浦大知のステージを観ることができる。集まってくれたオーディエンスに、そんな“夢の続き”を告知して、初の日本武道館公演は幕を閉じた。

三浦大知が敬愛してやまない、かのマイケル・ジャクソンは、24歳の時、初めてムーンウォークを披露した。三浦大知は、24歳の時、初めて日本武道館のステージに立った。1984年と2012年。20世紀と21世紀。時代を隔てたふたりの24歳に共通して言えることを、今の段階で挙げるならば、“多くの人たちが、その才能を認め、熱狂した。”と、こんな感じだと思う。

しかし遠い未来において、この両者の24歳を振り返った時。そんな時がきたら、きっとこのように言われることだろう。

“その瞬間から、伝説がはじまったのだ。”と。

text by ytsuji a.k.a. BARKS編集部(つ)
◆三浦大知 オフィシャルサイト
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