ヤマハ、ライヴ向けデジタルミキシングコンソール「CLシリーズ」をお披露目、iPadでコントロール、PC/USBメモリーでライブ録音
ヤマハは、デジタルミキシングコンソール「CLシリーズ」の記者説明会を東京・日本橋三井ホールにて開催した。全国10会場で開催されるCLシリーズの発表内覧会「Here Comes the CL series Tour 2012」(5月22・23日の沖縄県那覇まで順次開催)に先駆けて行われたもので、実機に触れられる国内最初の機会となった。
CLシリーズはライヴコンサート用デジタルミキサー。一般のリスナー、楽器プレーヤーには関係ないプロ用機器でしょ、と思われるかもしれないが、こうしたプロ用機器で培われた技術が、一般向け機器に降りてくるのは珍しくない。そして、現時点でもCLシリーズは、プロではない私達でも注目したくなる要素をいくつか備えた興味深い製品だったのだ。
▲CL3(写真左)とCL1(写真右)。入出力、フェーダー数以外は異なるが、エフェクトなどの機能は共通。
CLシリーズのラインナップは、入力数とフェーダー構成が異なる3タイプのミキシングコンソールを用意。「CL5」(4月発売)はモノラル72ch入力、「CL3」(7月発売)はモノラル64ch入力、「CL1」(7月発売)はモノラル48ch入力で、いずれも8ステレオ入力と8つの「Centralogic」のフェーダーを装備。「CL3」「CL1」にはメーターブリッジ「MBCL」もオプションで用意する。また、I/Oラックには、アナログ32入力/16出力+8ch AES/EBU出力 の「Rio3224-D」(4月発売)と、アナログ16入力/8出力の「Rio1608-D」(7月発売)が用意される。
説明会では、「デジタルミキサーに求められること」として、「音質」「操作性」「機能性」が挙げられ、これに沿って機能説明が行われた。まず「音質」で触れられたのは、「原音に忠実なナチュラルサウンドの実現/高品位且つ、多彩な色付けが可能なエフェクター」。特にヤマハ独自の技術「VCMテクノロジー」によるアナログヴィンテージEQ/Compや、Ruvert Neve DesignsのPorticoシリーズに代表されるエフェクトの多彩さ・充実度がアピールされた。
続く「操作性」は、「Centralogicのブラッシュアップ、視認性の向上、リモート制御の充実」。「Centralogic」は、本体中央に設けられたセクションで、8本のフェーダーから上のディスプレイまで、アナログコンソールのチャンネルモジュールそのものを再現したユーザーインターフェース。ヤマハデジタルコンソール伝統の操作性を実現しながらも、さらに進化。フェーダーはどの角度からでも値がわかるような視認性の高い形状とし、チャンネルディスプレイも状態がすぐわかるものとなっている。
そして、一般ユーザーが最も興味を持ちそうなのが、iPadシリーズ専用の制御アプリケーション「CL StageMix for iPad」の存在だろう。これは、CLシリーズを無線LAN経由で操作ができるというもの。たとえば、コンサートホール内で、各位置での聞こえ方をチェックしながらその場で設定が変更できるのだ。また、CLシリーズ本体にiPadをセットする場所が用意されるなど、iPadがかなり重視されていることがわかる。また、Windows/Mac対応のアプリケーション「CL Editor」でのリモート制御も可能なほか、iPad用StageMixとの同時接続が可能な点もアピールされた。1人はStageMixでモニターの調整を行い、ほかの1人はCL Editorでネームエディットを行うといった具合。作業効率のアップが図れるというわけだ。
最後「機能性」で触れられたのは、Dante Networkへの対応と、ライヴ録音環境との高い親和性だ。「Dante」は、Audinate社が開発したネットワークオーディオプロトコルで、使用環境に合わせてI/Oラックの台数や設置場所を自由に構成できるというシステム。一般ユーザーには、LANケーブル1本で多チャンネルのオーディオ伝送を可能という点だけでも魅力的に映るかもしれない。というのも、CLシリーズ付属のライブ録音に特化したソフトウェア「Nuendo Live」(Steinberg社のDAW「Nuendo」の特別バージョン)では、このDante Network経由で(すなわちPCとCLシリーズをLANケーブル1本でつなぐだけで)、CLシリーズから64トラックの録音が可能となっているのだ。
また、CLシリーズ本体だけでも、USBメモリーを接続するだけで、2トラックのダイレクト録音が可能。USBメモリーからの再生も可能なので、BGM再生や効果音のポン出しにも使える。
これらの録音機能は、ライヴレコーディングへの需要が大きくなってきたことに応えた結果だという。CLシリーズなら従来よりもかなりシンプルにライヴレコーディング環境が構築できることがわかる。こうした機能は我々リスナーにもうれしい結果をもたらしそうだ。たとえば、コンサートツアーを考えてみよう。CLシリーズとノートパソコンでライヴレコーディング、そのノートパソコンを宿泊先に持って帰ってミックス作業を行い、コンサート当日中にインターネットで配信することができる環境が揃うのだ。それがツアー中、毎日行われる。そして、私達はコンサートの模様をパッケージした音源が当日中に購入できるようになる。CLシリーズによるこうした恩恵を受けられる日もそう遠くはないかもしれない。
▲Centralogicは、CLシリーズの名称の元となったオペレーションスタイルで、M7CLから受け継いだもの。ディスプレイは大型タッチパネルとなっている(写真左、中)。写真右はI/Oラックの「Rio3224-D」「Rio1608-D」。
<ヤマハ デジタルミキシングコンソール>
◆CL5
発売日:2012年4月
◆CL3
発売日:2012年7月
◆CL1
発売日:2012年7月
<ヤマハ I/Oラック>
◆Rio3224-D
発売日:2012年4月
◆Rio1608-D
発売日:2012年7月
※価格はすべてオープン
◆CLシリーズ 製品詳細ページ
◆ヤマハ
◆音質、操作性、信頼性のすべてにおいて大きく進化した次世代ミキサー、ヤマハ デジタルミキシングコンソール「CLシリーズ」
◆BARKS 楽器チャンネル
CLシリーズはライヴコンサート用デジタルミキサー。一般のリスナー、楽器プレーヤーには関係ないプロ用機器でしょ、と思われるかもしれないが、こうしたプロ用機器で培われた技術が、一般向け機器に降りてくるのは珍しくない。そして、現時点でもCLシリーズは、プロではない私達でも注目したくなる要素をいくつか備えた興味深い製品だったのだ。
▲CL3(写真左)とCL1(写真右)。入出力、フェーダー数以外は異なるが、エフェクトなどの機能は共通。
CLシリーズのラインナップは、入力数とフェーダー構成が異なる3タイプのミキシングコンソールを用意。「CL5」(4月発売)はモノラル72ch入力、「CL3」(7月発売)はモノラル64ch入力、「CL1」(7月発売)はモノラル48ch入力で、いずれも8ステレオ入力と8つの「Centralogic」のフェーダーを装備。「CL3」「CL1」にはメーターブリッジ「MBCL」もオプションで用意する。また、I/Oラックには、アナログ32入力/16出力+8ch AES/EBU出力 の「Rio3224-D」(4月発売)と、アナログ16入力/8出力の「Rio1608-D」(7月発売)が用意される。
説明会では、「デジタルミキサーに求められること」として、「音質」「操作性」「機能性」が挙げられ、これに沿って機能説明が行われた。まず「音質」で触れられたのは、「原音に忠実なナチュラルサウンドの実現/高品位且つ、多彩な色付けが可能なエフェクター」。特にヤマハ独自の技術「VCMテクノロジー」によるアナログヴィンテージEQ/Compや、Ruvert Neve DesignsのPorticoシリーズに代表されるエフェクトの多彩さ・充実度がアピールされた。
続く「操作性」は、「Centralogicのブラッシュアップ、視認性の向上、リモート制御の充実」。「Centralogic」は、本体中央に設けられたセクションで、8本のフェーダーから上のディスプレイまで、アナログコンソールのチャンネルモジュールそのものを再現したユーザーインターフェース。ヤマハデジタルコンソール伝統の操作性を実現しながらも、さらに進化。フェーダーはどの角度からでも値がわかるような視認性の高い形状とし、チャンネルディスプレイも状態がすぐわかるものとなっている。
そして、一般ユーザーが最も興味を持ちそうなのが、iPadシリーズ専用の制御アプリケーション「CL StageMix for iPad」の存在だろう。これは、CLシリーズを無線LAN経由で操作ができるというもの。たとえば、コンサートホール内で、各位置での聞こえ方をチェックしながらその場で設定が変更できるのだ。また、CLシリーズ本体にiPadをセットする場所が用意されるなど、iPadがかなり重視されていることがわかる。また、Windows/Mac対応のアプリケーション「CL Editor」でのリモート制御も可能なほか、iPad用StageMixとの同時接続が可能な点もアピールされた。1人はStageMixでモニターの調整を行い、ほかの1人はCL Editorでネームエディットを行うといった具合。作業効率のアップが図れるというわけだ。
最後「機能性」で触れられたのは、Dante Networkへの対応と、ライヴ録音環境との高い親和性だ。「Dante」は、Audinate社が開発したネットワークオーディオプロトコルで、使用環境に合わせてI/Oラックの台数や設置場所を自由に構成できるというシステム。一般ユーザーには、LANケーブル1本で多チャンネルのオーディオ伝送を可能という点だけでも魅力的に映るかもしれない。というのも、CLシリーズ付属のライブ録音に特化したソフトウェア「Nuendo Live」(Steinberg社のDAW「Nuendo」の特別バージョン)では、このDante Network経由で(すなわちPCとCLシリーズをLANケーブル1本でつなぐだけで)、CLシリーズから64トラックの録音が可能となっているのだ。
また、CLシリーズ本体だけでも、USBメモリーを接続するだけで、2トラックのダイレクト録音が可能。USBメモリーからの再生も可能なので、BGM再生や効果音のポン出しにも使える。
これらの録音機能は、ライヴレコーディングへの需要が大きくなってきたことに応えた結果だという。CLシリーズなら従来よりもかなりシンプルにライヴレコーディング環境が構築できることがわかる。こうした機能は我々リスナーにもうれしい結果をもたらしそうだ。たとえば、コンサートツアーを考えてみよう。CLシリーズとノートパソコンでライヴレコーディング、そのノートパソコンを宿泊先に持って帰ってミックス作業を行い、コンサート当日中にインターネットで配信することができる環境が揃うのだ。それがツアー中、毎日行われる。そして、私達はコンサートの模様をパッケージした音源が当日中に購入できるようになる。CLシリーズによるこうした恩恵を受けられる日もそう遠くはないかもしれない。
▲Centralogicは、CLシリーズの名称の元となったオペレーションスタイルで、M7CLから受け継いだもの。ディスプレイは大型タッチパネルとなっている(写真左、中)。写真右はI/Oラックの「Rio3224-D」「Rio1608-D」。
<ヤマハ デジタルミキシングコンソール>
◆CL5
発売日:2012年4月
◆CL3
発売日:2012年7月
◆CL1
発売日:2012年7月
<ヤマハ I/Oラック>
◆Rio3224-D
発売日:2012年4月
◆Rio1608-D
発売日:2012年7月
※価格はすべてオープン
◆CLシリーズ 製品詳細ページ
◆ヤマハ
◆音質、操作性、信頼性のすべてにおいて大きく進化した次世代ミキサー、ヤマハ デジタルミキシングコンソール「CLシリーズ」
◆BARKS 楽器チャンネル
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