ヤマハが新製品をお披露目 アナログとデジタルを融合、iPhoneでエフェクト調整可能なミキサー「MGP」、パワードスピーカー「DXR/DXS」ほか

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ヤマハは、2月7日、ヤマハ銀座スタジオにおいて内覧会を開催、InterBEE2011およびWinterNAMM2012で発表された新製品を関係者向けに展示、プレゼンテーションを行った。

紹介された製品は、InterBEEで発表されたデジタルミキサーの「01V96i」、WinterNAMMで発表されたパワードスピーカー「DXR/DXSシリーズ」、そしてアナログミキサーの「MGPシリーズ」。このほか、同社のデジタルミキサー向けの拡張カードなども紹介された。


▲01V96のボディカラーは精悍なブラックカラーに変更。展示はUSB接続されたパソコンとともに。
●デジタルミキサー「01V96i」

「01Vシリーズ」は、1998年に誕生し、2003年に「01V96」にバージョンアップ。最新モデルの「01V96i」は前モデル「01V96VCM」をベースに、近年ライブ市場でニーズが高まっているマルチトラックレコーディングに対応したモデル。多彩なVCMエフェクトを追加搭載、ヘッドアンプの見直しによる音質面での強化も図られている。

オーディオインターフェイスとしての機能は、96kHz対応の16IN/16OUT。PCに接続するだけでマルチトラックレコーディングが可能となる。Steinberg Cubase AI6が付属するので、すぐに録音環境が構築可能だ。また、エフェクトは、01V96VCMに搭載されていた「Channel Strip」「Reverb」に加え、新たに「Master Strip」(オープンリールレコーダー)、「Vintage Stomp」(往年の名機コンパクトエフェクター)が搭載されている。価格はオープンプライス。


▲プレゼンテーションでは各サイズの聴き比べを実演。D-CONTOURをONにすると音に元気が出る。
●パワードスピーカー「DXR」&サブウーファー「DXS」シリーズ

WinterNAMMで発表された「DXR/DXS」シリーズは、その場で5000台の受注を受けるという好評を得たパワードスピーカー&サブウーファー。ヨーロッパではパワードスピーカーがパッシブスピーカーの2倍以上の売上となっているほどのトレンドとなっているという。先代DSRシリーズで好評だった高品質なサウンドとクラストップレベルの最大音圧レベルを継承。よりコンパクトで、より汎用性を高め、よりお求めやすい価格で、をコンセプトに開発されている。

おもな用途としては、小中規模コンサート/イベントPAをメインに、リハーサルスタジオ/学校/教会などを含む小・中規模施設もターゲットとしている。仮設PAでは可搬性の高さ、設置の簡便さが優位となるほか、固定設備には天吊り、Uブラケットで柔軟に対応できるというメリットがあるとした。また、DSP制御による高度な保護機能や、FOH/MAINモードおよびMONITORモード搭載の「D-CONTOUR(Dynamic Contour)」によるDSPプリセット(DXSはBOOSTモードとXTENDED LFモード)、簡易ミキサー機能の搭載なども特徴となっている。

フルレンジDXRシリーズは8/10/12/15インチの4モデル、サブウーファーDXSシリーズは12/15インチの4モデルをラインナップ。サブウーファーは新開発のバンドパス方式を採用、少ない振幅数で大きな出力が得られ、メカニカルノイズにも強いというメリットがある。価格はDXR8で71,400円、DXS12で92,400円から。


▲一般的な垂直のほか手前に傾けて設置するためのネジ穴も装備。さまざまな設備に対応できるUブラケットもオプションで用意する。

●アナログミキサー「MGPシリーズ」

ヤマハのアナログミキサー生誕40周年を記念して送り出すプレミアムアナログミキサーが「MPGシリーズ」。想定ユースケースは既存のMGシリーズと同様、小中規模コンサート/イベントPA、小規模固定設備など。ラインナップは12チャンネルの「MPG12」(81,900円)、16チャンネルの「MGP16」(102,900円)の2モデル。

前モデルからのハードウェアの進化としては、シャーシが金属に変更、ラックマウントパーツが用意されるほか、ACアダプタ不要のユニバーサル電源となって点が挙げられる。アナログの進化では、ディスクリートClass-AプリアンプD-PRE搭載による音質面の強化に注目。1つのノブ操作でコンプレッサー効果をもたらす1-knob compressorsはLED搭載で効果がわかりやすくなっているのもポイントだ。イコライザーは、デジタルミキサーに搭載されているVCMEQでアナログ回路で再現した、ビンテージタイプの新開発EQ「X-pressive EQ」を搭載する。

そしてさらなる特徴が、アナログミキサーながらデジタル技術が投入されているところ。まず、エフェクトに、業務用定番機「SPX2000」のプログラム「SPX」に加え、「DM2000」などに搭載されているリバーブ「REV-X」を内蔵。また、「Hybrid Channel」と名付けられた、アナログとデジタル技術の融合による新しいアナログミキサーの使用方法の提案だ。対象チャンネルはMGP12Xでは9/10および11/12チャンネル、MGP16Xでは13/14および15/16チャンネル。このチャンネルはノブなど見た目こそアナログだが、AD/DAコンバータによるデジタル処理が行われる。機能としては、MCなどがしゃべり始めるとBGMの音量を自動で下げてくれる「Priority Ducker」、再生するBGMの音量を揃えることで曲ごとの音量差を少なくする「Leveler」、ステレオ信号をモノラルにしてL/Rchでバランスがまったく異なる曲を違和感なく再生する「Stereo Image」の3つが用意される。



▲Hybrid Channel専用のエフェクトは3種類。いずれも手間なくBGMを聴かせる設備用を意識したようなエフェクトだ。iPhone用コネクタはトップパネルに用意。


▲iPhoneアプリででエフェクトをコントロール。設備用のBGM再生に便利な「Hybrid Channel」のエフェクトや、高品位なリバーブも細かく調整可能。
そして、iPhone/iPod用の端子が用意されるので、アナログ入力端子をつぶす必要がないのもうれしいところ。デジタル接続で音質面でメリットがあるほか、電源供給も可能。さらに、エフェクトをiPhoneアプリ「MGP Editor」(3月1日よりApp Storeで無償配布)で細かい設定が可能となる。たとえば、上記「Priority Ducker」では、自動で音量を下げるレベルや、音量を元に戻すリリースタイムの設定がグラフィカルな画面で行える。ミキサーのパネルに出ていないパラメーターの調整も可能だ。ミキサー内蔵エフェクトは数値による設定がメインでわかりにくいものが多いが、iPhoneアプリにより効果が把握しやすくなるのは大きなメリットだ。

このほか内覧会では、同社デジタルミキサー向けのMYカードのプレゼンテーションも実施。PAでの複数スピーカーの管理をグループ分け、レイヤー表示などでグラフィカルに行えるLAKEプロセッシングカード「MY8-LAKE」、複数人の話者の音量コントロールを自動で行うオートマチックミキサーカード「Dugan-MY16」が紹介された。

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