【D.W.ニコルズ・健太の『だからオリ盤が好き!』】 第30回 第30回記念特別編「続・僕らのアナログレコーディング」
さて、2度目となるアナログレコーディング。何と言っても一度経験しているのですから、その経験を生かしてこそ、です。前回のアナログレコーディングで感じたこと ── 各楽器の存在感の大きさ、演奏のニュアンスやグルーヴの生々しさなど(第19回参照)── を、より生かしたレコーディングにするため、オーバーダビングを極力少なくすることはもちろん、楽曲のアレンジにおいては細かいところまで詰めすぎずに、そのテイクならではのものを大切にしました。これらは今回の作品・サウンドコンセプトにそのまま繋がることでもあります。
前回はアナログ一発録りならではの緊張感が作品に良い影響を与えてくれましたが、今回は2度目ということで、程よい緊張感の中でリラックスしてレコーディングすることができました。それによって “アナログならではの音”を、より感じ、楽しむことができ、それがさらにレコーディングを面白いものにしてくれました。
レコーディングにおいて、テイクは重ねれば重ねるほど新鮮さが失われ、ある意味の躍動感が失われていきます。なので、音作りの段階で仮録りして音のチェックをする場合には、なるべく本番での新鮮さが失われないように、1コーラス程度の演奏を仮録りしてコントロールルームで音のチェックをするのですが、アナログレコーディングの場合、この時点ですでに音がめちゃくちゃ良いのです。太くふくよかで、張りがあってパンチが効いていて、それでいてなめらか。そう、これはまさにオリ盤のような音。この音が、僕たち演奏する側の気持ちを高めてくれます。これはすごく大切なことだと感じています。特に今回のように一発録りの場合、この気持ちの高まりがそのまま演奏に出ると思うのです。今回はリラックスしていた分、前回よりもさらにそれを感じることができ、より生きたテイクを録ることができたように思います。
また、今回はアナログレコーディングだからこそチャレンジできたこともあります。アナログレコーディングの場合、音色に関して「変」というものがないように思えるのです。すごく突飛な音作りをしても、なぜか“アリ”だと感じる。むしろカッコ良くさえ聴こえるのです。ビートルズの音作りなんかはまさにそうだと思います。これはなぜなのでしょう。よくわかりませんが、アナログではそこに“うそ”がないからなのかもしれません。だから、思い切った音作りにもチャレンジできましたし、色んなアイデアも思いつき、より面白味のあるサウンドを作ることができました。
これらのことに加え、第19回でも色々書いているように、アナログレコーディングには素晴らしい部分がたくさんあります。しかし、それが絶対的に良いとは決して言い切れません。アナログの音質にしても“古臭い”と言われればそれまでかもしれませんし、アナログレコーディングが作品に与える影響も、諸刃の剣でもあります。
しかし、僕たちは今の時代だからこそ、その質感を大切にしたいと思いました。もちろん、その質感がこの作品に合っていると思ったからこそなのですが、そこには絶対に忘れてはいけない、大切な何かがあると思うのです。そしてそれは単なるノスタルジーでは決してなく、大袈裟かもしれませんが、人間の本質的な何かである気がしてなりません。
でも僕はその何かを、絶対大切にすべきだと大声で叫びたい訳でもないのです。表現のひとつとしてただ大切にしていたいと思います。そして誰かが必要だと思ったとき、ちゃんとそれはここにあるんだと気付けるようにしたいと思います。
また、その何かがすっかり忘れ去られてしまうのではないかという危機感を持っているわけでもありません。アメリカではアナログレコードの売り上げが大幅に伸びていると言います。その大切な何かは、誰かが大声で叫ぼうとも叫ばなくとも、静かに大切にされていくものだと思うのです。
最後に、アナログレコーディングについて、D.W.ニコルズのフロントマンである、わたなべだいすけの言葉を。
アナログテープがそこで回っていると安心。
電話やメールじゃなく
直接会って話をしているような
そんな安心感。
そういうことなのだと、思います。
text by 鈴木健太(D.W.ニコルズ)
◆連載『だからオリ盤が好き!』まとめページ
◆鈴木健太 Twitter(D.W.ニコルズ)
--------------------------------
「イイ曲しか作らない」をモットーに、きちんと届く歌を奏で様々な「愛」が溢れる名曲を日々作成中のD.W.ニコルズ。
2005年9月に、わたなべだいすけ(Vo&Ag)、千葉真奈美(Ba&Cho)が中心となり結成。
その後、鈴木健太(Eg&Cho)、岡田梨沙(Drs&Cho)が加わり、2007年3月より現在の4人編成に。
一瞬聞き返してしまいそうな…聞いた事がある様な…バンド名は、「自然を愛する」という理由から、D.W. =だいすけわたなべが命名。(※C.W.ニコル氏公認)
D.W.ニコルズ ファーストワンマンツアー2011
「それいけ!ワンマンマンツアー」
11/11(金)@新潟GOLDENPIGS BLACK
11/13(日)@福岡SPIRAL FACTORY
11/15(火)@高松SUMUS cafe(アコースティック)
11/16(水)@広島 楽座(アコースティック)
11/19(土)@渋谷CLUB QUATTRO
11/25(金)@大阪JANUS
11/27(日)@名古屋ell.FITS ALL
12/2(金)@仙台パークスクエア
12/4(日)@札幌COLONY
※詳細はD.W.ニコルズオフィシャルHPまで。
2ndアルバム『ニューレコード』
2011年1月26日リリース
曲目:01.バンドマンのうた 02.あの街この街 03.一秒でもはやく 04.チャールストンのグッドライフ 05.大船 06.風の駅 07.HAVE A NICE DAY! 08.2つの言葉 09.レム 10.Ah!Ah!Ah! 11.beautiful sunset
【CD+DVD】
価格:3,000円
品番:AVCH-78025/B
【DVD収録内容】“2 MUSIC SHOW! & 2 MUSIC VIDEO”
【CD only】
価格:2,500円
品番:AVCH-78026
◆D.W.ニコルズ オフィシャルサイト
前回はアナログ一発録りならではの緊張感が作品に良い影響を与えてくれましたが、今回は2度目ということで、程よい緊張感の中でリラックスしてレコーディングすることができました。それによって “アナログならではの音”を、より感じ、楽しむことができ、それがさらにレコーディングを面白いものにしてくれました。
レコーディングにおいて、テイクは重ねれば重ねるほど新鮮さが失われ、ある意味の躍動感が失われていきます。なので、音作りの段階で仮録りして音のチェックをする場合には、なるべく本番での新鮮さが失われないように、1コーラス程度の演奏を仮録りしてコントロールルームで音のチェックをするのですが、アナログレコーディングの場合、この時点ですでに音がめちゃくちゃ良いのです。太くふくよかで、張りがあってパンチが効いていて、それでいてなめらか。そう、これはまさにオリ盤のような音。この音が、僕たち演奏する側の気持ちを高めてくれます。これはすごく大切なことだと感じています。特に今回のように一発録りの場合、この気持ちの高まりがそのまま演奏に出ると思うのです。今回はリラックスしていた分、前回よりもさらにそれを感じることができ、より生きたテイクを録ることができたように思います。
また、今回はアナログレコーディングだからこそチャレンジできたこともあります。アナログレコーディングの場合、音色に関して「変」というものがないように思えるのです。すごく突飛な音作りをしても、なぜか“アリ”だと感じる。むしろカッコ良くさえ聴こえるのです。ビートルズの音作りなんかはまさにそうだと思います。これはなぜなのでしょう。よくわかりませんが、アナログではそこに“うそ”がないからなのかもしれません。だから、思い切った音作りにもチャレンジできましたし、色んなアイデアも思いつき、より面白味のあるサウンドを作ることができました。
これらのことに加え、第19回でも色々書いているように、アナログレコーディングには素晴らしい部分がたくさんあります。しかし、それが絶対的に良いとは決して言い切れません。アナログの音質にしても“古臭い”と言われればそれまでかもしれませんし、アナログレコーディングが作品に与える影響も、諸刃の剣でもあります。
しかし、僕たちは今の時代だからこそ、その質感を大切にしたいと思いました。もちろん、その質感がこの作品に合っていると思ったからこそなのですが、そこには絶対に忘れてはいけない、大切な何かがあると思うのです。そしてそれは単なるノスタルジーでは決してなく、大袈裟かもしれませんが、人間の本質的な何かである気がしてなりません。
でも僕はその何かを、絶対大切にすべきだと大声で叫びたい訳でもないのです。表現のひとつとしてただ大切にしていたいと思います。そして誰かが必要だと思ったとき、ちゃんとそれはここにあるんだと気付けるようにしたいと思います。
また、その何かがすっかり忘れ去られてしまうのではないかという危機感を持っているわけでもありません。アメリカではアナログレコードの売り上げが大幅に伸びていると言います。その大切な何かは、誰かが大声で叫ぼうとも叫ばなくとも、静かに大切にされていくものだと思うのです。
最後に、アナログレコーディングについて、D.W.ニコルズのフロントマンである、わたなべだいすけの言葉を。
アナログテープがそこで回っていると安心。
電話やメールじゃなく
直接会って話をしているような
そんな安心感。
そういうことなのだと、思います。
text by 鈴木健太(D.W.ニコルズ)
◆連載『だからオリ盤が好き!』まとめページ
◆鈴木健太 Twitter(D.W.ニコルズ)
--------------------------------
「イイ曲しか作らない」をモットーに、きちんと届く歌を奏で様々な「愛」が溢れる名曲を日々作成中のD.W.ニコルズ。
2005年9月に、わたなべだいすけ(Vo&Ag)、千葉真奈美(Ba&Cho)が中心となり結成。
その後、鈴木健太(Eg&Cho)、岡田梨沙(Drs&Cho)が加わり、2007年3月より現在の4人編成に。
一瞬聞き返してしまいそうな…聞いた事がある様な…バンド名は、「自然を愛する」という理由から、D.W. =だいすけわたなべが命名。(※C.W.ニコル氏公認)
D.W.ニコルズ ファーストワンマンツアー2011
「それいけ!ワンマンマンツアー」
11/11(金)@新潟GOLDENPIGS BLACK
11/13(日)@福岡SPIRAL FACTORY
11/15(火)@高松SUMUS cafe(アコースティック)
11/16(水)@広島 楽座(アコースティック)
11/19(土)@渋谷CLUB QUATTRO
11/25(金)@大阪JANUS
11/27(日)@名古屋ell.FITS ALL
12/2(金)@仙台パークスクエア
12/4(日)@札幌COLONY
※詳細はD.W.ニコルズオフィシャルHPまで。
2ndアルバム『ニューレコード』
2011年1月26日リリース
曲目:01.バンドマンのうた 02.あの街この街 03.一秒でもはやく 04.チャールストンのグッドライフ 05.大船 06.風の駅 07.HAVE A NICE DAY! 08.2つの言葉 09.レム 10.Ah!Ah!Ah! 11.beautiful sunset
【CD+DVD】
価格:3,000円
品番:AVCH-78025/B
【DVD収録内容】“2 MUSIC SHOW! & 2 MUSIC VIDEO”
【CD only】
価格:2,500円
品番:AVCH-78026
◆D.W.ニコルズ オフィシャルサイト
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