【D.W.ニコルズ・健太の『だからオリ盤が好き!』】 第30回 第30回記念特別編「続・僕らのアナログレコーディング」

ポスト

D.W.ニコルズの鈴木健太です。

『だからオリ盤が好き!』も今回で30回!
と、いうことで、今回は“第30回記念特別編”として、僕の本業であるD.W.ニコルズの、9月に行なったレコーディングについて書いてみようと思います。


▲M5「バイシクルブルース」の1コマ。奥田民生さんが以前所有・使用していたGibson Les Paul。オープンチューニングにてボトルネック。
今回のレコーディングは、11月から始まる初の全国ワンマンツアーで会場限定販売するミニアルバム『WAY25e.p.』の制作だったのですが、前回の『ニューレコード(2011年1月発売の2ndアルバム)』に続き、アナログレコーディングを取り入れて制作を行ないました。その前回のアナログレコーディングについては、この連載で新春特別編として第19回「僕らのアナログレコーディング」で取り上げたものがとても好評をいただきました。そこで今回も、第30回記念「続・僕らのアナログレコーディング」として取り上げてみることにしました。

今回、再びアナログレコーディングを取り入れたのには理由があります。

今回レコーディングした『WAY25e.p.』は、初の全国ワンマンツアーに来てくれた人たちにニコルズの新しいものを届けたい、という気持ちがきっかけで制作が決まったものです。ライヴ会場限定販売ということもあり、アレンジを詰めて作り込んだ作品ではなく、ライヴの雰囲気も伝わるような、ラフで自然体でシンプルな作品にしたい、と考えました。また、収録曲の歌詞の内容も日常に寄り添うような人間臭いものが多いので、等身大の自分達の凸凹した部分もサウンドに反映させたいとも思いました。

そのためにはやはり、「基本的に一発録りでその場の空気まで一緒に閉じ込め、なるべくオーバーダビングも行なわない方がいいだろう。そしてより人間味溢れたものにするためには、あたたかみのある音質で、演奏のテイクや各楽器の表現力がそのまま生きるアナログレコーディングがベストではないか」という結論に至ったのです。


▲スイスのメーカーSTUDERの名機中の名機、A80。数え切れない名盤はこのMTRでレコーディングされました。これは16トラック。70年代以降は24トラックが主流となりました。
今回のアナログレコーディングはStudio Dedeにて。名機中の名機STUDER A80の、 16トラックのアナログ・マルチトラックレコーダー(MTR)を使いました。前回『ニューレコード』のレコーディングで使ったのは24トラックのMTRでしたが(機種は覚えていません、というか機種まではわかりません…)、今回はより少ないトラック数でのレコーディングとなりました。

レコーディング&ミックス・エンジニアは前回に続き、秋窪博一 氏。氏曰く、「16トラックは24トラックよりもさらに音が太い」とのこと。さすがに僕にはそこまではわかりませんが、とにかく音の太さと倍音のふくよかさに度肝を抜かれたのは事実です。
この記事をポスト

この記事の関連情報