[クロスビート編集部員リレー・コラム] 杉山編「ジェイムス・ブレイク」
ダブステップ周辺のシーンから登場し、アルバムには未収録ながら代表曲の一つとなった「CMYK」を含む一連のシングル群で高評価を獲得。2011年初頭にリリースされたセルフ・タイトルのデビュー作では、深いエコーをかけた独特のヴォーカル・トラックでソウル・ミュージックやゴスペルにも通じる音世界を披露したジェイムス・ブレイク。アルバムに対する評判は日本でも日に日に増すばかりという印象だが、そんな彼が早くも最新EPを発表! タイトルは「EnoughThunder」で全5曲入り。アトラスから10月10日にリリースされた。
それに先立って、彼は自身のツイッターでボン・イヴェールとのコラボ曲「Fall Creek Boys Choir」を発表。ボン・イヴェールといえば昨年はカニエ・ウェストの新作に参加したりと、USインディ・アクトながら他ジャンルとの共演にも引っ張りだこの人気者。今年の2作目では全米規模でブレイクした感もあるだけに、両者のコラボは早速大きな話題になった。サウンド自体は2人の魅力を足し算的に合わせた印象。同曲の他、ジェームス・ブレイクによるジョニ・ミッチェルのカヴァーもEPに収録されている。
ダブステップ・シーンでは今年に入って全英トップ5・アルバムが続出しており、8月後半にはドラムンベース界隈とポップ化したダブステップとを繋ぐネロが遂に全英1位を獲得。その一方で、アンダーグラウンドではファンキーやウォンキーといった新たなベース/ビート・ミュージックと併走しながら多様性を増している。デビュー作で称賛された独特のヴォーカル・エディットを更に発展させた本作の雰囲気は、ジェイムス・ブレイクがダブステップであってダブステップではない独自の場所にいることを伝えるものではあるけれど、そうした昨今の状況も手伝って、彼の音楽はますます大きな注目を集めていくことだろう。
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