「人はひとりでは生きていけないということが、うれしく感じられた。」 Kiroro・玉城千春、ソロデビュー曲「神様」への想い

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── 「神様」は、そんな自分と向き合いながら作った作品になるわけですよね。

玉城:
そうですね。でも、作ろうと思ったきっかけは、震災でしたね。自分の無力さに何も出来ずに落ち込んでいたので、“どうして?”“なんで?”って訴えかけるような曲だったんですけど、ヴォイスの西尾さんと話していくうちに、みんなで歌える曲にしたいと思えるようになってきて、サビを大きく変えたんです。

── 歌詞も、みんなに届くようにと。

玉城:
今回は、被害にあった方々の気持ちを考えたし、みんなに届いてほしいって想いで書きました。でも、それと同時に私自身に向けるかな。歌えなかった日々のつらさ、こんなに愛されてるのに、どこか虚無になってる自分への怒りと重なって、これ以上の悲しみを子供たちに与えないでって思って……(涙が流れる)。ごめんなさい。神様のせいじゃないってわかってるけど、この気持ちわかってって想いで書きました。

── ボーカル録りには、かなりこだわって時間をかけたとか。

玉城:
5時間ぐらい歌ってましたね。本当にいろんなパターン、いろんな声で歌ってみたんですけど、そのどれもが、ほんっとに楽しくて!(笑)ちょっと前までは何時間もぶっ続けで歌えることすら出来なかったわけですからね。あんまりに幸せすぎて、帰りに空港で、ひとりビールで祝杯あげましたよ(笑)。

── カップリングはライブバージョンを2曲。

玉城:
1曲目の福原美穂さんの「LOVE~winter song~」は、<世界中にありったけの花束と喜びを>という歌詞が大好きなので、その気持ちが伝わったらいいなと思って。「真っ赤な太陽」は、大好きなスタッフに歌ってほしいと言われたので挑戦してみた1曲ですね。3曲とも、本当に歌えて幸せな曲ばかりでした(にっこり)。

── 「神様」を作り上げたあとで、そんなに素敵に笑えるようになったということですよね。

玉城:
それは間違いないですね。歌えなかったころの私は、気持ちが弱かったんだなって思うんです。でも、こんな自分を愛してくれる人がいて、ちゃんと怒ってくれる人がいる。だから、私もみんなを信じられるようになった。同じように、将来、子供たちが独り立ちすると言い出したときに、私たちだけじゃなく、たくさんの人に支えてもらいながら生きるはずなんです。そのときに、みんなが支えあえる世の中であってほしいという気持ちで作った曲です。人はひとりでは生きていけないということが、うれしく感じられた。その想いがみんなにも届けばうれしいです。

取材・文●大庭利恵


◆玉城千春からの動画コメント
◆玉城千春 オフィシャルサイト
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