【D.W.ニコルズ・健太の『だからオリ盤が好き!』】 第26回「検証!ディラン版モノ・ボックス『BOB DYLAN / The Original Mono Recordings』 -その(1)-」
さて、ではこのボックスセットを見ていきましょう。
厚く硬い紙製の箱にキッチリと8枚のアルバムと、ブックレットが1冊、収まっています。
このブックレットは、グリール・マーカスによるライナーノーツ(英文)付きのディラン写真集という感じで、若き日のそれはそれは格好良いディランの写真がふんだんに使われています。
そして8枚のアルバムは、オリジナル盤の仕様が忠実に再現されています。まずはジャケット。色合いに関しては、日焼け・退色していないオリジナル盤のジャケットなんて見たことがない(何しろ40年以上前のものですから)ので何が正解なのかはわかりませんが、たとえば『The Times They Are A-Changin'』の特殊な紙質も再現されていますし、他のアルバムにしても、ジャケットを作る際の、のり付けのされ方なんかも忠実に再現されていてとても良くできているなあ、とニヤニヤしてしまいます。文字表記関係も、表裏、そして背表紙も、品番や会社所在地などの細かい表記に至るまで完璧と言える再現がなされていると思います。
また、当時のカンパニースリーブ(レコード会社の宣伝等の印刷が施された、ジャケット内でレコードを入れる紙製の袋=インナースリーブ)や、同封されているアートワークまでしっかりと再現されているのも、嬉しいところです。
レコード盤は、全て180g重量盤(連載 第25回『Robbie Robertson / How To Become Clairvoyant』~現代のアナログ盤を聴く 参照)。レコード・レーベルもオリジナルレーベルの完全復刻です。
たとえば1st『Bob Dylan』(1962)のレコードレーベルは、コロンビアのマークが6カ所にデザインされた、「6eye」(6ッ目)と呼ばれる、1962年まで使用されたレーベル【図(1)】。
2nd『The Freewheelin' Bob Dylan』(1963)、3rd『The Times They Are A-Changin'』(1964)、4th『Another Side Of Bob Dylan』(1964)、5th『Bringing It All Back Home』(1965)の4作は、コロンビアのマークが2カ所にデザインされた、いわゆる「2eye」(2ッ目)レーベル(この「2eye」のデザインはMONO盤自体が終了する まで続きます)で、その中でもこれらはレーベル下部に「GUARANTEED HIGH FIDELITY」と表記のある、1962~1965年まで使用されたレーベルです【図(2)】。
6th『Highway 61 Revisited』(1965)、7th『Blonde On Blonde』(1966)は、「2eye」でもそれまでの「GUARANTEED……」がなくなって「360 SOUND MONO」となった、いわゆる「360SOUND」レーベル。1965~1967年に使用されたものです【図(3)】。
そして8th『John Wesley Harding』(1968)は1967年から使用され、MONO盤の発売自体がなくなるまで、恐らく1~2年で姿を消した、同じく「2eye」で今度は「360SOUND」がなくなって「MONO」のみの表記となったレーベル【図(4)】。
このように、「2eye」でも年代別でしっかりと3種類のオリジナル・レーベルが復刻されているのに驚きました。そして1stの「6eye」。「6eye」の『Bob Dylan』の本物のオリジナルMONO盤なんて滅多にお目にかかれるものではありません。これらは予想以上に僕の心を満たしてくれるものでした。
ジャケット、インナー、そしてレコードレーベル。まさかここまでオリジナルに忠実に再現されているとは思っていませんでした。初期8作品のディランのオリジナルMONO盤が、欲しくても手を出せずにいた僕にとって、この仕様は本当に嬉しいものでした。そしてこの喜びはやはりレコードだからこそのものだろうなあ、とつくづく思いました。このボックスセット、CDのセットももちろんあるのですが、そちらはこのアナログの仕様をCDサイズにしたもののようなのです。それはそれで良いものなのだとは思うのですが、この「本物と同じ感じ」は、きっと伝わりにくいのだろうなあ、と思ってしまいます。
さて、外観を一通り検証してみたところで、今回はこの辺で。
次回はいよいよその音について検証してみたいと思います。そして『Highway 61 Revisited』では、僕が持っている本物のUSオリジナルMONO盤との比較、『John Wesley Harding』のUKオリジナルMONO盤との比較などもしてみたいと思います。どうぞお楽しみに!
オリ盤探求の旅はまだまだ続くのであります。
text by 鈴木健太(D.W.ニコルズ)
◆連載『だからオリ盤が好き!』まとめページ
◆鈴木健太 Twitter(D.W.ニコルズ)
--------------------------------
「イイ曲しか作らない」をモットーに、きちんと届く歌を奏で様々な「愛」が溢れる名曲を日々作成中のD.W.ニコルズ。
2005年9月に、わたなべだいすけ(Vo&Ag)、千葉真奈美(Ba&Cho)が中心となり結成。
その後、鈴木健太(Eg&Cho)、岡田梨沙(Drs&Cho)が加わり、2007年3月より現在の4人編成に。
一瞬聞き返してしまいそうな…聞いた事がある様な…バンド名は、「自然を愛する」という理由から、D.W. =だいすけわたなべが命名。(※C.W.ニコル氏公認)
2ndアルバム『ニューレコード』
2011年1月26日リリース
曲目:01.バンドマンのうた 02.あの街この街 03.一秒でもはやく 04.チャールストンのグッドライフ 05.大船 06.風の駅 07.HAVE A NICE DAY! 08.2つの言葉 09.レム 10.Ah!Ah!Ah! 11.beautiful sunset
【CD+DVD】
価格:3,000円
品番:AVCH-78025/B
【DVD収録内容】“2 MUSIC SHOW! & 2 MUSIC VIDEO”
【CD only】
価格:2,500円
品番:AVCH-78026
厚く硬い紙製の箱にキッチリと8枚のアルバムと、ブックレットが1冊、収まっています。
このブックレットは、グリール・マーカスによるライナーノーツ(英文)付きのディラン写真集という感じで、若き日のそれはそれは格好良いディランの写真がふんだんに使われています。
そして8枚のアルバムは、オリジナル盤の仕様が忠実に再現されています。まずはジャケット。色合いに関しては、日焼け・退色していないオリジナル盤のジャケットなんて見たことがない(何しろ40年以上前のものですから)ので何が正解なのかはわかりませんが、たとえば『The Times They Are A-Changin'』の特殊な紙質も再現されていますし、他のアルバムにしても、ジャケットを作る際の、のり付けのされ方なんかも忠実に再現されていてとても良くできているなあ、とニヤニヤしてしまいます。文字表記関係も、表裏、そして背表紙も、品番や会社所在地などの細かい表記に至るまで完璧と言える再現がなされていると思います。
また、当時のカンパニースリーブ(レコード会社の宣伝等の印刷が施された、ジャケット内でレコードを入れる紙製の袋=インナースリーブ)や、同封されているアートワークまでしっかりと再現されているのも、嬉しいところです。
レコード盤は、全て180g重量盤(連載 第25回『Robbie Robertson / How To Become Clairvoyant』~現代のアナログ盤を聴く 参照)。レコード・レーベルもオリジナルレーベルの完全復刻です。
たとえば1st『Bob Dylan』(1962)のレコードレーベルは、コロンビアのマークが6カ所にデザインされた、「6eye」(6ッ目)と呼ばれる、1962年まで使用されたレーベル【図(1)】。
2nd『The Freewheelin' Bob Dylan』(1963)、3rd『The Times They Are A-Changin'』(1964)、4th『Another Side Of Bob Dylan』(1964)、5th『Bringing It All Back Home』(1965)の4作は、コロンビアのマークが2カ所にデザインされた、いわゆる「2eye」(2ッ目)レーベル(この「2eye」のデザインはMONO盤自体が終了する まで続きます)で、その中でもこれらはレーベル下部に「GUARANTEED HIGH FIDELITY」と表記のある、1962~1965年まで使用されたレーベルです【図(2)】。
6th『Highway 61 Revisited』(1965)、7th『Blonde On Blonde』(1966)は、「2eye」でもそれまでの「GUARANTEED……」がなくなって「360 SOUND MONO」となった、いわゆる「360SOUND」レーベル。1965~1967年に使用されたものです【図(3)】。
そして8th『John Wesley Harding』(1968)は1967年から使用され、MONO盤の発売自体がなくなるまで、恐らく1~2年で姿を消した、同じく「2eye」で今度は「360SOUND」がなくなって「MONO」のみの表記となったレーベル【図(4)】。
このように、「2eye」でも年代別でしっかりと3種類のオリジナル・レーベルが復刻されているのに驚きました。そして1stの「6eye」。「6eye」の『Bob Dylan』の本物のオリジナルMONO盤なんて滅多にお目にかかれるものではありません。これらは予想以上に僕の心を満たしてくれるものでした。
ジャケット、インナー、そしてレコードレーベル。まさかここまでオリジナルに忠実に再現されているとは思っていませんでした。初期8作品のディランのオリジナルMONO盤が、欲しくても手を出せずにいた僕にとって、この仕様は本当に嬉しいものでした。そしてこの喜びはやはりレコードだからこそのものだろうなあ、とつくづく思いました。このボックスセット、CDのセットももちろんあるのですが、そちらはこのアナログの仕様をCDサイズにしたもののようなのです。それはそれで良いものなのだとは思うのですが、この「本物と同じ感じ」は、きっと伝わりにくいのだろうなあ、と思ってしまいます。
さて、外観を一通り検証してみたところで、今回はこの辺で。
次回はいよいよその音について検証してみたいと思います。そして『Highway 61 Revisited』では、僕が持っている本物のUSオリジナルMONO盤との比較、『John Wesley Harding』のUKオリジナルMONO盤との比較などもしてみたいと思います。どうぞお楽しみに!
オリ盤探求の旅はまだまだ続くのであります。
text by 鈴木健太(D.W.ニコルズ)
◆連載『だからオリ盤が好き!』まとめページ
◆鈴木健太 Twitter(D.W.ニコルズ)
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「イイ曲しか作らない」をモットーに、きちんと届く歌を奏で様々な「愛」が溢れる名曲を日々作成中のD.W.ニコルズ。
2005年9月に、わたなべだいすけ(Vo&Ag)、千葉真奈美(Ba&Cho)が中心となり結成。
その後、鈴木健太(Eg&Cho)、岡田梨沙(Drs&Cho)が加わり、2007年3月より現在の4人編成に。
一瞬聞き返してしまいそうな…聞いた事がある様な…バンド名は、「自然を愛する」という理由から、D.W. =だいすけわたなべが命名。(※C.W.ニコル氏公認)
2ndアルバム『ニューレコード』
2011年1月26日リリース
曲目:01.バンドマンのうた 02.あの街この街 03.一秒でもはやく 04.チャールストンのグッドライフ 05.大船 06.風の駅 07.HAVE A NICE DAY! 08.2つの言葉 09.レム 10.Ah!Ah!Ah! 11.beautiful sunset
【CD+DVD】
価格:3,000円
品番:AVCH-78025/B
【DVD収録内容】“2 MUSIC SHOW! & 2 MUSIC VIDEO”
【CD only】
価格:2,500円
品番:AVCH-78026
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