日本を愛する16才のロシア美少女Fye(ファイ)「いつかは日本でもライヴをしたい」

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3月9日に自主制作盤リリースで日本デビューを飾った16才のロシア人少女Fye(ファイ)。日本の音楽から深く影響を受けたFyeが生み出した作品は、彼女が愛する日本のボーカロイド作品やアニメソングのカバーで構成され、その『結唱マトリョーシカ - 十六才の罪と罰 -』に見せた衝撃的なクオリティとボーカル・スキルは、センセーショナルなデビューを飾るには十分すぎるインパクトを持っていた。

◆Fye画像

そんな彼女だけに、3月11日に震災は、Fyeにも大きな衝撃を与えたようだ。

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時に、国というものは、どんな非劇よりも深い試練に直面することがあります。
日本に起きた災害は、自然が引き起こしたものでした。大きな不運であっても、誰を責めることも出来ません。
Fye:日いづる国」の光景を目の当たりにし、被災者の皆さんのことを想い、世界中の人々がとても胸を痛めています。どこに住んでいても、どんな言葉を話しても、どんな宗教であっても、世界の人々は、大災害と戦い続けている勇敢な皆さんの救済を祈っています。
ロシアの人々は、隣人である日本の皆さんが困難の中にあることに対し、助け合いの精神で共に乗りこえる力になれることを切望しています。
私達はロシアから深い祈りを捧げます。そして、日本がこの不運から抜けだせることを願い、そう長くないうちに再び力強く立ち上がることを信じています。──Fye

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Fyeの活動は、supercellの人気曲「恋は戦争」をカバーした動画を自らYouTubeに投稿したところから始まる。動画は40万を超えるPVを記録し、その後転載されたニコニコ動画でも30万を超えるアクセスを受け、ロシアの音楽学校に通う現役女子高校生Fye(ファイ)の存在がじわじわと話題となっていった。

7歳の頃から音楽学校で鍛えた安定力抜群のヴォーカル・スキルを持ちながら、敢えて西洋の歌唱法に固執せず楽曲に最適な歌唱を追求したという『結唱マトリョーシカ - 十六才の罪と罰 -』では、アニソンの名曲はもちろん、人が歌うことが想定されていないボカロ楽曲までも軽やかにエモーショナルに歌いこなし、彼女のスキルと感動的な表現力を聞かせてくれる。

DECO*27やsasakure.UKの生歌ヴァージョン、中川翔子「空色デイズ」、高橋洋子「残酷な天使のテーゼ」と楽曲的にも聴きどころの多い本作は、どのようにして出来上がったのか、来日中の彼女に直撃し、その秘密に迫ってみた。

──はじめまして、日本にようこそ。まずはFyeさんのこれまでの音楽的なキャリアについて教えていただけますか?

Fye:7歳から音楽学校に通ってました。その時は通いながら合唱のメンバーの一員として音楽コンテストやコンサートに参加してたんです。12歳の頃からソロで歌うようになって、国際的なコンテストやイベントに出るようになりました。

──成績はどうだったんですか?

Fye:う~ん、いつも最優秀賞ではないですけど(笑)、優秀賞は多かったです。そのうち少しずつフェスティヴァルに参加するようになって、日本関連のイベントにもボランティアなどで参加するようになりました。ロシア人で日本文化に関心のある人の中では知られている方じゃないかなと思います。それで、ある時、インターネットに日本のボカロ曲を歌った動画を上げたら、声をかけられて現在に至っているという感じですね。

──今はロシアでは何を?

Fye:今はロシアのとても有名な音楽の専門学校に奨学金で通っています。日本で言えば高校にあたる学校ですね。そこでは声楽にはこだわらず、色んな音楽の勉強をしています。

──すごい勉強熱心なんですね。多くの人が興味を持っていると思うんですが、あなたがアニメやボーカロイドの楽曲にハマったのは何故だったんでしょうか?

Fye:どこの国でも日本のポップカルチャーに興味を持つきっかけで一番大きいのは多分アニメだと思います。私もきっかけはアニメでした。ロシアでは日本のアニメがとても人気でテレビでも放映されていたんです。周りの子たちも観てたんですが、違ったのは、みんなが映像に興味があった中で、私はアニメのオープニングやエンディングテーマも興味を持ったことだったんです。

──ちなみに最近観た中で印象的だった作品はありますか?

Fye:『パンティ&ストッキング・ウィズ・ガーターベルト』みたいな今っぽい作品にすごく興味があります!

──楽曲もエレクトロをはじめとする最新の音楽が導入されてますもんね。ちなみにFyeさんにとってニコニコ動画の楽曲やアニソンの魅力ってなんでしょうか?

Fye:難しいですけど…ニコニコ動画のプロデューサーたちはプロでない人も多いですけど、彼らの作る楽曲にはココロがこもっているからだと思います。あと、日本独特のフィーリングが入っています。なんと言うか…人のぬくもりとかですね。アニメソングはストーリーと映像、そして音楽が絡み合って展開していくのを見るのがとても楽しいです。

──アニソン、ボカロ楽曲はいわゆるJ-POPに比べてより多くのジャンルが混在しているように感じられます。

Fye:私も色々なジャンルが入っているとは思います。ただ、主流になっているのはやはりポップだと思いますね。アニメソングとニコニコ動画がJ-POPと大きく離れているとは思わないです。密接に結びついているように感じられます。

──今回のアルバム『結唱マトリョーシカ』を聴いたのですが、いわゆる西洋の歌唱というよりは日本の歌唱に近い歌い方だなと感じました。歌い方をはじめ意識した点があったら教えて下さい。

Fye:元々ロシアで学んだ歌唱法を日本の文化に持ち込もうとはあまり思っていませんでしたね。あと、日本の歌い方に敢えて合わせようとは思いませんでした。自分の歌いたいように歌おうと思って取り組みました。

──具体的に大事にしたポイントはありますか?

Fye:私にとってどの曲もそうなんですけど、まずは自分がその曲をどう受けとめるか、その曲が語り出す気持ちや感情についてどう思うかを重視してるんです。それぞれの歌い方の差よりは、曲の世界と自分自身の気持ちをどう表現するか。後は演劇的な部分も入れようと考えて取り組みました。

──ちなみにアニソン2曲が入っていますが、その楽曲を選んだ理由を教えて下さい。

Fye:アニメ・ソング2曲に関しては両方とも作品が気に入っているからです。とても有名な作品ですし傑作だと思います。日本でも有名ですし雰囲気も大好きです。ボーカロイドの6曲に関しては全てが違うカラーの楽曲ですね。雰囲気もストーリーも。ロックっぽい曲もあれば、エレクトロニックな楽曲もある。でも違うからこそ面白いと思います。

──ちなみに収録曲の中で一番お気に入りの楽曲はどれになりますか?

Fye:とっても難しい質問です。全ての曲に親しみもあるしココロの一部になっているからです。でも、一番ココロを入れて練習して難しくて、ココロを込めたのは『13's MeMory』ですね。

──分かりました。ところで先ほどロシアで開催される日本文化のイベントについてお話されていましたが、ロシアでは日本のカルチャーはどのような広がりを見せているんでしょうか?

Fye:この5年間でロシアにおける日本文化に対する関心度は高くなっていると思います。日本文化の認識がどんどんポジティヴなものになって、イベントも立ち上がり、どんどん発展をしています。大げさじゃなくて若者の6割くらいは日本文化に関心を持っていると私は思ってます。今では1年間に7回くらい、それも500人から2000人くらいは集まる大規模なフェスが行われています。小規模なものはそれよりも多くなってきています。イベントのテーマやスタイルは様々で、アジア全体を取り扱うイベントも出てきました。ただ、ロシアではカラオケは人気ですが、日本の音楽に関するイベントはまだ少ないですね。

──今後のFyeさんの目標を教えていただけますか?

Fye:夏にロシアのモスクワで音楽フェスティヴァルを開催したいですね。音楽に関するフェスはまだマイナーなのでどうなるか分からないですが、それはロシア人が日本の音楽について知るきっかけがこれまでになかったからだと思うんです。だからこそ日本の音楽をロシアに広めていきたいと思います。二つ目はフェスティヴァルを国際的に展開していきたいと思います。日本での活動について言えば、CDのリリースが本当に楽しみですね!個人的には色んな音楽の伝わり方を勉強しながら、いつかは日本でもライヴをしたいと思います。これは夢ですけどね(笑)。

Interviewed by 佐藤譲


『結唱マトリョーシカ - 十六才の罪と罰 -』
2011年3月9日(水)発売
neotyo-1001 2,000円(税込)
■VOCALOID楽曲カバー
1.二息歩行 [Original Track by DECO*27]
2.Until Rebirth [Original Track by Myriad]
3.孤独の果て [Original Track by 光収容]
4.13's MeMory [Original Track by saiB]
5.アリスにさよなら [Original Track by Nem]
6.カムパネルラ(DECO*27 Remix) [Original Track by sasakure. UK]
■アニメソングカバー
7.残酷な天使のテーゼ
8.空色デイズ
■ボーナストラック
9・残酷な天使のテーゼ (off vocal)
10.空色デイズ(off vocal)

◆Fyeオフィシャルサイト
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