ローランド2011年新製品発表、V-Piano GrandやギターシンセGR-55、Loop Stationなど多数登場
ローランドは、2月8日に東京・赤坂ブリッツにて「ローランド・ニュープロダクツ・ミーティング2011」を開催、多数の新製品を発表した。
今回の発表会では、1月にアメリカ・アナハイムで開催された世界最大の楽器トレードショーであるNAMMショーで出展した新製品が多数紹介された。新製品についてはすでにプレスリリースが出されているものが主だが、実機を実際に見られる国内では最初の機会ということもあり、多数のデモ演奏を交え紹介された新製品に大きな注目が集まった。
イベントの冒頭ではNAMMショーで発表された電子楽器で映像をコントロールする世界共通規格である「MIDI VISUAL CONTROL」にも触れられた。「MIDI VISUAL CONTROL」は、同社が独自に開発したV-LINKをベースに、日本の業界団体AMEIとアメリカのMMAにより制定されたものだ。このほか今後の事業展開について、販売店とのビジネスをサポートするため、各種コンテスト、コンサートやイベントを積極的に展開していくことも示された。映画館で本格的な演奏が楽しめる、ワーナー・マイカル・シネマズにおける「ローランド・ライブ・イン・シネマ・コンプレックス」をその一例として紹介。こちらは無声映画を電子オルガンの生演奏で楽しめるライブ・コンサートだ。
●新開発サウンド・システム搭載のフラッグシップV-Piano Grand
さて、今回発表された新製品は30種にも及ぶ。ピアノ製品では、ローランドピアノ・デジタルのフラッグシップ・モデルとなる「V-Piano Grand」が登場。黒塗艶出し鏡面塗装仕上げのグランドピアノ・キャビネットに同社が誇るV-Piano音源を搭載したモデルだ。奥行きと広がりのある豊かなピアノ・サウンドを再現する新開発のサウンド・システム、演奏者のニュアンスを確実に音源へ伝えるPHAアイボリー・フィール鍵盤、プログレッシブ・ダンパー・アクション・ペダルを搭載。鍵盤蓋は新機構のアコースティック・ポジションを搭載、2段階に動かしてセッティングすることが可能となっている。ローランドでは、同社が提唱する「コトづくり」の一環として、このV-Piano Grandの魅力を伝えるために世界20カ国でコンサートツアーを実施。本格的なコンサートホールで各国を代表するピアニストを迎えて実施する。その皮切りは2月21日大阪、2月23日東京で行われる「New Style Concert 2011」となる。千住明氏をナビゲーターに迎え、高橋多佳子氏、宮谷理香氏によるデュオの華やかな演奏を通してピアノ音楽の奥深い魅力に迫るコンサートだ。
●SuperNATURAL Piano音源搭載のステージ・ピアノRD-300NX
ステージ・ピアノとしては、SuperNATURAL Piano音源を搭載した「RD-300NX」が登場。「RD-700NX」に搭載されたSuperNATURALテクノロジーを継承、厳選されたアコースティック&エレクトリック・ピアノ・サウンドを内蔵、コストを抑えた価格帯のモデルながら、高品位な音色で表現力豊かなピアノ演奏が行える。鍵盤は新開発のアイボリー・フィールG鍵盤を搭載、軽量でコンパクトな設計で、スタジオやライブ・ハウスなどへの持ち運びに威力を発揮する。
●コンパクトな2段鍵盤コンボ・オルガンATELIER Combo AT-350C
電子オルガンの新製品はローランドオルガン ミュージック・アトリエ「ATELIER Combo AT-350C」。本体とスタンド、足鍵盤、スピーカーを独立させ、2段鍵盤を装備しながらもコンパクトに設計されライブでの使用にも最適なポータビリティを実現。ハーモニックバーによる直感的なサウンドエディットも魅力だ。本格的なオルガン表現が可能なバーチャル・トーンホイール音源のほか、SuperNATURALテクノロジーを駆使した新規音色も15種内蔵しているので、オルガン以外にもさまざまなサウンドが楽しめるモデルとなっている。
●ステレオ対応、長時間録音対応のLoop Station新モデルRC-3、RC-30
NAMMショーにおいてワールドチャンピオンシップが開催された「Loop Station」の新製品としては「RC-3」と「RC-30」が紹介された。フレーズを録音、重ねることでパフォーマンスが可能なフレーズレコーダーとでもいえる製品で、最大3時間の録音と99フレーズのメモリーに対応。新たにステレオ入出力も可能となっている。また、USB対応でパソコンとのデータのやりとりができるのも魅力だ。北村嘉一郎氏によるマイク1本で声により表現されたパーカッションやトランペットなどさまざまな楽器音を重ねていくデモ演奏は会場をわかせていた。
●小型ながら迫力の重低音、ベースアンプCUBE XL BASSシリーズ
アンプカテゴリーでは、ベース用アンプ「CUBE XL BASS」シリーズ3機種がラインナップ。「CUBE-120XL BASS」「CUBE-60XL BASS」「CUBE-20XL BASS」はコンパクト設計ながらFFPによる迫力の低音、多彩なCOSMアンプ・タイプや7種類のエフェクト機能の搭載が魅力。さらに120XL、60XLはSUPER LOWのCOSMアンプ・タイプを備えるほか、LOOPER機能も装備しているので、リアルタイムパフォーマンスでも強力な味方となってくれる。
●ギターシンセとモデリングを融合したGR-55
ギター・シンセサイザーでは、シンセサウンドとギターモデリングを融合させた「GR-55」が送り出された。サウンドエンジンは、2種類の音源を組み合わせたハイブリッド方式。リアルで多彩な音色を誇る2基のPCM音源と、レイテンシー・フリーのCOSMギター・モデリングの融合によりまったく新しいサウンドで表現力豊かなパフォーマンスが可能だ。さらに大型LCDを搭載、フレーズループ機能やベース専用モードなども備える。デモ演奏ではGalneryusなどで活躍するSyu氏により披露された。2つのシンセリードとギターモデリング、エレピとセミアコースティックギター、12弦アコースティックギターとパイプオルガンといった複数の楽器音・ギターサウンドをブレンドしたものや、シタールなど多彩なサウンドをプレイ。普段はGT-10を使用している氏は、「レイテンシーフリー」「シンセの音を出せるまったく新しい楽器」「ライブでも即戦力のパッチがたくさんで使えないものがまったくない」と絶賛した。
●キック・パッドとVシンバルを一新したVドラム、V-Tour&V-Compact4機種
Vドラムの新製品は「V-Tour Series」2機種、「V-Compact Series」2機種が登場。ポイントは新開発のキック・パッドとVシンバルだ。キック・パッド「KD-9」は打面を従来のゴム製から布製に変更されたことで、ツインペダルでの高速連打や弱打の繊細なフレーズも忠実に反映、ナチュラルな演奏感が得られるほか耐久性や安定性も向上している。シンバルはクラッシュとライドそれぞれ専用設計のVシンバルが用意された。V-Tourシリーズでは音源部がTD-9にアップグレードされている。エスニックパーカッションやエフェクティブなサウンドまで含めたデモ演奏を披露した長谷川浩二氏は「弾いていて非常に楽しい」「音色が気持よく聞こえる」と評し、シンバルについては「思ったところで止まってくれる」「自然なゆれによりストレスなく演奏できる」とした。また、ハイハットが従来のスタンドに取り付けられる点や、キック・パッドが踏んでいて気持ちよく、連打などでも動いてしまうことがなく安定しているといった点を評価。さらに40代、50代、60代と体力がなくなっても楽に表現できるとした。なお、Vドラムについては、「V-Drums Friend Jam」というオンライントレーニングアプリケーションも紹介された。練習用ツールと楽曲を配信、楽曲と合わせた練習が可能なほか、プレイの採点やユーザー同士の交流も可能となっている。公開は2月下旬の予定だ。
●低価格オーディオインターフェイス&MIDIインターフェイスも登場
最後はPC MUSIC関連。USB接続のオーディオインターフェイス2機種、MIDIインターフェイス1機種がラインナップされている。「TRI-CAPTURE」はミキサーライクな操作性と3つの録音モードを備えた24ビット/96kHz対応オーディオインターフェイス。マイクやギターを録音するモードのほか、再生音と外部入力を同時録音できるネット配信に最適なモードも備える。15,000円前後という価格も魅力だ。「DUO-CAPTURE」はよりシンプルな2IN2OUTモデルで、ギター/マイク/ライン入力が可能、24ビット/48kHz対応となっている。価格は7,980円前後。MIDIインターフェイスの「UM-ONE」はケーブル一体型で非常にコンパクト、持ち運びに便利なケーブルクリップも用意される。3,680円前後の低価格で、MIDI楽器追加などの拡張を容易にしてくれるというわけだ。いずれも非常に軽量・コンパクトな製品となっている。
◆ローランド
◆BARKS 楽器チャンネル
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