都市から論じた、ユニークなザ・ビートルズ本登場
10月18日に青盤赤盤のリマスター盤が発売され、2009年に続いて再びビートルズ・ブームが訪れそうな2010年秋だが、そんなタイミングにザ・ビートルズを論じるユニークな本、『ビートルズ都市論』が出版された。
同書ではリヴァプール、ハンブルグ、ロンドン、東京の各都市が4つの章で描かれている。第1章は彼らの生まれ故郷、リヴァプール。例えば、当時イギリスで流行していたのはソウル・ミュージックだが、ザ・ローリング・ストーンズやエリック・クラプトン等のロンドン勢が土臭いR&Bに影響を受けていたのに対し、リヴァプール勢の間では明るいポップなノーザン・ソウルが支持され、マージー・ビートが産まれていく課程を、都市のなりたちや特性・背景から解き明かしている。
第2章のハンブルグでは、彼らがデビュー前に頻繁にライブを行なった繁華街、レーパーバーンに注目。不良と酔客の巣窟のようなこの街で、当時ハンブルグに台頭してきたイグジス(実存主義者)と呼ばれるインテリ学生達と交流を持った事が、ザ・ビートルズの歌詞におけるメッセージ性や知的な部分に繋がる事を指摘している。
第3章のロンドン編では、北部(低層階級)出身の彼らが、南部(上流階級)のロンドンで、階級社会という見えない壁に、各メンバーのガール・フレンドの出身階級を交えながら、どう対峙していいったかが描かれている。
前半の3章では、都市がザ・ビートルズに与えた影響を論じているが、最終章の東京では、それまでとは逆にザ・ビートルズが東京という都市にどういう影響を与えたかを、当時の資料を紹介ながら丁寧に紐解いていく。
本書はザ・ビートルズを通じた都市論という学術書でありながら、読み易い文章で書かれ、「そうだったのか!」と膝を打つ箇所も随所にあり、ザ・ビートルズを分析し推理していく様は、上質のミステリーを読んでいるかのようだ。
著者の福屋利信は山口大学の教授。ザ・ビートルズを題材にした英語のリーディングの授業や公開講座を行なったり、地元のラジオ局でパーソナリティを務める等、その行動は非常にユニークだ。又、同書の出版を記念し、福屋先生の地元である山口県や東京では、公開ザ・ビートルズ講座が開催される。東京会場にはビートルズ通で知られる杉真理も音楽ゲストで参加予定となっているようだ。
『ビートルズ都市論』
発売:幻冬舎新書/262頁/定価(本体860円+税)
[第1章 ビートルズとリヴァプール]
リヴァプールの歴史/ロックンロール誕生までの音楽史/黒人音楽と白人音楽の融合/リヴァプールにおけるロックンロール・シーンの形成/ビートルズ・ビジネスの基盤/ビートルズの中のアイルランド性/他
[第2章 ビートルズとハンブルグ]
ハンブルグとリヴァプールの比較論/ハンブルグのイグジスたち/ハンブルグで青春を燃焼した二人の元ビートルズ/他
[第3章 ビートルズとロンドン]
歴史の中に暮らすロンドナー/ビートルズの妻と恋人たち/シンシアとモーリーンの中のヴィクトリア二ズム/パティとジェーンの中のスウィンギング・ロンドン/ロンドンはビートルズ周辺をどう変えたか/ビートルズの支配権:ブライアン・エプスタインからジョージ・マーティンへ/他
[第4章 ビートルズと東京]
ビートルズの東京公演への言及/日本のポップス・シーンの黎明期(ビートルズ受容の土壌形成)/エレキ・ブームの到来/東京公演に至るまで/他
<福屋利信教授の出版記念・公開ザ・ビートルズ講座(ライブゲスト有り)>
10月3日(日)宇部市・BIGHIP / 音楽ゲスト:辻畑鉄也
10月6日(水)山口市・DADA / 音楽ゲスト:辻畑鉄也
10月8日(金)周南市・チキータ / 音楽ゲスト:酒井勝
11月4日(木)東京・渋谷多作 / 音楽ゲスト:杉真理
11月5日(金)東京・渋谷多作 / 音楽ゲスト:水本諭
※各講座 開場19:00/スタート19:30(3日のみ14:30開場/15:00スタート)
◆福屋利信オフィシャルサイト
同書ではリヴァプール、ハンブルグ、ロンドン、東京の各都市が4つの章で描かれている。第1章は彼らの生まれ故郷、リヴァプール。例えば、当時イギリスで流行していたのはソウル・ミュージックだが、ザ・ローリング・ストーンズやエリック・クラプトン等のロンドン勢が土臭いR&Bに影響を受けていたのに対し、リヴァプール勢の間では明るいポップなノーザン・ソウルが支持され、マージー・ビートが産まれていく課程を、都市のなりたちや特性・背景から解き明かしている。
第2章のハンブルグでは、彼らがデビュー前に頻繁にライブを行なった繁華街、レーパーバーンに注目。不良と酔客の巣窟のようなこの街で、当時ハンブルグに台頭してきたイグジス(実存主義者)と呼ばれるインテリ学生達と交流を持った事が、ザ・ビートルズの歌詞におけるメッセージ性や知的な部分に繋がる事を指摘している。
第3章のロンドン編では、北部(低層階級)出身の彼らが、南部(上流階級)のロンドンで、階級社会という見えない壁に、各メンバーのガール・フレンドの出身階級を交えながら、どう対峙していいったかが描かれている。
前半の3章では、都市がザ・ビートルズに与えた影響を論じているが、最終章の東京では、それまでとは逆にザ・ビートルズが東京という都市にどういう影響を与えたかを、当時の資料を紹介ながら丁寧に紐解いていく。
本書はザ・ビートルズを通じた都市論という学術書でありながら、読み易い文章で書かれ、「そうだったのか!」と膝を打つ箇所も随所にあり、ザ・ビートルズを分析し推理していく様は、上質のミステリーを読んでいるかのようだ。
著者の福屋利信は山口大学の教授。ザ・ビートルズを題材にした英語のリーディングの授業や公開講座を行なったり、地元のラジオ局でパーソナリティを務める等、その行動は非常にユニークだ。又、同書の出版を記念し、福屋先生の地元である山口県や東京では、公開ザ・ビートルズ講座が開催される。東京会場にはビートルズ通で知られる杉真理も音楽ゲストで参加予定となっているようだ。
『ビートルズ都市論』
発売:幻冬舎新書/262頁/定価(本体860円+税)
[第1章 ビートルズとリヴァプール]
リヴァプールの歴史/ロックンロール誕生までの音楽史/黒人音楽と白人音楽の融合/リヴァプールにおけるロックンロール・シーンの形成/ビートルズ・ビジネスの基盤/ビートルズの中のアイルランド性/他
[第2章 ビートルズとハンブルグ]
ハンブルグとリヴァプールの比較論/ハンブルグのイグジスたち/ハンブルグで青春を燃焼した二人の元ビートルズ/他
[第3章 ビートルズとロンドン]
歴史の中に暮らすロンドナー/ビートルズの妻と恋人たち/シンシアとモーリーンの中のヴィクトリア二ズム/パティとジェーンの中のスウィンギング・ロンドン/ロンドンはビートルズ周辺をどう変えたか/ビートルズの支配権:ブライアン・エプスタインからジョージ・マーティンへ/他
[第4章 ビートルズと東京]
ビートルズの東京公演への言及/日本のポップス・シーンの黎明期(ビートルズ受容の土壌形成)/エレキ・ブームの到来/東京公演に至るまで/他
<福屋利信教授の出版記念・公開ザ・ビートルズ講座(ライブゲスト有り)>
10月3日(日)宇部市・BIGHIP / 音楽ゲスト:辻畑鉄也
10月6日(水)山口市・DADA / 音楽ゲスト:辻畑鉄也
10月8日(金)周南市・チキータ / 音楽ゲスト:酒井勝
11月4日(木)東京・渋谷多作 / 音楽ゲスト:杉真理
11月5日(金)東京・渋谷多作 / 音楽ゲスト:水本諭
※各講座 開場19:00/スタート19:30(3日のみ14:30開場/15:00スタート)
◆福屋利信オフィシャルサイト
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