音楽の経験のないユーザーでも超簡単に楽曲ができる「Singer Song Writer 9 Standard」特集
Singer Song Writer 9 Standard 特集
充実のアレンジ機能で多彩なジャンルの伴奏を一瞬で完成 音楽の経験のないユーザーでも超簡単に楽曲ができる
Singer Song Writerは、DAWソフトなのでオーディオの取り扱いもバッチリ。また、メロディと歌詞を入力すればボーカルパートを歌ってくれるボーカロイドとの併用もちゃんと考慮されている。
ボーカルやギターなどの楽器録音、ソフトウェアシンセのリアルタイム演奏にはオーディオインターフェイスが不可欠だ。ソフトウェアとハードウェアを同時に揃えたいという人には、「First Studio Pack」がオススメだ。このパッケージは、Singer Song WriterにTASCAM US-144MKIIというオーディオインターフェイスを同梱したもの。US-144MKIIは、24ビット/96kHz対応、バランス入出力・ギター入力にも対応したアナログ2チャンネル+デジタル入力2チャンネルの合計4入力、アナログ・デジタル各2の合計4出力を備える(デジタルはコアキシャル)。MIDIインターフェイス機能もあるので、手持ちの家庭用キーボードやデジタルピアノの接続もOK。ASIO対応でソフトウェアシンセの演奏もストレスなし、遅延のないダイレクトモニター機能も装備で、録音時の不満はまったく感じなかった。また、ヘッドフォン出力とライン出力で独立したレベルコントロールが行えるなど使い勝手も優れている。オーディオを使いたいなら真っ先に購入を検討したい。
市販の楽譜を基に、「カラオケを作りたい」「自分ならではのアレンジを加えたい」なんてときは、譜面を見ながらデータ入力していくことになる。この作業がラクなのもSinger Song Writerの特徴だ。楽譜での入力はスコアエディタを使用、音符を五線上にマウスに貼り付けて入力していく。グリッド表示やEZ入力モードを使えば、ほかのDAWソフトでありがちな「意図しない位置に音符が配置されてしまう」ということがなく、スムーズに作業が進められる。音符の種類は「ノートパレット」で選択するほか、マウスホイールを使えば音符の長さを次々に変えられるので、スピーディに入力可能。入力済みの音符をカーソルキーで選択、音程変更ができるのも便利なところだ。装飾音(前打音・後打音)や記号が演奏に反映されるのもほかのDAWソフトにはない特徴の1つ。きれいな楽譜印刷がしたいなら、印刷項目やトラック、間隔の調整、1段に表示する小節数などを設定できる譜面作成エディタを使用することになる。
このほか、実際の発音の長さを視覚的に表示することで細かいタイミングの修正や、各種演奏表現を可能にするコントロールデータの入力にはピアノロールを用意。往年の国産シーケンサーのような数値入力が得意という人には、ステップエディタも用意される。ステップエディタはピアノロールやスコアエディタと並べて表示できるので、数値確認も手間がいらない。
オーディオ録音してみると、ボーカルや楽器音が物足りなく感じたり、MIDIで作ったパートとのサウンドから浮いて聞こえるという経験をした人も多いはず。そんな場合はエフェクトを使ってみよう。残響を加えるリバーブや、音量のバラツキを抑えるコンプレッサーを使えば、サウンドはぐっとゴージャスかつしまって聞こえるはず。環境音など不要な音が入ってしまった場合はイコライザーで不要な周波数を抑えることもできるし、ディエッサーを使えばサ行の耳障りな音を抑えることも可能だ。掲載オーディオサンプルは、最初の2小節がエフェクトなし、その後がエフェクト適用後。
他社製ソフトとの同期が可能なReWireへの対応も新機能の目玉の1つ。メロディと歌詞を入力すれば歌ってくれるボーカル音源「ボーカロイド」との連携もバッチリだ。伴奏作成はSinger Song Writer、メロディ+歌詞のエディットはボーカロイドといった具合に並行して作業が進めら、再生すれば両方が同期演奏するので確認の手間がない。
ボーカロイドとの連携はReWireのホストアプリケーションとしての使用となるが、Singer Song WriterはReWireクライアントアプリケーションとしても動作する。DAWソフトとしては非常にユニークな機能だ。CubaseやSONARなどのDAWソフトに慣れている人はこれらをホスト、Singer Song Writerをクライアントとすればよい。オーディオの録音・編集はCubase・SONARで行い、伴奏作成はSinger Song Writerのアレンジ機能にまかせるといったことが可能だ。また、Singer Song WriterのスコアエディタやステップエディタでMIDIデータを入力、Cubase・SONAR側のソフトウェアシンセを鳴らしたり、ミックスを行ったりということもできる。このように好きなツールを組み合わせられる非常に柔軟な制作環境が整うわけだ。
市販のオーディオ素材の利用もカンタンだ。Acidized WAVEやACIDファイルと呼ばれる素材なら作成中の曲のテンポやコードに合わせて、時間の圧縮・伸張(タイムストレッチ)、音程の変更(指定コードのルートに合わせて移調)してくれるので、サウンドのバリエーションがカンタンに広げられる。
楽器にはその楽器ならではの個性的な奏法というものがある。たとえば、ギターならチョーキングやスライド、ハンマリング&プリング、ブラスならピッチアップ/ダウン、ビブラートといったもの。普通ならピッチベンドなどのコントロールデータを駆使して音の変化を細かく打ち込む必要があるが、Singer Song Writerなら「オートニュアンス」機能で一発で入力できる。
また、音符の長さや強さ(アクセント)で表情につけるには、MIDIプラグインが便利だ。平坦なメロディにアクセントをつける「アクセントシミュレータ」、コードに合わせてアルペジオ(分散和音)を入力するアルペジエーター、単音のメロディにハーモニーを追加する「AUTOハーモナイズ」などが用意されている。
サチさんが即興で演奏したメロディにAUTOハーモナイズでハーモニーを追加、試聴してもらった。ボーカルにコーラスを加えたい場合は自分で歌ってラインを作るというサチさん、「ハーモニーの基本を知るには便利な機能」という感触を得たようだ。
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