ジョーイ・ジョーディソン、「次はヴァイオリンに挑戦するんだ」
スリップノットではドラマーとして、マーダードールズではギタリストとして活躍、イギリスのドラム専門誌「Rhythm magazine」の投票で過去25年間で最も偉大なドラマー第1位に選ばれたジョーイ・ジョーディソン。ロンドン滞在中のジョーイをロードランナーが突撃、オフィシャル・インタビューが到着した。
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──ドラムとギター、どちらを先に始めたんですか?
ジョーイ:ギターを始めたのが先で、それは5歳の時だったよ。
──それではドラムを始めたのは?
ジョーイ:7歳の時だ。
──そのとき、なんでギターを演奏してみたいって思った?
ジョーイ:俺の両親は俺がすごく小さいころから音楽に触れさせてくれたんだ。3歳のころにはレコード・プレイヤーをどうやって使うのかを知ってたんだぜ。祖父は教会のオルガニストで、楽器を売っていた。それで祖父の家にあったギターに興味を持ったんだ。彼はいくつかの種類のギターを持っていて、俺はそれを手にとって遊び始めた。俺は小さかったけど、そのころから祖父は俺にコードを教えてくれて、俺は夢中になったんだ。俺の両親もいつも音楽を演奏していて、俺が覚えているのは父がザ・ローリング・ストーンズの1981年のアルバム『刺青の男』を家に持ってきてくれたことだ。その時俺は6歳になる前で、5歳だったと思う。それから俺はいつもブラック・サバス、レッド・ツェッペリン、モット・ザ・フープルなんかを聴いていた。いつも音楽に夢中だったから、テレビなんか見なかったね。
──おじいさんにコードを教えてもらってからもギターを習ったんですか?それとも独学ですか?
ジョーイ:独学だよ。
──数年後ドラムを始めたときは、どうやって始めたのですか?
ジョーイ:いとこのマットが祖父の地下室に自分のバンド用のドラム・キットを持っていて、俺はそれをいじりはじめた。俺にとってドラムは簡単だった。座って叩けばいいんだ。ギターに関してはもうちょっと努力しなくちゃならなかった。俺の手は小さかったから。ドラムのほうが自然に演奏できた。すぐに演奏できるようになったのは変な感じだった。リズムをとればよかったんだ。音楽漬けだったよ。3歳でレコード・プレイヤーを使える奴なんてなかなかいないだろ?変わってるよ。ほとんど話せもしなかったんだからね。
──ドラムも独学で?
ジョーイ:ああ、誰かに習ったことはないよ。
──楽器を始めたころにそれぞれの楽器を演奏する人で最も尊敬し、影響を受けたのは誰ですか?
ジョーイ:もちろんジョン・ボーナム、そしてキース・ムーンだ。ムーンの大ファンなんだ。俺の両親はいつだって「四重人格」を演奏していたんだ。週末には爆音でパーティやいろんなところで演奏していた。だから俺に影響を与えたアーティストを2人あげるなら、ジョン・ボーナムとキース・ムーンだ。2人ともイギリス人だけどね!(笑)
──素晴らしい!
ジョーイ:そう。だから、今イギリスにいられるのはすごくうれしいし、クールだよな。
──他の楽器を演奏したことはありますか?
ジョーイ:ベース、キーボード、ピアノを少し。それから、歌も歌うよ。バックアップ・ヴォーカルだけじゃなくて。俺は本当に歌えるんだけど、それを聴いた人はいないんだ。実は次に挑戦したいのは、みんな驚くと思うんだけど、ヴァイオリンなんだ。
──ほんとに?
ジョーイ:うん。次にやってやろうかなって思っている。
──いつヴァイオリンに挑戦するんですか?
ジョーイ:時間を見つける。俺はいつだってそうしてるよ!みんなどうやってそんなにたくさんのことをやるんだって聞いてくるけど。時間を見つけて、次はヴァイオリンに挑戦するんだ。
──そうしようと思ったきっかけは?
ジョーイ:俺はアンビエント・ミュージックをたくさん聴く。すごくメロウな音楽だけど、ヴァイオリンはすごくミステリアスな感じがする。それでこう考えた…俺は自分のパートの楽器、作曲や音楽に関することなら知っている。すごく情熱を感じててもっと多くのことを学びたい。死ぬまでにできるだけのことを学びたい。だから、次はヴァイオリンに挑戦しようと思ったんだ。
──初めての自分のギターのことを覚えていますか?どのようにして手に入れたのですか?
ジョーイ:俺の初めてのギターはアコースティック・ギターだったんだ。名前すら知らないんだけど、アハハ。俺が小さかった頃にギターと作曲を始めたのを知った父親が、アコースティックを買ってくれたんだ。すごくうれしかったよ。それでちょっと変なんだけど、俺はそのアコースティック・ギターで初めてのスラッシュ・メタル/スピード・メタル・バンドの作曲をしてたんだ。(笑)
──それはすごくシュールですね。
ジョーイ:だろ?本当なんだ。その時はエレクトリック・ギターを持ってなかったからね。
──じゃあ、そうするしかなかった?
ジョーイ:そう。俺はドラム・セットを初めて買うために働いていて、エレキ・ギターは持ってなかったけど、アコースティック・ギターは持っていた。だから初めてやったスラッシュ/スピード・メタル・バンドでは、全てアコースティックで曲を作ってたんだ。
──今、初めてのバンドの話が出ましたが、若かったころに入っていたバンドについて教えてください。
ジョーイ:初めてのバンドは1984年に俺が結成した。俺が演奏していたのはドラムなんだ。メンバーは俺よりずっと年上の人ばかりで、みんな俺より3学年くらい上だった。それでとにかくやってみたんだけど、最悪だったね(笑)。でもどうやってバンドをするのか、どうやって曲を作るのかを学ぶことができた。その後中学校に入ってからは初めてのスラッシュ・メタル・バンドでもっとへヴィなものをやるようになったんだ。スピード・メタル、スラッシュ・メタルのカヴァーを好んで演奏してた。それから俺は真剣にバンドをやるようになって、自分の友達とMODIFIDIOUSってバンドを結成した。俺はすごく真剣にこのバンドをやっていて、アイオワの中でもかなりビッグになったんだ。それからそのバンドが解散して、その後、みんなが知ってるようにポール・グレイが俺が働いてたところに来たんだ。彼のバンドが解散したところで、ポールはショーン・クラハンと進めてるプロジェクトについて話していた。これがスリップノットが始まる第一歩で、俺は彼らが何をしてるのか見に行ったけど、あまりよくなかった。そのときショーンはドラムを演奏していたんだけど、彼がやりたいのはパーカッションで、彼らは俺をバンドに入れたがっていたんだ。俺が彼らを見に行ったら、彼らは演奏を始めた。これが"(sic)"の初めの形で、すごくビックになると思ったし、凄く気に入った。それから始まったんだ。
──それではマーダードールズを始め、ギターを演奏するようになったきっかけは?今とは違うことをやってみたい、違う楽器を演奏してみたいと思ったのですか?
ジョーイ:俺はずっとギターを演奏してきたし、スリップノットで多くの楽曲も手掛けてきた。でも、マーダードールズでは、初めのレコードが素晴らしかったんだ。俺は外に出てファースト・アルバムを自由に作って、いつもとは全然違うことをやってみたかった。俺たちがスリップノットでやってきたのとはまた別のやり方を試したかった。だから俺たちはそうした。でも、それはうまくいかなくて、最後のころにはあまり活動できなかった。スケジュールの調整も大変だった。そしてそれでマーダードールズの活動はもう終わったと思ってたんだけど、最近になって音楽シーンが退屈だって思い始めたんだ。今はあまりにも多くのバンドがいて、何か光るものがあるバンドはほとんどいない。それでWEDNESDAY 13に「マーダードールズで新しいアルバムを出したい」って言ってみた。彼は20秒くらい黙ってたけど、すでにこの話は何度もしてたから、彼も「やっとだよ、俺はこの時を5年半待ってたんだ!」って言って、今の形になったんだ。
──あなたはスリップノットのメイン・ソングライターであると言われ、マーダードールズでの作品も評価されていますが、ROADRUNNER UNITEDのアルバムからは、その2バンドとは異なる様々なスタイルの楽曲も作ってきているように思えます。
ジョーイ:うん、まさにそうだね。
──それはあなたが様々なタイプの音楽から影響を受けているということですか?
ジョーイ:そうだね。(ROADRUNNER UNITEDでジョーイがプロデュースした)「Annihilation By The Hands Of God」「Now Way Out」「Enemy Of The State」「Constitution Down」「Tired 'N Lonely」はそれぞれ違うだろ?
──全然違います。曲作りについて、もっとも大きな影響を受けたのは誰ですか?かなり幅広い音楽の好みをお持ちですよね?
ジョーイ:あらゆるタイプの音楽が好きだよ。自分が聴く音楽について詳しいんだけど、何でも聴くからね。俺はすごくオープンなんだ。音楽のいいところはすごくたくさんのスタイルがあって、学べる事がたくさんあるってとこ。それをすべてマスターするわけにはいかないけど、俺はいつだってそうするよう努力してる。そういう考え方をするんだ。
──最後に、若いミュージシャンたちにアドバイスをお願いします。
ジョーイ:根気強さが大事ってことだけは確かだ。それが俺が若いころにやってたことだよ。とにかく練習しまくって、できるだけ多くのスタイルの音楽を聴いた。いろんなスタイルを試して、掘り下げて、オープンでいることだ。ものにすべき素晴らしいスタイルはそこらじゅうにあるんだから。俺はそういう風に学んで、いろんなスタイルの楽曲が作れるようになり、様々なスタイルの音楽をやってきた。オープン・マインドでいること、自分を前に押し出そうとすること、ベストを尽くすよう努力することが今の俺につながってるんだ。だから、根気強さと練習が大切だよ。
インタビューでも語られていたように、8年ぶりに活動を再開したマーダードールズ、ニュー・アルバム『Women And Children Last』は8月25日にリリースとなった。