M.I.A.、言動も作品も、もはや存在自体が事件?

ポスト
リリースの度に進化を続け音楽革命を起してきたM.I.A.が、過激な内容で米Youtubeで公開禁止となったビデオ「Born Free」の発表から早一ヶ月強。世界中が息をのんで待つサード・アルバムの全貌が徐々に明らかになってきた。

『MAYA(マヤ)』と題されたこのアルバムは、海外より一足早い7月7日(水)日本発売に決定(海外発売7月13日)し、Youtubeの再生バーを全面にフィーチャーした、チープでキッチュなアルバム・ジャケ写も公開された。

アルバムへの衝撃一発目は4月27日に公開された新曲「Born Free」から始まった。スーサイドの「Ghost Rider」をサンプリングしたパンク・ロックなこの曲のビデオは、ロメイン・ガブラス監督による9分にも及ぶショート・フィルムであったが、その過激な暴力表現と凄惨なエンディングは、プレミアされるや否や世界中で大きな物議を醸しだした。

続いて5月頭に発表されたシングル「XXXO」は、「Born Free」とは打って変わり肩透かしを狙うように、キャッチーなエレクトロ・ポップ・チューンで攻めてきた。「だって、あなたはまるでトゥイーティーみたいにiPhoneからツイートしてくるから」という歌詞からには、携帯メールとツイッターでやりとりをする現代の恋愛模様が浮き彫りにされていた。

そして遂に彼女のブログからいきなり発表されたサード・アルバムのタイトルは『MAYA』。単なるアルファベットではなく、スラッシュと逆スラッシュとYだけでの表記にこだわったものだが、日本語環境では文字化けを起こすのみならず、Googleのような検索にも引っかかりにくいという、ワールドワイドなネット時代をあざ笑うかのようなものだった。

そして、アルバム・ジャケ写には、M.I.A.の顔を覆うように無数に配置された、お馴染みのYoutubeの再生バー。これはいったい何を意味するのか。FacebookやGoogleに対する過激な発言でも知られるM.I.A.だけに、そこには何らかのメッセージが隠されているのだろうか。

トラックリストの正式発表はまだだが、制作陣の顔ぶれもほぼ出揃い、その音楽的な全貌も少しずつ明らかになってきた。デビュー時からタッグを組んできた相性バツグンのディプロ、そのディプロとメジャー・レイザーを結成したスウィッチ、ディプロ主宰レーベルMAD DECENTからデビュー・アルバムを発表したばかりの進化系ダブステップ・プロデューサーのラスコ、最近M.I.A.が立ち上げたN.E.E.T.レーベルと契約を果たしたブラックスター、そしてN.E.E.T.からデビューした話題のエレクトリック・パンク・バンド、スレイ・ベルズのデレク・E・ミラー…と、多彩なプロデューサー陣がM.I.A.をバックアップ。“マヤ”と自らの名前を冠したアルバムに相応しい、今までに見ることがなかった彼女の側面が十分に引き出されたM.I.A.最強のアルバムに仕上がっているという。

つい先日、New York Timesに掲載された自らに関する記事への抗議として、記事を執筆したジャーナリストの電話番号をツイッターで公開するという反撃に出たMIA。加えて、記事に対するアンサーソングとも思える新曲「I'm a Singer(Haters)」(アルバム未収録)と、取材音源の一部を自らのブログに掲載、最終的にはNew YorkTimes側も発言の一部を歪曲使用したことを認め一件落着したという事件があった。

言動のひとつひとつが物議を醸す“女戦士”M.I.A.のアルバム『MAYA』、存在自体が事件となりそうだ。

『MAYA』
2010年7月7日(水)発売
XLCD497J 1,980円(税込)
※日本先行発売/3カ月期間限定スペシャル・プライス)
※ボーナス・トラック、ライナーノーツ付き予定

◆「Born Free」ビデオ
◆新曲「XXXO」「I'm a Singer (Haters)」試聴オフィシャルサイト
この記事をポスト

この記事の関連情報