──“イカツい”とか“ムカつく音”みたいな表現を、前作のインタビューのときにたしか言ってましたね（笑）。今回もそんな感じで、何かキャッチフレーズをつけるとしたら？

澤竜次：　今までは、例えば1stやったらパンク、2ndやったらずぶといロックみたいなイメージがあると思うんですけど、今回はそういう“これや！”っていうひとつのものだけじゃなくて……。例えば、“立食パーティー”みたいな（笑）。こっちにはスパゲティーがあって、あっちにはから揚げがあって、みたいな。

──（笑）たしかに、違うテイストの曲たちを今回は出してきたなと。色んな味を楽しめる立食パーティー的（笑）。

渡辺大知：　そういう意味で思うのが…、1stとか2ndを聴いてた人も、今回が初めての人も、例えば2ndとかと比較してほしくはないなと。パンクとかガレージをずっと続けていくバンドっていう意識もないし、僕ら“守ってる”部分はないので。曲を作るうえでも、今回の曲はジャムセッションからできたんですけど、そのジャムセッションしてるときってやっぱり一番楽しい瞬間なんで、そういうなかから出来た曲に“黒猫っぽくないな…”とは思わずにこんな曲もやるんだー！って楽しんで聞いてもらえたら。

──なるほど。やってて楽しいものを純粋に形にするだけ、っていうか。バンドっていう枠はもちろんありつつ、その中でできるかぎり自由に“攻める”のが黒猫チェルシーだと。

渡辺：　そうですね。“黒猫チェルシーはこういうバンド”っていうレッテルみたいなのは排除したいっていうのがあったんで、そういう意味でも、今回は黒猫チェルシーをあらためて自己紹介したっていうか。

──という黒猫チェルシー自己紹介作のオープニング曲は、「ベリーゲリーギャング」。

澤：　「ベリーゲリーギャング」は、がっちゃん（宮田岳：B）のベースのリフにみんなで乗っかっていってできた曲なんです。“ゲリーギャング”っていう言葉が出てきたのも、がっちゃんからのアイデアなんですよ。。

──なる程ですね。意味みたいなものは？

澤：　（笑）“ゲリーギャング”って言葉が出たときに“そしたら「ベリーゲリーギャング」って韻を踏んだらええんちゃう？”って僕が言って。

渡辺：　まずは言葉というか音の響きですよね。だから、そこはもう突っ込まないってルールで…。

澤：　はい。バカバカしいけど、それをめちゃくちゃ真剣にやってて。まぁだから、これもさっきの話につながりますけど、今までの1st、2ndでのイメージとは俺ら違うで！　こんなんもあんねんで、わからんくなったやろ!?　でもじゃあこれが俺ら、というわけでもないで、みたいな。ジャムセッションからたまたま録れたものを構築していくっていうやり方を、今回はやってみたんですけど、次はまた全然違うやり方でやりますし。だから本当に、一つひとつの作品が全然違うものっていうとらえかたなんです。いま俺らがやってることっていうのは、成長の過程でやってることだと思ってるんで、それを単純に楽しんでもらえたら嬉しいです。