タイプ・オー・ネガティヴのピーター・スティール逝去

ポスト
ブルックリンの伝説的ゴス・メタル・バンド、タイプ・オー・ネガティヴのアイコン、ピーター・スティールが現地時間の4月14日午後6時、心不全のため息を引き取った。48歳の若さだった。

これまでピーター・スティールのブラック・ユーモアと解釈されてきた「Set Me On Fire」「I Don't Want To Be Me」、そしてアルバム『Life Is Killing Me』のメッセージは、スティーヴ亡き今、より陰惨な意味を持って蘇ってくる事となってしまった。

【関連画像】「Black No.1」PV映像 from 代表作『Bloody Kisses』


ピーターは、その力強い外見だけでなく、ユーモアと心の痛みという謎めいたパーソナリティで周囲に強い印象を与えてきた。へヴィで混とんとしたサウンドと共に、死と絶望という彼の死を予言するような詞を歌う彼のドラマティックなヴォーカルは、彼らのサウンドの独自性に欠かせない要素であり続けた。

人道的、政治的偽善を嫌うタイプ・オー・ネガティヴの一貫した姿勢は時代を変えていく事となり、彼ら作品の鋭いウィットさ/陰鬱さ/絶望は、虚無感、性と死、怒りといった独自の世界観を築きあげてきた。

「私たちは深い悲しみをもって、フロントマンにしてベーシストでもあるピーター・スティールが、昨夜心不全のために亡った事を伝えなければなりません。皮肉にも、彼は長期にわたる生活改善により健康を取り戻し、『Dead Again』(2007年)以来となる楽曲制作を始めたばかりでした。公式の死因結果はまだ分かっていません。葬式はプライベートで行ない、追悼式に関しては近々発表する事になると思います。私たちの友を無くした事に深い悲しみを感じながらも、世界中からの励ましと悲しみの声を聞き、私たちは本当に感謝しています」──タイプ・オー・ネガティヴ

また、彼らと最初に契約を交わした、ロードランナーのSVP of A&R、モンテ・コナーも下記のようなコメントを発した。

「我々は時間と共に、多くのアーティストとの別れを強いられるが、今回のはあまりに…、あまりにも辛い出来事です。ピーターは素晴らしい人物でした。彼はこのロードランナーという会社の歴史に大きな影響を残しました。我々の初のゴールド・アルバムの獲得、そして初のラジオ局での成功を収めたバンドです。彼がより良い場所に居る事を祈りましょう」

また、ピーターとタイプ・オー・ネガティヴの活動を支えてきたVP of Promotions、マーク・アブラムソンは次のように語っている。

「REPULSION(TYPE O NEGATIVEの仮名)のデモ・テープを手にしたとき、彼らの湧き出るような怒りの表現は彼らにしかできないものだと思った。俺は彼らの一番のファンになっただけじゃなく、彼らと友達になって、彼らのレコードのために夢中になって働いたよ。初期のライヴでは一緒にTシャツを売った事もあったね!

彼らがコマーシャル・ラジオに出演することになった時、これがライフ・ワークなんだって感じた。『Bloody Kisses』キャンペーンの2年間で俺達はものすごく変化して、このレーベルを新しいステージに乗せるきっかけになった。つまり、バンドとレーベルにとって初めてのゴールド・レコードを獲得し、いわゆるアクティヴ・ロック・ラジオに使ってもらえるような基盤を築いて、タイプ・オー・ネガティヴがユニークなバンドだって事を世界中に知らしめたんだ。

ピーターとラジオ局を回るのはわくわくして、楽しかった。彼らとツアーに出た時の思い出がたくさんあるけど、そのほとんどは俺にとって意味のあることだった。クレイジーな夜の思い出が甦ってきている。俺たちはそれぞれがお互いの人生にとってかけがえのない存在だった。ピーターは個性的で問題を抱えていたけど、それは彼の一面にすぎなかった。晩年は彼にとってあまりいい時期ではなかったけど、彼は優しい、いい人だった。俺が知っている限りでは彼が傷つけた事があるのは彼自身だけだよ。

タイプ・オー・ネガティヴみたいなバンドも、ピーターのような人も他にはいない。俺は彼の音楽とアートを愛し続けるし、俺達が共有した時間を大切にしたい。ピーター、さよなら、幸せになってくれ」

「ピーター・スティールが亡くなった事はとても悲しく、タイプ・オー・ネガティヴのメンバーとピーターを愛していたファンと同じ気持ちです。彼は本当に偉大な人で、ユーモアのセンスや素晴らしい人間性、心を溶かすような深みのある声など、みんながロック・スターに求めるものをすべて持っていて、音楽的な才能は並外れていました。彼を失ったことは悲しいことで、彼とバンドがレーベルのメンバーに教えてくれた事の大きさに改めて感謝しています。彼らはこの大変な音楽業界にいる私達を助けてくれました。私は90年代後半をほとんど彼らと共に過ごし、彼らの事を家族のように愛しています。彼らのすごいところは、私達を彼らの特別な世界の一部にしてくれる事です。ピーター、安らかに眠ってください」──Sr. Director of Digital/Physical Sales キャシー・リード・メリット

ピーターのご冥福をお祈りいたします。
この記事をポスト

この記事の関連情報