GORILLAZ、【連載第三回】5夜連続公演で聴衆の前に姿を現した彼らが見たもの
アニメのキャラクターをまとったヴァーチャル・バンドという、ユニークにして革新的なスタイルで突如現れ、1stアルバム『GORILLAZ』を全世界で600万枚も売ってしまったGORILLAZ(ゴリラズ)。
“GORILLAZとは一体何者なのか”を紐解く連載の第三回目だ。2006年4月に開催された5夜連続公演で、聴衆の前に姿を現した彼ら。業界が騒然とする中で、マードック・ニコルスが思っていたこととは…。
◆マードック・アイデント映像
◆2D・アイデント映像
◆『プラスティック・ビーチ』予告映像~オーケストラル・トレイラー
実体がないまま、新世紀のポップ・ミュージック・シーンを乗っ取ってみせた彼らだったが、今思えばこれは、ほんのご挨拶代わりだった。GORILLAZとは、才気あふれるミュージシャンたちによる1回こっきりのお遊びなどではなく、綿密なコンセプトに基づいたストーリーが用意された、破格に壮大でクリエイティヴなバンド・プロジェクトだったのだ。彼らはその真価を、次なる一手で存分に示してみせる。
続きがあったのかと騒然とするシーンを横目に、GORILLAZは2005年、2ndアルバム『ディーモン・デイズ』をリリース。ザ・ビートルズの通称『ホワイト・アルバム』とジェイ・Zの『ザ・ブラック・アルバム』を合体させた『ザ・グレイ・アルバム』を送り出し、大きな話題を集めていた奇才プロデューサー、デンジャー・マウスをはじめ、デ・ラ・ソウルからネナ・チェリー、俳優のデニス・ホッパーまで多彩な面々が迎えられ、よりクロスオーヴァーの枠を広げたポップ・ワールドが確立された同作は、シングル曲「フィール・グッド・インク」がiPodのCMに起用されたことも後推しして、実に800万枚ものビッグ・セールスを記録する。
さらにはなんと、GORILLAZにとっては禁じ手だったとも言えるライヴ活動も始め、実質的なバンドとして世界を制してゆくのだ。極め付けは2006年4月、米ニューヨークはハーレムにある伝説的なヴェニュー“アポロ・シアター”で実現した、5夜連続公演だった。
この歴史的公演について、GORILLAZのリーダーにして唯一のスポークスマンであるマードック・ニコルスに、話を聞くことができた。今回は、彼のコメントで締めさせていただきたい。
「スゴかったね。素晴らしかった。ジェイムズ・ブラウンからリチャード・プライヤー(アメリカの有名なコメディアン/俳優)まで大物たちの行きつけの会場で、5夜連続でやったわけだから。『ディーモン・デイズ』のゲストも集まってくれたしね。みんなを、アニメや、事前に収録しといた出演者の映像や、強烈なライヴ・バンドと組み合わせたんだ。サウンドと色彩と五感への攻撃とが融合した、ファンタズマゴリア(魔術幻灯)だった。オレがいつも自己投与してる、ちょっとしたブツだの酒だのがなくたって、かなり……えーと……サイケデリックな体験をしてもらえただろうよ」
文●鈴木宏和
『プラスティック・ビーチ (スタンダード・エディション)』(CD)
2010年3月3日 日本先行発売
TOCP-66951 ¥2,500(円)紙ジャケット仕様
※日本盤のみオリジナル・ジャケット仕様
1.オーケストラル・イントロ
2.ウェルカム・トゥ・ザ・ワールド・オブ・ザ・プラスティック・ビーチ[GORILLAZ +スヌープ・ドッグ]
3.ホワイト・フラッグ[GORILLAZ + バッシー&ケイノ]
4.ラインストーン・アイズ
5.スタイロ[GORILLAZ + モス・デフ feat. ボビー・ウーマック]
6.スーパーファスト・ジェリーフィッシュ [GORILLAZ + デ・ラ・ソウル + グリフ・リース]
7.エンパイア・アンツ[GORILLAZ + ユキミ・ナガノ (リトル・ドラゴン)]
8.グリッター・フリーズ[GORILLAZ + マーク・E・スミス]
9.サム・カインド・オブ・ネイチャー[GORILLAZ +ルー・リード]
10.オン・メランコリー・ヒル
11.ブロークン
12.スウィープステイクス[GORILLAZ+モス・デフ]
13.プラスティック・ビーチ
14.トゥ・ビンジ[GORILLAZ + ユキミ・ナガノ (リトル・ドラゴン)]
15.クラウド・オブ・アンノウイング[GORILLAZ. FEAT. ボビー・ウーマック]
16.パイレート・ジェット
17.パイレーツ・プログレス(日本盤ボーナス・トラック)
『プラスティック・ビーチ (エクスペリエンス・エディション)』(CD+DVD+オンライン・コンテンツ)
2010年3月3日 日本先行発売
TOCP-66950 ¥3,800 yen (tax in)
※限定生産:特別仕様盤 紙ジャケット仕様
DVD
1.メイキング・オブ・プラスティック・ビーチ(約35分、日本盤のみ日本語字幕付き)
◆GORILLAZオフィシャルサイト
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