THE NOVEMBERS、「だから生命力というものが曲に宿っている」
圧倒的な迫力を持った轟音ギターサウンド、そして思わず引き込まれるような楽曲の世界観でライブハウス・シーンを中心に人気を広げてきたロックバンド、THE NOVEMBERS。3月10日発売の2ndアルバム『Misstopia』は、まるで聴き手の心を鷲掴みにするようなエネルギーを持った一枚になった。
◆「Misstopia」PV映像
◆コメント映像
キラキラとした色彩感を感じさせる冒頭の「Misstopia」に始まる全11曲。優しく浮遊感あるサウンド、殺伐としたギターノイズなど、そこには“静”と“動”の両極を感じさせる楽曲が並んでいる。幻想的な歌詞の言葉も印象的だ。新作の背景にどんな思いがあったのか、小林祐介(Vo、G)に話を訊いた。
――今回の作品を作るにあたっては、どういうものを作ろうという意識があったんでしょうか?
小林祐介(Vo、G):全体的なイメージやコンセプトはなかったんです。前作の『paraphilia』が自分にとってコンセプチュアルなものだったので、今回は好奇心が赴くまま自由に作っていったんですね。
――アルバムには「Misstopia」や「ウユニの恋人」などシューゲイザー的なギターが印象的な多幸感のある曲があり、一方で「Figure 0」や「I'm in no core」のようなダークな曲もありますよね。この二面性はどうして生まれてきたんでしょう?
小林:あんまり意識してないんですけれど、出所は一緒だと思います。僕が生きているなかで、感じていることを受けたものだから。
――この『Misstopia』というアルバムを作っているときに感じていたことって、どういうものが多かったですか?
小林:感じていたことは……愛。愛ですね。愛とか心とかって、基本的にどんなものなのか、正しい姿で描けないじゃないですか。ないのとは違うんですよ。あるのはわかっているけれど、それを形にすることができない。だから、祈るしかない。芸術というか、何かを表現することって、そういうことなんじゃないかと思うんです。祈るような気持ちで何かを作ることって、結果的に生きることへの祈りに変わっていくと思うし。だから生命力というものが曲に宿っている。今回のアルバムは、すごく生命力のある楽曲たちだと思うんです。
――なるほど。そうすると、このジャケ写はすごく象徴的ですね。
小林:実は何の打ち合わせもなかったんですよ。出来上がりを見せられて、すごくびっくりしましたね。実は「Gilmore guilt more」の最初のノイズ部分で心臓の音をサンプリングしているんですよ。それは伝えなかったけれど、偶然に心臓の絵になっていた。鳥肌が立ちましたね。そういう意味で、無意識の中に必然があった感じがする。こういうアルバムを作れてよかったと思ってますね。
取材・文:柴 那典
この記事の関連情報
The Novembers、3年半ぶり9thアルバムは二度目のセルフタイトル「こういうのが作りたかった」
【インタビュー】有村竜太朗、再起動作品に三者三様のギタリスト「単純にバンドで面白いことやろうみたいな気持ち」
【インタビュー】Petit Brabancon、高松浩史が語るEP『Automata』「挑戦というか、すごく新しい」
THE SPELLBOUND、<BIG LOVE>でJean-Ken JohnnyとBOOM BOOM SATELLITES楽曲共演
The Novembers、3年ぶり新曲配信リリース+15周年記念『全歌詞集』を限定販売
【ライブレポート】The Novembers、ワンマン<20221110>に今までを超えていく飛躍の瞬間
The Novembers、東名阪ワンマンツアーを2023年春開催
【ステージ楽器紹介】Petit Brabancon、高松浩史 Bass Sound System「初の挑戦も」
【インタビュー】Petit Brabancon、高松浩史が語るアルバム『Fetish』「このバンドでしかできないこと」