増田勇一の『鹿鳴館伝説』に寄せて(1)
武道館を制覇したムックが里帰りを果たし、メリーのガラが宙吊りになった伝説の聖地。
日本史に登場する鹿鳴館とは、明治時代、政府が国外からの賓客をもてなすために設立した社交場のこと。当時の日本がいかに西欧文化に強く影響されつつあったかを語るときに、絶対欠かすことのできないもののひとつと言っていいだろう。
しかし言うまでもなく、日本に暮らす現代の音楽ファンが鹿鳴館という呼称を目や耳にしたとき、まず最初に連想するのは、東京・目黒にある同名のライヴハウス。両者の間に直接的な因果関係は、僕が知るかぎりは皆無だ。が、「この国の文化の変遷を、鏡のように見守ってきた存在」という意味においては重なる部分がある気がしないでもない。
欧文表記にすると「ROCK MAY CAN」となるこのライヴハウスがJR目黒駅近くの権之助坂商店街にオープンしたのは、1980年のこと。ロック史を紐解きながら言えば、1977年に勃発したパンク・ムーヴメントも下火になり、ディスコ・ブームにもひと段落ついた当時のことだ。日本では、もんた&ブラザーズの「ダンシング・オールナイト」が記録的な大ヒットとなり、田原俊彦や松田聖子、近藤真彦も揃ってこの年にデビュー。まだまだ、いわゆるバンド・ブームなど起こる気配すらない頃だったというわけだ。
その鹿鳴館の設立30周年を記念した大型イベントが、3月19日(金)と20日(土)の両日、東京・水道橋のJCBホールにて開催される。歴史あるライヴハウスの特別なアニヴァーサリー・ライヴであるだけに、できることなら他でもない鹿鳴館での公演であって欲しい気もするが、実際問題としてあの会場には収まりきるはずもないスケールと内容のイベントなのだから、そこは仕方あるまい。
すでに公式情報を確認済みの読者も多いはずだが、まず3月19日の公演にはムック、メリー、PhantasmagoriaとVersaillesの計4組が出演。そして20日のステージには44MAGNUMとD'ERLANGER、さらにはDEAD ENDという豪華な顔ぶれが登場することになっている。これら7組の出演バンドすべてに共通しているのは、当然ながら各々が鹿鳴館と所縁の深い存在であるということ。しかも両日とも、この顔合わせによるステージというのは史上初なのだという。そうした事実からも、今回のイベントがいかに特別なものであるかがうかがえるはずだ。
ここで、3月19日(金)の公演にラインナップされている4組と鹿鳴館との関わりについて軽く触れておくと、ムックにとっては東京で初のワンマン・ライヴを行なったのがこの場所。しかも彼らは、初の武道館公演直後にもこの場に立っている。始動当初からこの会場にこだわってきたメリーの公演では、ガラが天井から宙吊りになるという衝撃的かつ象徴的場面もあった。Phantasmagoriaの首謀者であるKISAKIは、自らのレーベル、UNDERCODEの主宰者としても鹿鳴館と深い関わりを持ち続けてきたし、やはり結成当初からここを拠点としてきたVersaillesには、実に5夜公演を実践した過去も。どのバンドにとっても、自分たちの原点や本質といったものを再確認しようとしたとき、まず頭をよぎるのがこの会場の存在ということになるに違いない。そうした4組の“今”が、かつてのホームグラウンドに対する思い入れや感謝の気持ちと絡み合いながら、今回はJCBホールという大きな空間で激突することになるというわけだ。
30年前のオープン当初の頃には、あの米米CLUB(当時の表記は米米クラブ)やTHE MODS、NOVELAやZELDAなども出演していたという鹿鳴館。X JAPANはもちろん、LUNA SEAも、GLAYもこの場を通過してきている。そして90年代以降、いわゆるヴィジュアル系の聖地、新進バンドたちにとっての登竜門としても認知されてきた鹿鳴館を、「ジャパニーズ・メタル百花繚乱の日々から、次の時代へ」と繋いでいくことになった怪物バンド3組が、3月20日のステージには集結することになる。
というわけで、第二夜の出演者にまつわる話は、また改めて。まずは両公演の当日、その場で何が起こるのかについて妄想を働かせる前に、完売必至のチケットを確実に手に入れておくことを強く勧めておきたい。
増田勇一
鹿鳴館 30th Anniversary<鹿鳴館伝説 ~LEGEND OF ROCK MAY KAN~>
●3月19日(金)
OPEN 17:30 START 18:30
出演:ムック、メリー、Phantasmagoria、Versailles
●3月20日(土)
OPEN 16:00 START 17:00
出演:44MAGNUM、D'ERLANGER、DEAD END
前売り/6000円 当日/6500円
2010年2月13日(土)チケット一般発売
◆チケット詳細&購入ページ
[問]SOGO TOKYO 03-3405-9999 http://www.sogopr.co.jp/
◆鹿鳴館オフィシャルサイト
日本史に登場する鹿鳴館とは、明治時代、政府が国外からの賓客をもてなすために設立した社交場のこと。当時の日本がいかに西欧文化に強く影響されつつあったかを語るときに、絶対欠かすことのできないもののひとつと言っていいだろう。
しかし言うまでもなく、日本に暮らす現代の音楽ファンが鹿鳴館という呼称を目や耳にしたとき、まず最初に連想するのは、東京・目黒にある同名のライヴハウス。両者の間に直接的な因果関係は、僕が知るかぎりは皆無だ。が、「この国の文化の変遷を、鏡のように見守ってきた存在」という意味においては重なる部分がある気がしないでもない。
欧文表記にすると「ROCK MAY CAN」となるこのライヴハウスがJR目黒駅近くの権之助坂商店街にオープンしたのは、1980年のこと。ロック史を紐解きながら言えば、1977年に勃発したパンク・ムーヴメントも下火になり、ディスコ・ブームにもひと段落ついた当時のことだ。日本では、もんた&ブラザーズの「ダンシング・オールナイト」が記録的な大ヒットとなり、田原俊彦や松田聖子、近藤真彦も揃ってこの年にデビュー。まだまだ、いわゆるバンド・ブームなど起こる気配すらない頃だったというわけだ。
その鹿鳴館の設立30周年を記念した大型イベントが、3月19日(金)と20日(土)の両日、東京・水道橋のJCBホールにて開催される。歴史あるライヴハウスの特別なアニヴァーサリー・ライヴであるだけに、できることなら他でもない鹿鳴館での公演であって欲しい気もするが、実際問題としてあの会場には収まりきるはずもないスケールと内容のイベントなのだから、そこは仕方あるまい。
すでに公式情報を確認済みの読者も多いはずだが、まず3月19日の公演にはムック、メリー、PhantasmagoriaとVersaillesの計4組が出演。そして20日のステージには44MAGNUMとD'ERLANGER、さらにはDEAD ENDという豪華な顔ぶれが登場することになっている。これら7組の出演バンドすべてに共通しているのは、当然ながら各々が鹿鳴館と所縁の深い存在であるということ。しかも両日とも、この顔合わせによるステージというのは史上初なのだという。そうした事実からも、今回のイベントがいかに特別なものであるかがうかがえるはずだ。
ここで、3月19日(金)の公演にラインナップされている4組と鹿鳴館との関わりについて軽く触れておくと、ムックにとっては東京で初のワンマン・ライヴを行なったのがこの場所。しかも彼らは、初の武道館公演直後にもこの場に立っている。始動当初からこの会場にこだわってきたメリーの公演では、ガラが天井から宙吊りになるという衝撃的かつ象徴的場面もあった。Phantasmagoriaの首謀者であるKISAKIは、自らのレーベル、UNDERCODEの主宰者としても鹿鳴館と深い関わりを持ち続けてきたし、やはり結成当初からここを拠点としてきたVersaillesには、実に5夜公演を実践した過去も。どのバンドにとっても、自分たちの原点や本質といったものを再確認しようとしたとき、まず頭をよぎるのがこの会場の存在ということになるに違いない。そうした4組の“今”が、かつてのホームグラウンドに対する思い入れや感謝の気持ちと絡み合いながら、今回はJCBホールという大きな空間で激突することになるというわけだ。
30年前のオープン当初の頃には、あの米米CLUB(当時の表記は米米クラブ)やTHE MODS、NOVELAやZELDAなども出演していたという鹿鳴館。X JAPANはもちろん、LUNA SEAも、GLAYもこの場を通過してきている。そして90年代以降、いわゆるヴィジュアル系の聖地、新進バンドたちにとっての登竜門としても認知されてきた鹿鳴館を、「ジャパニーズ・メタル百花繚乱の日々から、次の時代へ」と繋いでいくことになった怪物バンド3組が、3月20日のステージには集結することになる。
というわけで、第二夜の出演者にまつわる話は、また改めて。まずは両公演の当日、その場で何が起こるのかについて妄想を働かせる前に、完売必至のチケットを確実に手に入れておくことを強く勧めておきたい。
増田勇一
鹿鳴館 30th Anniversary<鹿鳴館伝説 ~LEGEND OF ROCK MAY KAN~>
●3月19日(金)
OPEN 17:30 START 18:30
出演:ムック、メリー、Phantasmagoria、Versailles
●3月20日(土)
OPEN 16:00 START 17:00
出演:44MAGNUM、D'ERLANGER、DEAD END
前売り/6000円 当日/6500円
2010年2月13日(土)チケット一般発売
◆チケット詳細&購入ページ
[問]SOGO TOKYO 03-3405-9999 http://www.sogopr.co.jp/
◆鹿鳴館オフィシャルサイト
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増田勇一
MUCC
メリー / MERRY
Phantasmagoria
Versailles
44MAGNUM
D'ERLANGER
DEAD END
もんた&ブラザーズ
田原俊彦
松田聖子
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米米CLUB
THE MODS
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Zelda
X JAPAN
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