フローレンス&ザ・マシーン、「女性ヴォーカリストが持つパワーを見せたいのよ」

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フローレンス:歌うって、呼吸そのものっていうか、呼吸をコントロールすることでしょ。シンガーにとっては“Lungs(肺)”がパワーの源なのよ。わたしの肺って大きいのよ、冗談じゃなく(笑)。これ思いついたら、もうほかに考える余地はなかったわね。ピッタリだって思ったから。それに、アルバムの中にある「Between Two Lungs」って曲は、初めて自分1人で作った曲だったの。いつもはギタリストが音楽を作って、わたしがそれに歌詞やメロディーを加えていくんだけど、「Between Two Lungs」は自分1人でピアノやドラム、バック・ヴォーカルのパートを作ったの。だから自分の可能性が開けた記念すべき曲で、このアルバムのタイトル・トラックのようなものなの。

――アルバムにテーマはありますか?

フローレンス:愛、死、セックス、暴力…、後悔、罪悪感…、恐れ…、ようするに人生ね(笑)。すごくエモーショナルなアルバムになったと思うわ。

――歌詞はどうやって浮かんでくるのでしょう?

フローレンス:スタジオで音楽を聴いてて、頭にイメージを浮かべるの。音楽を言葉に置き換えていくって感じ。音楽の中にイメージや言葉を見つけていく。それに、いつも持ち歩いてるノートに気に入ったフレーズを書き込んでるんだけど、それを使う場合もあるわ。お喋りしてて浮かぶフレーズもあるし、本を読んでて思いつくこともあるし…。「Dog Days Are Over」っていう言葉は、ウーゴ・ロンディノーネっていうアーティストの作品からインスパイアされたの。大きなレインボーに“Dog Days Are Over”って描かれてるのを見て…。(歌詞は)いろんなところから浮かんでくるわ。

――あなたの歌詞はときとしてダークで暴力的だといわれることもありますが。

フローレンス:だと思うわ。美しい音楽にハードな歌詞をのせるのが好きなの。女性がダークで暴力的なことを歌うのって、いかにもそれっぽい男性が歌うよりインパクトがあるでしょ。女性ヴォーカリストが持つパワーを見せたいのよ、タフでショッキングな歌詞を通じて。

――愛や死にひかれる理由は?

フローレンス:アルバムを永遠のものにしたかったの。どんなときでも、未来の人たちでも共感できるようなものを作りたかった。死は誰に対しても起きるし、どの時代においても人間にとっての課題なんだと思う。多分、唯一の課題じゃないかしら。愛だってそう。いまだけのことじゃない。だから、わたしにとってこの2つを取り上げるってことは、不朽の作品を作るってことだったの。

――歌詞の面において、共感を覚えるアーティストは?

フローレンス:トム・ウェイツ。それにニック・ケイヴね。

――では女性シンガーとして共感を覚えるアーティストは?

フローレンス:ケイト・ブッシュ、PJハーヴェイ、それに最近のアーティストではラ・ルーが大好き。

――すでにニュー・アルバムの制作をスタートしたと聞きましたが、次の作品はどんなものにしたいと考えていますか?

フローレンス:『Lungs』はマキシマムなものだったから、今度はミニマムなものを作りたい。もっとシンプルにするっていうか、自分に境界線をもうけるっていうか…。まだ、わからないけどね。

――この先、来日公演が控えていますが、どんなショウを期待できるのでしょう?

フローレンス:エモーショナルで強烈で…、ときとして胸が張り裂けそうなもの。そこからみんなが何かを感じとってくれたら嬉しいわ。

――新曲を披露してくれる可能性も?

フローレンス:できれば(笑)。

エモーショナルなヴォーカルとダークな歌詞、幻想的なメロディが繰り広げられるアルバム『Lungs』も絶品だが、それとはまた違うパワフルでむき出しのエネルギーにあふれたライヴ・パフォーマンスも是非体験して欲しい。

フローレンス&ザ・マシーン初来日公演
2010年2月10日(水)
@東京LIQUIDROOM
Open 18:00/ Start 19:00
¥5,500
[問]SMASH 03-3444-6751

Ako Suzuki, London
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