イライラしてるだけじゃダメで、結局、自分が自分を大事にしなきゃ何も始まらないなと思ったんです

──2009年6月のデビューから約半年。この間に何か変化ってあった？

JASMINE：　いろいろ意識改革をして、二重人格がさらに二重人格になりました。

──えっ、二重人格がさらに二重人格に？

JASMINE：　はい、もともと二重人格だったのが、よりハッキリしたというか。自分の中で、（本名の）あすみと（アーティスト）JASMINEがよりハッキリ分かれたって感じです。で今、半年前の何倍も音楽が好きだし、何倍もJASMINEが好きなんですよ。

──何倍も音楽を好きになると、より深い表現を追求するようになって、そのぶん悩みも深くなったり？

JASMINE：　そうなんです。でも悩みが深まったぶん、上がる時は超上がって、振り幅がどんどん大きくなってるんで、楽しいといえば楽しいんです。ただ、悩みすぎて1回、頭の中で“音楽が恋人！”みたいになっちゃって。恋愛中って勝手に変なことを考えて涙が出ちゃったりするじゃないですか。そういう感じになったことがあって、自分でも“うわ～、ウケる～！”みたいな（笑）。

──そこまで音楽が好きになっちゃったんだ。でも前から音楽は好きだったんでしょ？

JASMINE：　好きだったんですけど、前はまだなんか、恥ずかしかったんですよ。でも生きてくうちにどんどん全開になっていく、みたいな。

──じゃあ、おばぁちゃんになった時はMAXになって、すごいことになってるかも？

JASMINE：　はい。歌いながら死のうと思います。

──お、カッコイイ！　そんな音楽大好き全開モードになったJASMINEの第2弾シングル「No More」は、人に理解されないイラ立ちや葛藤を抱えながらもプライドを持って進んでいこうとする、前向きな想いが込められたナンバーね。

JASMINE：　はい。歌詞的には、昔あたしはハチャメチャで……自分ではそう思ってなかったんですけど、周りはハチャメチャだと思ってたみたい。そのくせ「歌手になりたい」とか言って、「ビッグマウスだよね」みたいな。で、そうやって言われた言葉とか、言った人に対してイライラしてたんですけど、よく考えたらイライラしてるのは、実際まだ何もやってなくて何も言い返せない自分に対してだなと思ったんです。JASMINEは歌手になりたいのに、（本名の）あすみが示しのつかないことをしてるから、JASMINEをダメにしてる、みたいな。だから結局は自分なんだなと思って。

──じゃあこの曲は、周囲に対して“見返してやる！”っていうよりは……。

JASMINE：　もちろん見返したいんですよ。でも、見返したいと思ってイライラしてるだけじゃダメで、結局、自分が自分を大事にしなきゃ何も始まらないなと思ったんです。

──つまり見返すためにも、自分自身が変わらなきゃと。

JASMINE：　はい。だからJASMINEがあすみを変えたって感じですね。

──歌詞の中には「あたし自身に恥じないように」って言葉が出てくるけど、それは“自分の中のJASMINEに恥じないように”という意味でもある？

JASMINE：　そうですね。JASMINEはプライドを持っているので。あすみは持ってないですけど。あすみは基本的にJASMINEのサポーター、もしくは、足を引っ張る人なので（笑）。

──はははは。がんばれ、あすみ！（笑）

JASMINE：　（笑）で、負けん気が強くてプライドを持ってるJASMINEが「あたしは絶対歌手になる！」って言ってて。そう言ってた自分に恥じないように、みたいな感じですね。

──さっき最初に言ってた「二重人格がよりハッキリしてきた」っていうのは、そういうこと？

JASMINE：　そうです。JASMINEはよりプライドが高く前向きになって、あすみはよりJASMINEのファンになってると思います。

──おもしろいなぁ、その考え方というか、個性というか。

JASMINE：　おもしろいと思ってくれたらうれしいです。でも、賛否両論って気がします（笑）。

──で、レコーディングはどうだった？

JASMINE：　前作の「sad to say」の時はかなり緊張したんですよ。でも今回はリラックスできて。そのぶん、感情も自然に出せたんじゃないかと思うし、聴いた人が少しでも共感してくれたらなって思いますね。

──うんうん。そして2曲目の「CLUBBIN''」は、これまたカッコイイ曲で。

JASMINE：　やさぐれ系ですね（笑）。ロックっぽいファッションでコロナ（ビール）を片手に、すり切れたパンプスで真っ暗な街をねり歩くやさぐれ女の歌（笑）。

──タイトルどおり、まさにクラブにピッタリの曲だと思うんだけど、みんなにはどんなふうに聴いてもらいたい？

JASMINE：　やさぐれて聴いてほしいです（笑）。あんま耳をそば立てて聴くっていうより、生活の中で……。例えばあたし、食器を洗う時は音楽がないと絶対死んじゃうんですけど、そうやって食器洗う時とかにノリノリでやさぐれてとか（笑）。

──でもやさぐれて食器洗ってると、“もういいや～”みたいになりそうだけど（笑）。

JASMINE：　あははは。「だり～。もう遊びにいっちゃおうっかな」とか言って、お皿、外に投げたりして（笑）。

──そういう意味じゃ食器洗いに適してるかどうかは疑問だけど、本当にカッコイイ曲。で、シリアスな1曲目、クールな2曲目とはまた全然違う雰囲気なのが3曲目の「what you want?」で。これは甘くセクシーなR&Bナンバー。

JASMINE：　はい。これは以前、恋をした時に書いたんですけど、セクシーな人になった気分で書きました。金の猫足がついた白い湯ぶねに入って、そのお風呂には薔薇がいっぱい浮いてて、周りには果物がいろいろ置いてあって、みたいなイメージで。本当はもうちょっとユルくしようかとも思ったんですけど、20歳なのでポップな若者っぽい恋が始まったっていう、綺麗なとこだけを歌にしたって感じですね。

音楽はパレットみたいにしたいんですよ。自分の作る曲には1曲1曲、色があってほしくて

──それにしても3曲3様、どれも全くタイプが違いますね。

JASMINE：　全く違う感じが好きなんで。音楽はパレットみたいにしたいんですよ。自分の作る曲には1曲1曲、色があってほしくて。ピンクだったり黒だったり、全部違う曲にしたいんです。なんで、これからもいろんな色の曲を作っていきたいなって。

──色って、微妙なグラデーションでも変わってくるし、それこそパレットで混ぜると新しい色も生まれるから、そう考えると無限に曲ができるね。

JASMINE：　そうなんです！　しかも色だけじゃなくて柄も……例えば「sad to say」だったら、水玉模様が入ってたんですけど、そうやって柄も入るから、よけい無限って感じで。

──ちなみに今回の「No More」の色は？

JASMINE：　マーブルカラーってあるじゃないですか。ぐねぐね～っていろんな色が混ざり合ってる、ああいう感じ。ピンクがぐにょ～となったり、黄色がぐにょ～となったりしてて、そこに一色だけ濃い藍色が入ってる、みたいな。で「CLUBBIN''」は黒と白のストライプで、「what you want?」は湯気が立ってるような、ピンクかな～？　ぐらいの薄いピンクって感じですね。

──今後、何色の曲を作っていきたい？

JASMINE：　次は紫です！　もう決まってるんです、紫と黄色って。いつもこんな調子で、曲のイメージカラーが先に決まるんですよ。今回のジャケットは緑なんですけど、これも曲ができる前から色のイメージだけは決まってて、「ピンクの次は緑がいいです！」って言ったんです。緑って思ったのは、特に深い意味はないんですけど、なんとなく。あたし、色を言うのが好きなんで（笑）。

──じゃあ次のイメージカラーは紫。

JASMINE：　そのつもりです。で、そうやってどんどん自分のパレットに色を増やしていく感じで、いろんないい曲をいっぱい作って増やしていけたらなって思ってます。

取材・文●赤木まみ