DIR EN GREY、15ヵ月ぶりのニュー・シングル、その驚くべき全貌
去る9月15日、東京・新木場STUDIO COASTでの公演をもって終了に至った<TOUR09 ALL VISIBLE THINGS>。その終演と同時に表題曲のタイトルと発売日のみが発表されていた、DIR EN GREYのニュー・シングルに関する詳細がついに判明した。
まず情報を整理しておくと、「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」と題されたこの作品は、2008年11月に発売された現時点での最新アルバム、『UROBOROS』以来初の真新しい音源であり、シングルとしては「GLASS SKIN」以来、実に15ヵ月ぶりのリリースとなるもの。発売日は12月2日に決定している。
肝心の収録曲についてだが、まず表題曲は、やはりそのタイトル自体からは想像不能であるばかりでなく、端的に形容すること自体が難しいと言わざるを得ない楽曲。なかにはバラードを想定していた読者もいるかもしれないが、ここではバラードであるか否かを明言するよりも「常に予想を裏切るのがDIR EN GREYだ」と答えるにとどめておくべきだろう。とにかくファースト・インプレッションの強烈なこの楽曲について、いくつかヒントを提示しておくとすれば、“情報量の多さ”と“意外なほどのキャッチーさ”ということになるかもしれない。ただし、もちろん“キャッチー”という言葉が意味するのは、世間にありがちなポップ・ソング的ということではない。“一度でも耳に絡み付いたら離れない”ということである。
そして同時収録されているのが、なんと「残」と「蝕紅 (Shot In One Take)」。どちらも最近のライヴで披露され、客席に大きな衝撃とどよめきをもたらした楽曲だが、1999年1月に3作同時リリースされたメジャー・デビュー・シングルのうちの1曲である「残」は、新旧を問わずあらゆるファンから特に“復活”を望まれていたナンバーだと言っていいだろう。これまでにも“過去の楽曲を現在形にリニューアルする”という作業については、かならずしも否定的ではなかった彼らではある。が、禁断のチューンともいうべきこの「残」の蘇生は、彼らを支持する人たちの多くにとって“願ってはいても、叶わないこと”と信じられていたに違いないし、ここでこうして新たなカタチで蘇生させることを5人が決意するに至ったのは、まさに現在のこのバンドにとって“否定すべき過去”が何ひとつ存在しないことの証しと言っていいはずだ。
もう1曲の「蝕紅 (Shot In One Take)」は、そもそも『VULGAR』(2003年発表)に収録されていた楽曲だが、こちらに関してはタイトル中の英語表記部分が物語っているように、いわゆるワン・テイク、一発録りによる音源となっている。<TOUR09 ALL VISIBLE THINGS>では、『UROBOROS』収録の「凱歌、沈黙が眠る頃」などとともに“鍵”を握っていたともいえるこの楽曲。『VULGAR』自体、DIR EN GREYが現在のスタイルに至るうえでの重要な分起点となった作品といえるが、その収録曲である「蝕紅」が“現在の5人の等身大の音”で、必要以上に手を加えられていない状態のまま我々の耳に届けられることになるわけだ。
もうひとつ補足しておくと、その「蝕紅 (Shot In One Take)」を除く2曲については、スウェーデンが誇る孤高のへヴィ・ロック・バンド、OPETH(オーペス)との仕事で知られているイェンス・ボグレンがミキシングを担当。ボグレンの名前は同バンドの『GHOST REVERIES(ゴースト・レヴァリーズ)』(2005年)、『WATERSHED(ウォーターシェッド)』(2008年)といった作品において、共同プロデューサー及びエンジニアとしてクレジットされている。さらにこの音源は、最終的にはニューヨークのスターリング・サウンド・スタジオにおいて、テッド・ジェンセンによるマスタリングを経て完成へと至らしめられている。マスタリングの達人として広く世界的に認知されている彼の名前は、言うまでもなく『UROBOROS』のクレジットのなかにも見つけることができる。
いわば日本で録られ、スウェーデンで研ぎ澄まされ、アメリカはニューヨークで最終着地点へと到達したこのシングル。今回はふたつのフォーマットでのリリースが予定されているが、2枚組仕様で発売される初回生産限定盤のDVDには、レコーディング風景などもふんだんに収録されているとのこと。
さまざまな意味で画期的というべきこのシングルの登場を経た先に見えてくるのは、2010年1月の日本武道館二夜公演ということになるが、順当に考えれば、そのときに初めて「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」がステージ上で披露されることになるのだろう。しかし、前にも記したとおり、常に予測を裏切るのがDIR EN GREYというバンドでもある。果たして“次”は何が起こるのか? シングルの具体的な像が明らかになるその瞬間と、続報到着とをお待ちいただきたいところだ。
増田勇一
なおBARKSでは、3ヶ月におよぶツアーを追った豪華3枚組DVD『TOUR09 FEAST OF V SENSES』リリース特集を大展開中だ。こちらを見て、来るべき武道館公演に備えたい。
◆『TOUR09 FEAST OF V SENSES』リリース特集
MUSIC CLIP COLLECTION DVD
『AVERAGE BLASPHEMY』
SFBD-0021 ¥5,775(tax in)
2009.10.28 RELEASE
<UROBOROS -with the proof in the name of living...->
2010年1月09日(土)日本武道館
2010年1月10日(日)日本武道館
[問]フリップサイド 03-3466-1100
◆iTunes Store DIR EN GREY(※iTunesが開きます)
◆DIR EN GREYオフィシャルサイト
まず情報を整理しておくと、「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」と題されたこの作品は、2008年11月に発売された現時点での最新アルバム、『UROBOROS』以来初の真新しい音源であり、シングルとしては「GLASS SKIN」以来、実に15ヵ月ぶりのリリースとなるもの。発売日は12月2日に決定している。
肝心の収録曲についてだが、まず表題曲は、やはりそのタイトル自体からは想像不能であるばかりでなく、端的に形容すること自体が難しいと言わざるを得ない楽曲。なかにはバラードを想定していた読者もいるかもしれないが、ここではバラードであるか否かを明言するよりも「常に予想を裏切るのがDIR EN GREYだ」と答えるにとどめておくべきだろう。とにかくファースト・インプレッションの強烈なこの楽曲について、いくつかヒントを提示しておくとすれば、“情報量の多さ”と“意外なほどのキャッチーさ”ということになるかもしれない。ただし、もちろん“キャッチー”という言葉が意味するのは、世間にありがちなポップ・ソング的ということではない。“一度でも耳に絡み付いたら離れない”ということである。
そして同時収録されているのが、なんと「残」と「蝕紅 (Shot In One Take)」。どちらも最近のライヴで披露され、客席に大きな衝撃とどよめきをもたらした楽曲だが、1999年1月に3作同時リリースされたメジャー・デビュー・シングルのうちの1曲である「残」は、新旧を問わずあらゆるファンから特に“復活”を望まれていたナンバーだと言っていいだろう。これまでにも“過去の楽曲を現在形にリニューアルする”という作業については、かならずしも否定的ではなかった彼らではある。が、禁断のチューンともいうべきこの「残」の蘇生は、彼らを支持する人たちの多くにとって“願ってはいても、叶わないこと”と信じられていたに違いないし、ここでこうして新たなカタチで蘇生させることを5人が決意するに至ったのは、まさに現在のこのバンドにとって“否定すべき過去”が何ひとつ存在しないことの証しと言っていいはずだ。
もう1曲の「蝕紅 (Shot In One Take)」は、そもそも『VULGAR』(2003年発表)に収録されていた楽曲だが、こちらに関してはタイトル中の英語表記部分が物語っているように、いわゆるワン・テイク、一発録りによる音源となっている。<TOUR09 ALL VISIBLE THINGS>では、『UROBOROS』収録の「凱歌、沈黙が眠る頃」などとともに“鍵”を握っていたともいえるこの楽曲。『VULGAR』自体、DIR EN GREYが現在のスタイルに至るうえでの重要な分起点となった作品といえるが、その収録曲である「蝕紅」が“現在の5人の等身大の音”で、必要以上に手を加えられていない状態のまま我々の耳に届けられることになるわけだ。
もうひとつ補足しておくと、その「蝕紅 (Shot In One Take)」を除く2曲については、スウェーデンが誇る孤高のへヴィ・ロック・バンド、OPETH(オーペス)との仕事で知られているイェンス・ボグレンがミキシングを担当。ボグレンの名前は同バンドの『GHOST REVERIES(ゴースト・レヴァリーズ)』(2005年)、『WATERSHED(ウォーターシェッド)』(2008年)といった作品において、共同プロデューサー及びエンジニアとしてクレジットされている。さらにこの音源は、最終的にはニューヨークのスターリング・サウンド・スタジオにおいて、テッド・ジェンセンによるマスタリングを経て完成へと至らしめられている。マスタリングの達人として広く世界的に認知されている彼の名前は、言うまでもなく『UROBOROS』のクレジットのなかにも見つけることができる。
いわば日本で録られ、スウェーデンで研ぎ澄まされ、アメリカはニューヨークで最終着地点へと到達したこのシングル。今回はふたつのフォーマットでのリリースが予定されているが、2枚組仕様で発売される初回生産限定盤のDVDには、レコーディング風景などもふんだんに収録されているとのこと。
さまざまな意味で画期的というべきこのシングルの登場を経た先に見えてくるのは、2010年1月の日本武道館二夜公演ということになるが、順当に考えれば、そのときに初めて「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」がステージ上で披露されることになるのだろう。しかし、前にも記したとおり、常に予測を裏切るのがDIR EN GREYというバンドでもある。果たして“次”は何が起こるのか? シングルの具体的な像が明らかになるその瞬間と、続報到着とをお待ちいただきたいところだ。
増田勇一
なおBARKSでは、3ヶ月におよぶツアーを追った豪華3枚組DVD『TOUR09 FEAST OF V SENSES』リリース特集を大展開中だ。こちらを見て、来るべき武道館公演に備えたい。
◆『TOUR09 FEAST OF V SENSES』リリース特集
MUSIC CLIP COLLECTION DVD
『AVERAGE BLASPHEMY』
SFBD-0021 ¥5,775(tax in)
2009.10.28 RELEASE
<UROBOROS -with the proof in the name of living...->
2010年1月09日(土)日本武道館
2010年1月10日(日)日本武道館
[問]フリップサイド 03-3466-1100
◆iTunes Store DIR EN GREY(※iTunesが開きます)
◆DIR EN GREYオフィシャルサイト
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