黒猫チェルシー&『色即ぜねれいしょん』、10代の肉体に渦巻くエネルギーが暴発する大特集
黒猫チェルシー featuring 映画『色即ぜねれいしょん』
みうらじゅんの自伝的小説を田口トモロヲがメガホンを取り映画化した『色即ぜねれいしょん』が公開されている。青春の甘くも苦い、そして生臭く、同時に清々しいという二面性を赤裸々に描き、真面目で平凡な文科系少年が大人の男へと変わっていく姿が涙を誘う。青春映画の金字塔として多くの人に見てもらいたい映画だ。主演にはロックバンド黒猫チェルシーの渡辺大知。田口トモロヲ監督が描いた70年代の青春、そして渡辺大知が生きる00年代の青春。そこに違いはあるのか? 音楽が大きな影響を及ぼす青春時代についてのインタビューも合わせてどうぞ。
INTERVIEW
田口トモロヲ(以下、田口):これはまさに、“青春映画”なんで、青春っていうものの普遍性を探していく、っていうことですね。しかも、その主人公が超文化系で……。優等生にもヤンキーにもなれない、中流家庭出身のド文化系男子が主人公なんですけど、そこにある青春の悶々とした感覚は、今も昔もわりと変わらないんじゃないかなっていう。
田口:そうですね。結局、純くんは最終的に何も変わってないんですよね。半年のあいだに童貞も卒業できないし(笑)。みうらさんの原作も、半年やそこらで人間そんなに変わらないよっていう……。まさに、“色即是空”ですよね。でも、そういうことと、自分が見方を変えないと世界は変わらないっていうのが、やっぱりリアルな青春だと思うんです。頭で考えずにとりあえず行動っできるっていうのは、まさに青春ですからね。
渡辺:僕的には、けっこう一緒なんですよね、彼と(笑)。今の僕っていうよりは、どっちかっていったら中3のころの僕に似てるかなって思うんですけど……。僕は高校に入って、運良くバンドっていうやりたいことができて。でも、それよりもっと前は“バンドしたいけどメンバー見つからなくてできんやろな……”とか悩んでたりして。そのころの自分に似てる気がしました。
渡辺:そうなんですよね。監督も言われてましたけど、青春ってやっぱり、自分から動くことが大事だと思いますし。だから、この映画を見て“何かしたい”って思ってもらえたら嬉しいです。純は文化祭のステージに出て、それで何が変わったかはわからないかもしれないけど……。自分からちょっとでも動くことが大事かなって僕もすごく思うので、この映画を見た人が何か行動したいなって思える原動力みたいになったら嬉しいです。
田口:それは、原作をさらに押し進めたものとして脚本の向井康介くんが作ってくれたセリフなんですが、補足するなら……。“音楽は武器で、血を流さない平和な武器だ”っていう。それは、理詰めじゃなくて、感覚で人を揺さぶることができるものだっていう。そういう“音楽の力”を信じられるか信じられないか、っていうことだと思うんですけどね。
田口:そう。音楽って、自分が体験したものを作品に対象化して、色々なものに昇華する。そういうことが武器になると、僕は思うので……。純くんも感じていたコンプレックスっていうのは、逆に個性でチャンスだっていうことにもつながると思うんですよね。そういうリアルで等身大な青春を描けたっていう意味では、恥ずかしくない“青春映画”になったんじゃないかと思ってます。
取材・文●道明利友
PHOTO ALBUM
映画データ
映画『色即ぜねれいしょん』
2009年8月15日、シネセゾン渋谷、新宿バルト9ほか全国ロードショー
出演:渡辺大知(黒猫チェルシー) 峯田和伸(銀杏BOYZ) 岸田繁(くるり) 堀ちえみ リリー・フランキー 臼田あさ美 石橋杏奈 森岡龍 森田直幸 大杉漣 宮藤官九郎 木村祐一 塩見三省
監督:田口トモロヲ『アイデン&ティティ』
原作:みうらじゅん(光文社文庫刊)
脚本:向井康介『リンダ リンダ リンダ』
音楽:大友良英
撮影:柴主高秀 照明:蒔苗友一郎 美術:丸尾知行 編集:上野聡一 録音:久連石由文
エグゼクティブプロデューサー:甲斐真樹
プロデューサー:スージュン
製作:スタイルジャム、バンダイビジュアル、衛星劇場、光文社、エクスプレス
配給:スタイルジャム
(C)2009「色即ぜねれいしょんズ」
CDデータ
黒猫チェルシー featuring 映画『色即ぜねれいしょん』
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