長渕剛、ギターを大筆に持ち替え、詩画のパフォーマンスでファンを圧倒
◆イベントで詩画の実演をする長渕剛
当日は六本木ヒルズアリーナの特設ステージ上にて、まずは約30分間のトークを収録する予定だったが、さっそくCDの音に合わせて即興ライヴを行ない、ファンを喜ばせた。
その後、アリーナ中央に設営された横7m×縦4mの白紙=巨大なキャンバスと向き合った長渕は、重さ40kg以上に及ぶ大筆を振るい、書き始めから書き終りまで僅か10分足らずという瞬間技で、「蝉」という巨大な文字を一気呵成に書き上げた。
普段のライヴとは全く違う、言わば“ギターを筆に持ち替えた”ライヴ・パフォーマンスをファンが固唾を呑んで見守る中、その静寂に都会の蝉が泣き叫ぶかのように、あっという間に詩画の実演は終了。場内は興奮の坩堝と化した。パフォーマンスを終え、全身墨汁まみれで仁王立ちする長渕の姿は、さながらボディペインティングを施し、戦いに挑む先住民族のような佇まいだった。
詩画は、長渕が10年以上にわたって行なってきた芸術表現のひとつで、1998年に東京・銀座の「日動画廊」において初の詩画展を開催。2002年に同所で2回目を、さらに鹿児島、福岡でもそれぞれ2万人を動員した実績がある。
7月にリリースしたシングル「蝉 semi」のミュージック・ビデオでは、長渕による初の“音楽と詩画の融合”が実現し、3枚の巨大な詩画を書き上げる模様が収録された。この曲で長渕は、「鳴くのは今しかない」とばかりに自己の“生”を主張し、わずかな時間で潔く散っていく蝉の鳴き声を「チキショウ~」と詠み上げている。今回のミュージック・ビデオのアイデアは、そこに筆の刹那的な世界を照らし合わせることで浮かんだという。
そんな、魂を感じさせる詩画の実演を生で体感することができたこのイベントは、ファンにとっては感涙ものだったようだ。アルバム『FRIENDS』は、「蝉 semi」、「卒業」といったシングル曲を含め具体性に富む情景描写が印象的な全13曲が収録された、“長渕文学”の持つ豊かな情緒性を改めて浮き彫りにした作品となっているので、ぜひチェックしてみてほしい。
なお、長渕は9月4日の横浜アリーナを皮切りに、10月7日の大阪城ホールまで全国6ヶ所10公演のアリーナ・ツアーを行なうほか、全国13ヶ所20公演に及ぶ、たったひとりでの弾き語りツアーも予定している。
シングル「蝉 semi」
UPCH-80136 ¥1.200(tax in)
2009年7月29日発売
◆「蝉 semi」ミュージック・ビデオ(YouTube ユニバーサルミュージック公式チャンネル)
◆長渕剛オフィシャルサイト
◆長渕剛ユニバーサルミュージック公式サイト