COCOA、誰もが温かで優しい気持ちになれる期待の新人のニューアルバム『360°』リリース大特集

ポスト

[BARKS FEATURE] COCOA オリジナル・ニューアルバム『360°』リリース大特集

この二人の曲を聴くと誰もが温かで優しい気持ちになれる

――リードヴォーカルの取り合いとか、逆に譲り合いみたいなことはない?

二上:ないですね。曲を書いた方が表現しやすいハズなので。

鈴木:基本的には作った方がその曲をよく理解しているので歌う。でもここは相方が歌った方がイメージに合うなと思えば、“ちょっとここお前歌ってくれない?”とかはあったりしますけど。昔は彼がリードヴォーカルで僕がコーラスって決まってた。

――それは何がきっかけで変わったの?

二上:僕がギターを弾き始めたからですね。最初はギター1本だけで、僕は歌とタンバリンくらいだった。

鈴木:そのうちギター1本だけじゃ表現に無理があるなと。で、ギター2本になったら自然に僕も歌うようになってたんです。

――COCOAの歌詞って、凝った言い回しとかはあまりなくて、自然な表現が多いね。

二上:月並みですけど、飾らないということは意識してます。100人聴いたら100人に僕の想いを伝えたいというのが目標なんですけど、でもきっとそれは世のアーティスト全員が目指していて、誰もなし得ていないことですよね。だからそれは無理だとしても、必ず何かが心に残るようにと思って言葉を選んでます。

鈴木:僕が意識してるのは、無意味な英語は使わないということ。聴いてくれるのは基本的に日本人なので、日本語が耳に残りやすいし心にも伝わるハズなんで。もちろんまったく禁止ってわけじゃなくて最低限の英語は使うかもしれないけど、カッコいいとか響きがいいという理由で英語を使ったりはしないですね。

――今回の収録曲の中では、「レプリカ」の歌詞が印象的でした。ラヴソングなんだけど、親に対する愛情を歌っているようにも受け取れるし、“死ぬ時が来たら思い出す”とか“怖いのはあなたがこの世界から消えること”なんてやたらへヴィな言葉も出てくる。

二上:命にはどうしても終りがあって、そこでどうしても伝えたいことがある、とか、別れてしまう人になにか想いを伝えたい、というのを歌にしたかったんですね。今までの自分では使わなかったようなストレートな表現をしたし、死をテーマにしたこともなかったんで、どう書けばいいかずっと悩んでた。でも、できあがって聴いてもらったときのみんなの反応を見てて、ああいいものができたんだな、という実感がありました。だからできるだけたくさんの人に伝えたいです。

――サウンドの面では、アレンジも多彩になっている。

鈴木:今まではアレンジが一辺倒というか、どの曲も似てる感じだったけど、今回は色々やってみました。たとえばアコギがメインの曲もあり、バンドサウンドもあり、ポップスもありで。そういう意味でも「360°」に通じるという。それでいて、どの曲もそれぞれの輝きを持って一個性として生きてる、そんなサウンドを目指しました。

――アコースティック・ギターのデュオというスタイルには特にこだわってはいないの?

二上:そうですね。ギターを持ち出したのも、ストリートで歌うための手段だったんで。最初はまったく知識がなかったから。

鈴木:そもそも最初はバンドをやるつもりだったんです。でもバンドが何かってのがわからなかったんで、僕らはアコギ2本とピアノでバンドだと思ってた。

二上:あとハーモニカっていうよくわからない構成で(笑)。これをどうまとめればいいのかってところから始まって、気づいたら僕らのギター2本になってた。引き算の結果なんですよ。

――それぞれどんな音楽が好きで、どんな音楽をやりたくてCOCOAを結成したの?

二上:兄の部屋から適当にCDを持ち出してかけてみた。最初に聴いたのがスピッツの『リサイクル』で、1曲目の「君が思い出になる前に」でもう号泣したんです(笑)。音楽ってすごい、これはちょっとやってみたいなと思って、当時仲のよかった相方に話をしたんです。

鈴木:父にピアノが弾きたいって言ったらすぐピアノ買ってきた(笑)。で、好きだったゲームの音楽なんかを音楽室で弾いてると、ゲーム好きが集まってくる。相方もその中の一人だったんですよ。でも、歌というものには興味がなかったんです。好きなのはメロディというか曲であって、歌ではなかった。そのときに相方から“こういうのをやりたい”ってゆずのCDを渡されたんです。これをやるにはピアノじゃないな、ってことでギターを始めたわけなんです。

――最初の頃の曲で今も残ってる曲はないの?

二上:COCOAの最初の曲、相方が初めて作った曲はずっとやってます。

鈴木:「メモリー」っていう曲です。高校に入るときに、相方が1年間アメリカ留学するんで、その間COCOAもできないことになった。それで相方に何をしてあげようかと思っていたら、誰かに“じゃあ曲を書いてあげたら”って言われて作ってみたんです。

――その曲を聴いてどう思った?

二上:それが、僕が留学する直前のラストライヴでそれをやったんですけど、微妙に歌詞を変えて泣かすように歌うんですよ。もう泣かないワケないじゃないですか(笑)。

――今回アルバムを作ったことで、今後の目標は何か見つかった?

二上:たくさんの人に届けたいというのが制作を通して強く意識できたことです。今は東京と静岡を中心に活動してるんですけど、これからは全国をまわって色々な人に色々な形で曲とかライブとかを届けたいですね。

鈴木:僕は自分を極めたいと思いました。表現したい思いが自分の中にあっても、曲を作ってみると100パーセント表現しきれていない。限りなく100に近いところまで自分を出し切るためには、どんな曲、どんな歌詞、どんな歌い方がいいのかというのを詰めていかなきゃいけない。それは、色々な曲を作るたびに一歩ずつ近づいていくような気がするので、数をこなすことで自分を極めていきたいです。

――今回の『360°』そしてCOCOAのどういうところを聴いてほしい、見てほしいと思う?

二上:今回は言葉も音も一つ一つこだわって作ったアルバムなんで、歌詞が終わったあとの音とか、歌が始まる前の音とか、もちろん歌詞の言葉とか、すべてを聴いてもらえたらうれしいです。ぜひ何十回も何百回も聴いてもらって、それこそ360°、色々な魅力を楽しんでもらえたらいいなと思います。

鈴木:歌う表現の方法にもこだわって作りました。僕たちが何かを表現しているんだ、ということを見てもらえればいいと思います。

取材・文●田澤 仁

この記事をポスト

この記事の関連情報