アーティストがブレイクするためのキーワードは “…で、誰?”
「a flood of circle、レコチョクで1、2フィニッシュ …で、誰?」(2009年3月14日 掲載)、「謎のヴィジュアル系ユニット、HANGRY&ANGRYって、誰?」(2008年10月15日 掲載)、「着うた(R)で“ポニョ”を超えた新人、Lil'Bって誰?」(2008年8月1日 掲載)、「加藤和樹ってカッコイイよね! …で、誰?」(2007年7月28日 掲載)、「ステファニー、鮮烈デビュー!…といいつつ、誰?」(2007年5月24日 掲載)。
昨今の音楽シーンにおいて、BARKSが伝えてきた新人アーティストを振り返ってみると、ついつい“…で、誰?”と紹介してきたアーティストが多いことに気付く。そして、若者から絶大な支持を集めるLil'Bはもちろんのこと、一条ゆかり原作の映画『プライド』で主役を演じたステファニーといい、現在公開中の映画『恋極星』で、戸田恵梨香とともに主演している加藤和樹といい、これらのアーティストは一様にめざましい活躍を果たしているのも事実。MySpaceなどで海外ファンからも熱い注目を受けるHANGRY&ANGRYは、2009年4月に日本を飛び出しアメリカでのパフォーマンスも決定。新人バンドa flood of circleも、4月22日のメジャーデビューに向けて、ロックファンのハートをガッチリ掴んでいる。
伝えるべき逸材、多くの人に知って欲しい才能だからこその記事執筆、しかしながらその時点では限りなく無名。だからこそ“…誰?”という表現がぴったりなわけで、“…誰?”というワードは、ブレイクすべき素養を携えたアーティストへの枕詞として意味を帯びてきていた。逆説的ではあるが、“…誰?”はブレイクに関わるキーワードのひとつになっているのかもしれない。思えば、最近業界内外から広く注目を集めている日本テレビ系の音楽番組も『誰も知らない泣ける歌』。奇しくも“誰”だ。
そしてここには、“誰という言葉には色がない”という重要な特性が隠されている。
これまで、“ロック”“涙”“キュート”“セクシー”…などなど、それなりのリスクも背負いながらも、ある種の先入観、色を持たせた上でアーティストを露出する方法が王道だった。カテゴライズとジャンルによる選別はリスナーに簡易さと安心を与え、訴求へのショートカットで効率があがると考えられていたからだ。音楽専門誌もそれぞれに特徴を出し、セグメントされることで安心と信頼を読者へ提供してきた。
しかし、音楽の多様化とともに、リスナーの音楽の楽しみ方も急激に多様化してきた今の音楽シーン。そして、全ての情報が混在して一斉にばら撒かれたように情報が散在するネット上のアーティスト情報。情報提供側は主権を失い、情報収集側に主権が移り、メディアとコンシューマーの位置関係はドラスティックな変化を見せた。メディア側で組み込んだジャンル選別によるアーティスト・カテゴライズは意味を失い、選択取得の自由度を最大限に広げる伝達方法こそが、より多くの人へ伝えることのできる唯一の方法であるように音楽情報の流れは変った。それがインターネットである。BARKSはアーティストの詳細は可能な限り伝えながらも、紋切り型に決め付けず、あなたにとってはどんなアーティストだろうかと、間口を広げ回答を待つ。だから“…誰?”なのである。
言わば、アーティストの“色”をつけるのは、レーベルでもメディアでもなく、リスナーなのだ。メディアが決める幻のアーティスト像など、もはや誰も求めていないのは明白。アーティストの音を聴いたリスナーひとりひとりが、オリジナルな色でそのアーティストを愛していけばいい。そしてその魅力はブログやSNSで広がっていけばよい。まさしく口コミである。音楽が口コミで広がっていくのは、今も昔も、そして今後も変わらない揺るがぬ事実であるから。
というわけで、最後にもうひとり、“…で、誰?”というフレーズとともに、多くの人から愛されてほしいアーティストを紹介しよう。「志方あきこ、オリコン初登場9位…で、誰?」。
◆志方あきこのフォトアルバム
志方あきこが、2年半ぶりとなるオリジナルアルバム『Harmonia』を3月18日にリリースし、3月17日付けのオリコン・デイリー・アルバムチャートで初登場9位にランクインした。
志方あきこはこれまでに、メジャーアーティストとしては2枚のソロアルバムをリリース。“星”がテーマの1stアルバム『Navigatoria』、“月”がテーマの2ndアルバム『RAKA』ともに、ノンタイアップにも関わらず、10万枚を超えるセールスを記録している。
クラシックや民族音楽の要素も取り入れながら、時には1曲あたり400トラックを超えるコーラスを重ねる多重録音を特徴とするオリジナリティ溢れる彼女の音楽性は、メジャーデビュー以前からWeb上などで評判になっていた。そして、その活躍を耳にした葉加瀬太郎によって見出され、彼女はメジャーデビューを果たす。
また、これまでにPlayStation2ゲーム『アルトネリコ 世界の終わりで詩い続ける少女』、『アルトネリコII 世界に響く少女たちの創造詩』や『花帰葬』で主題歌の歌唱やゲーム中の音楽の作編曲を、PC用サウンドノベルズゲーム『うみねこのなく頃に』では主題歌を担当するなど、ゲーム音楽を手がけていることもあり、各ゲームファンにはよく知られた存在。“志方あきこって、誰?”と書いておきながら、実は知る人ぞ知るアーティスト。オリコン初登場9位の支持ですから…。
そんな彼女のメジャー3枚目となる『Harmonia』は、1st、2ndアルバムの流れを汲みつつ、集大成的な意味合いを感じさせる“ガイア・シンフォニー(生命交響曲)”がアルバム全体のコンセプト。“風”“火”“水”“地”の自然界4大エレメンツにそった物語による15曲と、アルバム全体のテーマを表現したメドレー形式の2曲の全17曲を収録する。彼女の作品の中で最もコンセプチャルな作品となっている。
また、日本語を含めた7言語(トルコ語・ウィグル語・イタリア語・ドイツ語・ギリシャ語・ヒュムノス語)で歌われたヴォーカル&コーラスが聴きどころ。ちなみにヒュムノス語は、PS2ゲーム『アルトネリコ』シリーズに出てくる架空言語で、同ゲーム関連商品以外では、このアルバムでしか聴くことができない。
約4年ぶりのソロコンサートとして3月28日に九段会館 大ホールにて行なわれるコンサート<Concert 2009 ~Harmonia~>のチケットは数秒で完売。追加で発売された立見席の券売も秒殺。さらに同チケットが、オークションにて100,000円の価格がつくほどに高騰するなど、ファンを中心に彼女の人気はものすごいことになっている模様。
メジャーデビュー前の局地的なブームから、じわじわと一般に浸透してきている志方あきこの音楽。“誰?”などという表現は、もうこれが最後のことだろう。
◆3rdアルバム『Harmonia』のCD情報
◆iTunes Store 志方あきこ(※iTunesが開きます)
◆志方あきこオフィシャルサイト
昨今の音楽シーンにおいて、BARKSが伝えてきた新人アーティストを振り返ってみると、ついつい“…で、誰?”と紹介してきたアーティストが多いことに気付く。そして、若者から絶大な支持を集めるLil'Bはもちろんのこと、一条ゆかり原作の映画『プライド』で主役を演じたステファニーといい、現在公開中の映画『恋極星』で、戸田恵梨香とともに主演している加藤和樹といい、これらのアーティストは一様にめざましい活躍を果たしているのも事実。MySpaceなどで海外ファンからも熱い注目を受けるHANGRY&ANGRYは、2009年4月に日本を飛び出しアメリカでのパフォーマンスも決定。新人バンドa flood of circleも、4月22日のメジャーデビューに向けて、ロックファンのハートをガッチリ掴んでいる。
伝えるべき逸材、多くの人に知って欲しい才能だからこその記事執筆、しかしながらその時点では限りなく無名。だからこそ“…誰?”という表現がぴったりなわけで、“…誰?”というワードは、ブレイクすべき素養を携えたアーティストへの枕詞として意味を帯びてきていた。逆説的ではあるが、“…誰?”はブレイクに関わるキーワードのひとつになっているのかもしれない。思えば、最近業界内外から広く注目を集めている日本テレビ系の音楽番組も『誰も知らない泣ける歌』。奇しくも“誰”だ。
そしてここには、“誰という言葉には色がない”という重要な特性が隠されている。
これまで、“ロック”“涙”“キュート”“セクシー”…などなど、それなりのリスクも背負いながらも、ある種の先入観、色を持たせた上でアーティストを露出する方法が王道だった。カテゴライズとジャンルによる選別はリスナーに簡易さと安心を与え、訴求へのショートカットで効率があがると考えられていたからだ。音楽専門誌もそれぞれに特徴を出し、セグメントされることで安心と信頼を読者へ提供してきた。
しかし、音楽の多様化とともに、リスナーの音楽の楽しみ方も急激に多様化してきた今の音楽シーン。そして、全ての情報が混在して一斉にばら撒かれたように情報が散在するネット上のアーティスト情報。情報提供側は主権を失い、情報収集側に主権が移り、メディアとコンシューマーの位置関係はドラスティックな変化を見せた。メディア側で組み込んだジャンル選別によるアーティスト・カテゴライズは意味を失い、選択取得の自由度を最大限に広げる伝達方法こそが、より多くの人へ伝えることのできる唯一の方法であるように音楽情報の流れは変った。それがインターネットである。BARKSはアーティストの詳細は可能な限り伝えながらも、紋切り型に決め付けず、あなたにとってはどんなアーティストだろうかと、間口を広げ回答を待つ。だから“…誰?”なのである。
言わば、アーティストの“色”をつけるのは、レーベルでもメディアでもなく、リスナーなのだ。メディアが決める幻のアーティスト像など、もはや誰も求めていないのは明白。アーティストの音を聴いたリスナーひとりひとりが、オリジナルな色でそのアーティストを愛していけばいい。そしてその魅力はブログやSNSで広がっていけばよい。まさしく口コミである。音楽が口コミで広がっていくのは、今も昔も、そして今後も変わらない揺るがぬ事実であるから。
というわけで、最後にもうひとり、“…で、誰?”というフレーズとともに、多くの人から愛されてほしいアーティストを紹介しよう。「志方あきこ、オリコン初登場9位…で、誰?」。
◆志方あきこのフォトアルバム
志方あきこが、2年半ぶりとなるオリジナルアルバム『Harmonia』を3月18日にリリースし、3月17日付けのオリコン・デイリー・アルバムチャートで初登場9位にランクインした。
志方あきこはこれまでに、メジャーアーティストとしては2枚のソロアルバムをリリース。“星”がテーマの1stアルバム『Navigatoria』、“月”がテーマの2ndアルバム『RAKA』ともに、ノンタイアップにも関わらず、10万枚を超えるセールスを記録している。
クラシックや民族音楽の要素も取り入れながら、時には1曲あたり400トラックを超えるコーラスを重ねる多重録音を特徴とするオリジナリティ溢れる彼女の音楽性は、メジャーデビュー以前からWeb上などで評判になっていた。そして、その活躍を耳にした葉加瀬太郎によって見出され、彼女はメジャーデビューを果たす。
また、これまでにPlayStation2ゲーム『アルトネリコ 世界の終わりで詩い続ける少女』、『アルトネリコII 世界に響く少女たちの創造詩』や『花帰葬』で主題歌の歌唱やゲーム中の音楽の作編曲を、PC用サウンドノベルズゲーム『うみねこのなく頃に』では主題歌を担当するなど、ゲーム音楽を手がけていることもあり、各ゲームファンにはよく知られた存在。“志方あきこって、誰?”と書いておきながら、実は知る人ぞ知るアーティスト。オリコン初登場9位の支持ですから…。
そんな彼女のメジャー3枚目となる『Harmonia』は、1st、2ndアルバムの流れを汲みつつ、集大成的な意味合いを感じさせる“ガイア・シンフォニー(生命交響曲)”がアルバム全体のコンセプト。“風”“火”“水”“地”の自然界4大エレメンツにそった物語による15曲と、アルバム全体のテーマを表現したメドレー形式の2曲の全17曲を収録する。彼女の作品の中で最もコンセプチャルな作品となっている。
また、日本語を含めた7言語(トルコ語・ウィグル語・イタリア語・ドイツ語・ギリシャ語・ヒュムノス語)で歌われたヴォーカル&コーラスが聴きどころ。ちなみにヒュムノス語は、PS2ゲーム『アルトネリコ』シリーズに出てくる架空言語で、同ゲーム関連商品以外では、このアルバムでしか聴くことができない。
約4年ぶりのソロコンサートとして3月28日に九段会館 大ホールにて行なわれるコンサート<Concert 2009 ~Harmonia~>のチケットは数秒で完売。追加で発売された立見席の券売も秒殺。さらに同チケットが、オークションにて100,000円の価格がつくほどに高騰するなど、ファンを中心に彼女の人気はものすごいことになっている模様。
メジャーデビュー前の局地的なブームから、じわじわと一般に浸透してきている志方あきこの音楽。“誰?”などという表現は、もうこれが最後のことだろう。
◆3rdアルバム『Harmonia』のCD情報
◆iTunes Store 志方あきこ(※iTunesが開きます)
◆志方あきこオフィシャルサイト
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