MELL、巨大な存在感が戦慄を導く映画『斬~KILL~』主題歌「KILL」特集

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MELL 押井守監修 映画『斬~KILL~』主題歌特集

ハードタッチな声という刃がこの世の因果をすべて叩き切る

MELLの巨大な存在感が戦慄を導く魂の奥底に響き渡るこの声を聴け

──かなり過激なサウンドの楽曲ですが、MELLさんご自身は「KILL」をどのような楽曲と受け止めていますか?

MELL:かつて、この国も刃物で人を斬っていた。今は人を斬らなくなっても生き物を切って食べている。強者が勝ち、弱者が死ぬ。でも時に強者であっても負け、弱者であっても何かを守るためなら勝つときもある。斬って斬られての因果、因縁の対決の出会いから決着までを歌にしました。最初、MELLが斬るか斬られるか、「まあまあまあ」と中立をキメこむのか、すごく迷ったんですよね。でも、斬っているのは人ではなく、廻る定めの根本なのかな? と視点を変えてみると歌詞が出てきたんです。

──歌詞を書くうえで、最も重視した内容は?

MELL:ブチ切れる!(笑)。男が戦う。女が魔物と化す。容赦なく聴き手が、傍観者から主人公になれるような曲にできないかと悩みました、歌って強くなれるような。これは昨年、テキサスでサムライの格好をするアメリカ青年や、着物を着る金髪の女性を見たことにも影響を受けてて、「ワタシト」にすることによって、サムライの国の男女の持つ、刀への精神性と呼応したかったんですよね。「己と」という意味で。

──この楽曲を通じて、伝えたいメッセ―ジは?

MELL:人は殺しちゃダメ! 私は勝ち組、負け組みという考え方が実は大っ嫌いなんです。勝手にやってろと思うタイプ。でも“竜攘虎搏”という言葉が昔からもの凄く好きで、いつかこの言葉を歌いにしたいって想いがずーっとあったんです。最強の獣にも死という平等はめぐるのだから、弱くてもいい、己として咲いてくだされば…というゴールまでの応援歌です。

──PVも押井監督が撮影されましたが、どんなPVになりましたか?

MELL:今回、監督から、初めてPV上で役名をもらえたのが、一番嬉しくて楽しかった。ギリシャ神話のヘカテをモチーフに撮りたいと言ってもらって、舞い上がってしまうぐらい嬉しかったんです。とにかくPVを観てほしいですね。セット、衣装、タトゥ、私の表情、今までのアンダーなMELLの要素や、私個人の深部にとどめてあった想いまでも「ヘカテ」を通すことで見つめ直すことができました。“KILL”のMELLが冥界の女王となって、ドーベルマン君の可愛いいお顔とのギャップも(笑)見どころです。押井監督の作品で歌わせてもらって本当に感謝しています。

──MELLさんから見て、押井守監督はどんな人でしたか?

MELL:私が言うのはおこがましいんですが、知識の山が歩いているというか、もう、オーラが溢れてポトポトとこぼれ落ちている。違うんですね、詰まってるものの質も量も。知らないことはないんじゃないだろうかとさえ思うぐらい。ひとつ質問したら、その答えの中にあるデーターがですね、「MELLが本当に知りたいことはここ」というところまで見抜かれて、「MELLにわかりやすいような答え方はこう」というデーターまで瞬時にはじき出されて、返してくれているような印象でした。なのに、少年のような目でニッコリされるんです。とても優しく、撮影現場も、監督のひとことで場が和み、私はガチガチに緊張してたもので(笑)救われました。もっといろーんなことを聞いてみたい! って自然にこちらの気持ちまでもワクワクさせてしまうのは、半端ではない数の人の夢と希望を担ってこられたからなのだと感じました。

──最後に、来年の武道館ライブに向けての抱負をお願いします。

MELL:武道館に再び立てるなんて夢みたいです。2回も武道館公演ができるとは正直思っていませんでしたが、これも応援してくださったI'veファンの方への恩返しですから、思いっきりすべてをぶつけて、大きな祭りをみんなで満喫しに来てほしい。熱狂と興奮の集結を楽しみにしています。頑張ります!

取材・文●冨田明宏

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