The Script、アイリッシュ・ロック、R&B、ラップ、ソウルなど多彩な音楽を昇華して、独自のエモーショナルなサウンドを描く超大型新人バンド日本デビュー大特集

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THE SCRIPT スクリプト デビューアルバム『THE SCRIPT』リリース大特集

UKからの超大型新人バンドが満を持して日本デビュー PVやライヴ、インタビューなど豪華6本の動画も大公開


デビュー直後に全英チャートを制覇し、驚異の大型新人として世界的な注目を集めているTHE SCRIPT。初来日ライヴが行われた8月26日の段階では、日本では輸入盤はリリースされているものの国内盤発売はまだ2か月近くも先。しかし日本にも目ざといリスナーは多い。雨にもかかわらず赤坂BLITZ前に長蛇の列ができていたのがその証だ。話題の新人とあって、業界関係者も数多くつめかけていて、オールスタンディングのBLITZの客席フロアはあっという間に埋めつくされた。

熱気の中、SEとともに4人のメンバーが登場。向かって右端にセットされたドラムセットに着席したグレンがSEに乗せて軽やかにビートを刻み始め、“お披露目公演”はスタートした。ダニエルは中央でキーボードを弾きながら歌うというスタイルだ。そしてサポートメンバーが2人。中央後方にベース、向かって左にギター(今回はギタリストのマークが家庭の事情により来日できなかった)という4人の布陣。1曲目の「Before The Worst」は、グレンのファンキーなグルーヴにラップのように言葉を詰め込んだヴォーカルが乗る、そしてスケールの大きなメロディが印象的なナンバーだ。この曲を聴いただけでも、THE SCRIPTらしいサウンドがどんなものなのかがよく伝わってくる。

 

最初は客席の反応もややおとなしい雰囲気。ノリノリというよりはじっくり聴き入っているような雰囲気でスタートしたライヴだったが、最初のシングル曲になった「We Cry」を知っていた人は多かったようで、客席はここで一気に盛り上がった。アイリッシュな雰囲気の漂うちょっと切ないメロディ、エモーショナルなヴォーカルは、ライヴでも強く胸に迫ってくる。

初っ端から圧倒的だったのは、新人とは思えない演奏力。グレンのドラムは弾力を感じるようなファンキーなグルーヴに満ちていて、シンプルだが確実なテクニックをうかがわせる。ときにキーボードを弾きながら、ときにキーボードを離れてスタンドマイクを抱えるようにして歌うダニエルのヴォーカルは常にエモーショナル。そしてスティングのようなハスキーなハイトーンを響かせたかと思えば、力強く太い声で朗々と歌い、速射砲のようなラップも繰り出す。変幻自在のヴォーカルスタイルはユニークだ。

もちろん楽曲のよさも光っていた。どの曲も、アイルランドのロックバンドらしい哀愁が漂うが、ラップやヒップホップのエッセンスも混じり、それをアメリカのR&B、ブリティッシュ・ソウルのようなファンキーなグルーヴがプッシュする。強引に例えるなら、U2にラップヴォーカルを乗せ、インコグニートの強靭なグルーヴで武装したようなサウンドだ。そしてライヴで聴くと、CDよりずっとグルーヴィでノリがいい。ユニークなTHE SCRIPTの世界は、この一夜でオーディエンスの心をしっかりつかんだようだ。

 

最後は唯一のカヴァー曲、デヴィッド・ボウイの「Heroes」を披露。ここではドラムのグレンがセットの前に座ったままアコースティック・ギターを抱え、キックでビートを押し出しながらギターを弾くスタイルも見せてくれた。

予定の9曲を演奏し終えた4人が退場すると、アンコールが湧き上がった。客席に明かりが灯り、終演のアナウンスが流れても止まないコールに応えて、4人は再びステージに登場。“もうやる曲がないんだよ”と言いながら、シングル曲の「We Cry」をもう一度演奏すると、今度は客席からも大きな歌声が上がった。1時間余りという短さだったが、とても満足感のあるライヴはこれで終了。これから日本でも必ずブレイクするはずの大型バンドの初ライヴは、大成功を収めたと言っていいだろう。

●セットリスト
1.ビフォア・ザ・ワースト
2.トーク・ユー・ダウン
3.ブレイクイーヴン
4.ウィ・クライ
5.うごかぬ想い~ザ・マン・フー・キャント・ビー・ムーヴド
6.ジ・エンド・ホエア・アイ・ビギン
7.フォール・フォー・エニシング
8.ラスティ・ヘイロウ
9.Heroes
アンコール
10.ウィ・クライ

撮影:Yoshika Horita

 
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