The Script、アイリッシュ・ロック、R&B、ラップ、ソウルなど多彩な音楽を昇華して、独自のエモーショナルなサウンドを描く超大型新人バンド日本デビュー大特集

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THE SCRIPT スクリプト デビューアルバム『THE SCRIPT』リリース大特集

UKからの超大型新人バンドが満を持して日本デビュー PVやライヴ、インタビューなど豪華6本の動画も大公開


――サウンドにはやはりアイルランドらしいムードも漂ってるけど、それは自然に出てくるもの? それとも故郷の音楽として意識して大事にしている?

グレン:いや、そんなことはないよ。意識してアイルランドらしさを出そうと思ったことはない。

ダニエル:自分たちが感じるものにただ従ってきただけなんだ。だからこれも偶然というか、自然に出てくるものだね。

――ダニエルのヴォーカルは、ソウルフルでエモーショナルな歌い方や、ラップとかヒップホップ的な歌い方が共存しているね。このユニークなスタイルはどんなところから生まれたの? これも偶然?

ダニエル:うん、これも偶然のひとつだね。どう歌うかは曲が決めてくれるんだ。もちろん色々考えるよ。アメリカのビートっぽい曲だなと思ったら、ただ歌うんじゃなくてラップっぽくしよう、でもただのラップじゃなくて、フォークラップみたいなのを倍速でやってみたらどうかな、とか、ヒップホップだったら普通ここで歌って次にラップだけど、それを逆にしてみたらどうか、とかね。言ってみれば、偶然素晴らしいものが出来上がってくるための実験を色々しているわけ。「We Cry」とか「Before The Worst」は、そうやってスタジオの中で出来上がってきた曲なんだ。

――歌詞にはへヴィなメッセージも多いようだけど、訴えていきたいのはどんなこと?

ダニエル:今の社会の中には、ジェット機でシャンパンを飲んでるような華やかな世界に生きてるセレブだっているよね。でもそんなのは限られた人だけ。ほとんどは日常生活で苦しみ、トラブルをかかえて生きている。それが何万人、何千万人もいるんだ。僕たちはそういう人たちのための歌、そういう人たちの気持ちを歌いたいんだ。

――そういえばライヴのとき、グレンはギターを弾いていたね。アルバムでも演奏してるの?

グレン:ああ弾いてるよ。

ダニエル:「Before The Worst」でグレンのギターが聴けるよ。彼と初めてロスで会ったときにやった曲さ。

グレン:スタジオでマークとダニエルが二人演奏してるのを聴いて、その場でギターを弾いてみたんだ。そうしたら“それいいからそのまま使おう”ってことになったんだ。だから、会ったその日のセッションで弾いたテイクが入ってるんだよ。

――イギリスではこのデビュー作がすでに2週連続で1位になってるけど、デビューしてすぐトップを獲れたのはなぜだと思う?

グレン:一夜にして成功した、みたいなことをよく言われるんだ。でもそうだとしたら、その一夜っていうのは僕らにとってすごく長い夜だった。下積みは長かったと思ってるよ。多くの人たちが僕らを受け入れてくれたのは、ダニエルの歌や言葉に多くの人が共感してくれたからなんじゃないかな。僕らは普遍的なこと、愛とか悲しみとか喪失感、希望、そういうことを歌にしているから、そこに共感してもらってるんじゃないかと思うな。

――プロデューサーとしての活動経験は、今回のアルバムにどう生きていると思う?

ダニエル:最近の多くのバンドは自分たちでプロデュースできないから、外部プロデューサーを呼んでくる。そうするとその人の音になるから、みんな似た音になっちゃうんだよ。でも僕らはこれまで他の人のプロデュースもやってきたから、個性的なものができたんだと思う。もしそういう経験がなかったら、ひょっとしたらネプチューンズとかティンバランドなんかを呼んできて、他のバンドと同じ音のアルバムを作ってたかもしれないね(笑)。

――また日本に来てライヴをやってくれる?

ダニエル:11月頃にまた来れるよう計画してるところさ。先日のライヴはメディアの人も多かったと思うけど、次は一般のお客さんにももっと楽しんでもらいたいな。僕らも楽しみにしてる。

取材・文●田澤 仁

 
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