増田勇一のライヴ日記 7月回顧編(1)MURBAS
7月もたくさんライヴを観た。数えてみたら全部で12本。てことは、ほぼ同じ回数だけ呑んでたりもするわけで、まさに駄目人間まっしぐらという感じ。そんななかでも、終演後の飲酒量がいちばん多かったのが7月12日、目黒・鹿鳴館でのMURBASの復活ライヴだった。ちなみにこのバンド名は、ムルバス、と読む。
鹿鳴館にはここ数年、あまり顔を出していなかったのだが、2008年に入ってからはすでに4回目。4月29日に観た“横浜文体直前”のメリーはちょっと例外的だけども、それ以外はどれも“古くからの友人”たちのライヴ(ちなみに他の2本はMEPHISTOPHELESとONE EYED TROUSER SNAKE)。やっぱりみんな、かつてのホームグラウンドは居心地もいいし思い入れも深いのだろう。
MURBASは80年代前半、西高東低と言われたジャパニーズ・メタル・シーンにあって、ANTHEMやSABBRABELLS、前述のMEPHISTOPHELESなどと共に“東”で気を吐いていたバンドのひとつ。詳しく説明を始めようとするとタイヘンなことになるので止めておくが、今回の復活劇の場に集結したのは、TOMO(vo)、OMMY(g)、GOE(g)、HEESEY(b)、そしてDAXX(ds)という黄金のラインナップ。そう、おそらく読者の多くはこのMURBASのことを「THE YELLOW MONKEY始動前にHEESEYが籍を置いていたバンド」と認識していることだろう。とはいえその両者の間には16 LEGSというバンドの存在もあったのだが。
この夜の鹿鳴館は、フロアはもちろん2階の関係者席も超満員。敢えて具体的には名前を挙げずにおくが、MURBASと同じ時代に同じシーンで活躍していたバンド、もがいていたバンドのメンバーたちの顔もたくさん見受けられた。もちろん当時からの関係者や、「あの頃は単なるファンでした」という業界人なども。つまり、開演前から2階席はほぼ同窓会状態にあったというわけだ。
しかしMURBASは、そうしたのどかなムードとはまるで無縁の、スリリングなステージを披露してくれた。ものすごく正直に言うと、僕は当時、このバンドのライヴに「毎回通っていた」というわけではないし、「デモ・テープを全部持ってます」というような熱心なファンだったわけでもない。が、まず自分でも驚いたのが、僕自身が意外なほどMURBASの楽曲をよく知っていたということ。看板曲のひとつである「DRIVIN’ WILD」がオープニングで炸裂したときは、ぶっちゃけ、「いちばん美味しい曲を最初に消化してしまって、この先、大丈夫なのか?」と思った。が、次から次へと繰り出された楽曲たちは、どれも耳に馴染み深く、口が勝手に歌詞とメロディを追ってしまうようなものばかりだったのだ。
そんななか、2曲だけ本当に初めて耳にする曲があった。なんと、OMMYがこの夜のために用意してきたという新曲たちである。これがまた良かった! 「MURBASがあのまま存続していたら、今頃こんな曲をやっていたんじゃないか?」と思わせるテイストの絶妙さもさることながら、ある種、“祭り”でもあるこの機会に自覚的に新曲を持ち込んできたところに、僕はOMMYの、そして彼らの意地を感じずにはいられなかった。
他にも印象深い光景はたくさんあった。アンコールの最後の最後、初期の代表曲である「洗礼の夜」が始まった途端、HEESEYの表情がサタニックに一変していたのには驚かされたし、実に「人前で演奏するのは21年ぶり」だったというGOEが、曲が進むごとに呪縛から解き放たれていくかのように暴走モードへと突入していくさまも非常に興味深かった(余談ながらその暴走は、打ち上げの席で最高潮に達することになった/笑)。もちろんTOMOの伸びやかな歌声にも、DAXXのドラミングにも“健在”以上のものを感じたし、ライヴの後味は決して「懐かしかったね」というノスタルジックなものではなかったのだ。
こうして見事に蘇生を果たしたMURBASが、これからどのような道を歩むことになるのかは僕にはわからないし、おそらく当事者の5人にも明確にはわかっていないのだろう。が、それでも次回のライヴだけは決まっていたりするのでお知らせしておこう。
<MURBAS“REUNION at HOME TOWN”>
8月31日(日)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心 VJ-3
開場17:30/開演18:00
オープニングアクト:SAMURAI DEAD CITY
問合せ:048-858-7251 HEAVEN’S ROCKさいたま新都心 VJ-3
メンバー各々は東京在住なのに、何故かバンドとしての本拠地は埼玉県だったりするMURBAS。夏の終わりの“ホームタウン・さいたま”で繰り広げられることになる次の“宴”が、もしかしたら5人の“これから”を決めることになるのかもしれない。鹿鳴館公演を観逃した人たちも、是非この機会にMURBAS復活の目撃者になって欲しいところだ。
増田勇一
鹿鳴館にはここ数年、あまり顔を出していなかったのだが、2008年に入ってからはすでに4回目。4月29日に観た“横浜文体直前”のメリーはちょっと例外的だけども、それ以外はどれも“古くからの友人”たちのライヴ(ちなみに他の2本はMEPHISTOPHELESとONE EYED TROUSER SNAKE)。やっぱりみんな、かつてのホームグラウンドは居心地もいいし思い入れも深いのだろう。
MURBASは80年代前半、西高東低と言われたジャパニーズ・メタル・シーンにあって、ANTHEMやSABBRABELLS、前述のMEPHISTOPHELESなどと共に“東”で気を吐いていたバンドのひとつ。詳しく説明を始めようとするとタイヘンなことになるので止めておくが、今回の復活劇の場に集結したのは、TOMO(vo)、OMMY(g)、GOE(g)、HEESEY(b)、そしてDAXX(ds)という黄金のラインナップ。そう、おそらく読者の多くはこのMURBASのことを「THE YELLOW MONKEY始動前にHEESEYが籍を置いていたバンド」と認識していることだろう。とはいえその両者の間には16 LEGSというバンドの存在もあったのだが。
▲MURBAS 2008!<L to R>HEESEY(b)、TOMO(vo)、OMMY(g)、DAXX(ds)、GOE(g) |
しかしMURBASは、そうしたのどかなムードとはまるで無縁の、スリリングなステージを披露してくれた。ものすごく正直に言うと、僕は当時、このバンドのライヴに「毎回通っていた」というわけではないし、「デモ・テープを全部持ってます」というような熱心なファンだったわけでもない。が、まず自分でも驚いたのが、僕自身が意外なほどMURBASの楽曲をよく知っていたということ。看板曲のひとつである「DRIVIN’ WILD」がオープニングで炸裂したときは、ぶっちゃけ、「いちばん美味しい曲を最初に消化してしまって、この先、大丈夫なのか?」と思った。が、次から次へと繰り出された楽曲たちは、どれも耳に馴染み深く、口が勝手に歌詞とメロディを追ってしまうようなものばかりだったのだ。
そんななか、2曲だけ本当に初めて耳にする曲があった。なんと、OMMYがこの夜のために用意してきたという新曲たちである。これがまた良かった! 「MURBASがあのまま存続していたら、今頃こんな曲をやっていたんじゃないか?」と思わせるテイストの絶妙さもさることながら、ある種、“祭り”でもあるこの機会に自覚的に新曲を持ち込んできたところに、僕はOMMYの、そして彼らの意地を感じずにはいられなかった。
他にも印象深い光景はたくさんあった。アンコールの最後の最後、初期の代表曲である「洗礼の夜」が始まった途端、HEESEYの表情がサタニックに一変していたのには驚かされたし、実に「人前で演奏するのは21年ぶり」だったというGOEが、曲が進むごとに呪縛から解き放たれていくかのように暴走モードへと突入していくさまも非常に興味深かった(余談ながらその暴走は、打ち上げの席で最高潮に達することになった/笑)。もちろんTOMOの伸びやかな歌声にも、DAXXのドラミングにも“健在”以上のものを感じたし、ライヴの後味は決して「懐かしかったね」というノスタルジックなものではなかったのだ。
こうして見事に蘇生を果たしたMURBASが、これからどのような道を歩むことになるのかは僕にはわからないし、おそらく当事者の5人にも明確にはわかっていないのだろう。が、それでも次回のライヴだけは決まっていたりするのでお知らせしておこう。
<MURBAS“REUNION at HOME TOWN”>
8月31日(日)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心 VJ-3
開場17:30/開演18:00
オープニングアクト:SAMURAI DEAD CITY
問合せ:048-858-7251 HEAVEN’S ROCKさいたま新都心 VJ-3
メンバー各々は東京在住なのに、何故かバンドとしての本拠地は埼玉県だったりするMURBAS。夏の終わりの“ホームタウン・さいたま”で繰り広げられることになる次の“宴”が、もしかしたら5人の“これから”を決めることになるのかもしれない。鹿鳴館公演を観逃した人たちも、是非この機会にMURBAS復活の目撃者になって欲しいところだ。
増田勇一
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