ジェイ・ショーン、『マイ・オウン・ウェイ』インタビュー

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──体調管理はどうやって?

ジェイ:一週間に最低でも5回はエクササイズするようにしてる。ジムで過ごす時間は完全に自分の時間で、他のことを何も気にせず過ごせる時間だね。マネージャーにうるさくつきまとわれることもないし、誰かから電話がかかってきてわずらわされることもない。ジムにいるその1時間半か2時間の間は電話を切ってるしね。だから完璧に自分の時間になるし、リラックスするのにベストな方法だと思ってる。まぁ実際くつろいでるわけではないんだけど、仕事との切り替えができるってことだね。だからウェイト・トレーニングとかに没頭するその時間が大好きで、充実感が湧くんだ。

──必要にせまられてというより楽しんでやっている?

ジェイ:両方だね。正直なところ最初は、必要に迫られてっていうわけじゃなかったんだ。音楽業界に入ったころはね。でもこの世界では、ルックスや話し方、演じ方、歩き方、歌い方、すべてにおいてちゃんとしてないといけないんだってことに気づいたんだ。僕はムーン・ウォーキングをしたりとか、クリス・ブラウンとかみたいにダンスの才能を授からなかったから、ひとつ自分にできることがあるとすれば、体を鍛えるってことなんだ。だからいい体を作って…そしてそれは自分でできることだしね。だからここ2年間はずっとエクササイズと食事に気を使ってやってきてるし、すごくそれにハマってる。一番ハマってる趣味でもあるのさ。

──自分の身体でなにかコンプレックスはある?

ジェイ:もうちょっと背が高ければっていうのはあるかな(笑)。でも、それもいいことさ。天に召される時には同じだからね。実際に僕に会った人から“うーん、背が低いですね(苦笑)”って言われると、その話をするんだ(笑)。でも、僕はそんなに背は低くないからね!180cmはそんなに低くないから。

──自分のことを良いお手本だと思いますか?

ジェイ:良いお手本であると思いたいね。自分がアジア系イギリス人の若者を代表してるんだっていう自覚はあると思う。アジア系コミュニティにとって、自分たちを代表してるって思えるような音楽業界におけるアイコンというものがメインストリームではちゃんと存在してなくて、僕はずっとみんなに僕ら(アジア系)のリアルな実像をわかってもらって、ステレオタイプなイメージを壊したいって思ってきたんだ。だからそういうことは本当に心がけてるよ。で、これはアジア系の若者っていう部分だけだけど、イギリス人の若者のお手本っていう意味でも、自分がそのコミュニティを代表してるとかアーバン・シーンを代表してるとかっていう意識は同じように大事だと思うんだ。それだけじゃなくて、他にもいろんなアングルがあって…例えばアーバン・シーンでも、イギリスの若者、アジア系イギリス人、アジア人(の代表)といろいろあって、そういった部分で自分の最善を尽くせる自信はあるんだ。

──自分の人生におけるルールはなにかありますか?

ジェイ:うーん、人生におけるルールっていうのはそんなにないんだけど、自分がこういう風に生きたいっていう部分とか自分にとって何がプライオリティなのかっていうのはあるよ。すごく当たり前のことに聞こえるかもしれないけど、幸せであるっていうことが僕にとって一番大切なんだ。時に人はいろんなことにわずらわされて、自分の人生を生きているっていうより、ただ存在してるっていう風になりがちだと思う。そういう風にただ存在して生きてる人は多いし、そういった人は幸せを追求しない。僕はどういうことで自分が幸せを感じられるかっていうことを自分でわかってて、それはささいなことではあったりするんだけれども、決してあきらめたりしないんだ。友達や家族と一緒にでかけてすごくありふれたことをするとかね。

──時には、盛り上がって騒いだりすることもありますか?

ジェイ:うん、もちろん。友達と会っていっしょに楽しく過ごしてリラックスするのは僕にとって本当に大事なことなんだ。そういう時間も大好きだよ。バーとかレストランに行くんだ。オフの時は、クールでおしゃれなバーやレストランに行くのが大好きだよ。

──批判されることを恐れたりしますか?

ジェイ:昔は批判されるんじゃないかってすごく心配してた。最初音楽業界に入ると、突然みんなが自分のことについていろいろ言い出して、“僕の曲、みんなどう思うんだろう?”とか“新しい髪形はなにか言われるんじゃないか!?”“服についても何か言われるかも!?”とかって考えて、しばらくするともう気が変になりそうになるんだ。人によって僕のことを最高だって思う人もいるし、最悪だって思う人もいる。最高にかっこいいヤツだって思ってくれる人もいれば、全然イケてないって思う人もいる。最高の歌声だっていってくれる人もいれば、全然ダメだっていう人もいる。だから結局、もうそういうことは気にしないことにしたんだ。自分にとっての幸せの方が大事だからね。周りの人がどう思うかを自分の幸せを計るバロメーターや尺度として使いたくないのさ。

──失敗を恐れたりすることはありますか?

ジェイ:ある意味イエス…だね。僕は自分の目標によってすごく駆り立てられるし、つねに自分を追い込んでるし、いつも向上心を持ってて、だからそういうところからくるものではあるんだけどね。僕にとって…もし失敗を恐れると…失敗をするとそこから人は学ぶだろ? だから失敗自体は僕はそんなに恐れない。自分のベストを尽くさなくなる方が恐いね。自分にがっかりしたくないからさ。うん、それが一番適切な表現かな。

──今までで何かについて本当に腹を立てたことっていうのはありますか?

ジェイ:無知には腹が立つね。何かについて知ったり、学んだりするための時間を取らないってことにイラ立つんだ。異なった文化やサウンド、食事、人、言葉といったものを受け入れないような人…相手を理解しようとしないなら、その人を判断するなってことさ。そういうのはすごく腹が立つね。YouTubeのビデオとかに書き込まれたバカげたコメント、例えば“こいつはイスラム教? シーク教?”そんなこと関係ないだろ?“わかんねーけど、もしイスラム教徒ならこいつの曲は聞かないぜ!”とかさ。そういう類の無知さに腹が立つんだ。救いようがないよね。僕はイスラム教徒じゃないけど、そんなの関係ないだろ? 関係あるべきじゃないしね。本当に救いようのない話さ。これは音楽で、リラックスするために聴くんだろ? 音楽に国境を設けるべきじゃないんだ。そういうことにムカつくんだ。

──有名になることによって、他に何を学びましたか?

ジェイ:有名になることによって、名声というのはやってきては去っていくものだっていうことを学んだよ。自分自身、それを見てきたしね。自分の知ってる人にそういうことが起こったのを見てきたし、一緒にライヴをやった人で、その年はすごく成功してたのに翌年には誰もその人たちのことを口にもしないっていうようなことを目の当たりにしてきた。もし、音楽業界あるいはどんな業界であれクリエイティヴな業界で、そこに入った唯一の理由が有名になるためだけだったら、それは悲惨なことさ。そういう理由なら、おそらくいつの日かすごくうろたえることになる。だって、この業界は、あるアーティストをすごく気に入って持ち上げても、そのあと手の平を返すのが得意だからね。神経の図太さが必要なのさ。だから、さっきも言ったように、何気ないことの大切さをわかることが一番大事なことなんだ。誰にもそれは冒すことのできないものだからね。

──いつも遊んだりする友達は?

ジェイ:学生時代の友達。15年来の親友だね。もちろんこの業界でもいろんな素晴らしい人たちと知り合いになる。それはすごいことだよね。ホントに素晴らしい人と出会うことができる。でも、僕の友達の大半は、学生時代の友達で一緒に育ってきた友達なんだ。

──その人が信頼できるかどうかをどうやって見分ける?

ジェイ:誰が信頼できる人かっていうのは本当のところ判らないと思う。僕のおじいちゃんは“家族以外は絶対誰も信頼するな”っていう人だったけど、家族でもやっかいなことになる場合もあるからね。だから結局のところ、ただ存在してるっていうんじゃなくて自分の人生をちゃんと生きるっていうことと関係してくるんだけど、人を愛し、なおかつその気持ちを拒絶されることに対しての心構えも持っておくってことだね。僕はそうしてる。

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