ジェイ・ショーン、『マイ・オウン・ウェイ』インタビュー

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──前作『ミー・アゲンスト・マイセルフ』から3年余り、どう過ごしていましたか?

ジェイ・ショーン(以下、ジェイ):3年間の休みは、いいブレイクだったよ…。まあ、前作から今回のアルバムの間に、世界中ツアーでいろんなところを回っていたから、実際休んでいたわけではなかったんだけどね(笑)。それに、今回の2ndアルバムの曲作りに1年半はかかったしね。自分がこのアルバムをどういうサウンドにしたいのかってことにしっかりと向き合って決めるまでにね。ワールド・ツアーでは、幸運にも世界中いろんなところに行くことができたんだ。4大陸の150カ国以上を回ることができて、本当にすばらしかったよ。

──今回のニュー・アルバム『マイ・オウン・ウェイ』ではどういう方向性を目指しましたか?

ジェイ:今回の新作では、曲、歌詞、そしてメロディにより重きを置いた作品にしたかったんだ。“すごいサウンドだね!どうやって思いついたんだろう!?”って言われるんじゃなくて、“曲自体がすばらしいよね!”って言われるような作品。今回僕にとって、曲が一番重要だったんだ。聴く人に自分のソングライティングの才能の別の一面を見てもらいたかった。僕は、自分の仕事の中で歌うこともすごく好きだけど、ソングラィターの部分も大好きなんだ。自分自身、多様な面をもったソングライターだと思うし、ここ3~4年でソングライターとしてすごく成長したとも思ってる。そういう部分をこのアルバムでみんなに見てほしかったんだ。もちろん、ヴォーカルの部分でもさらにステップ・アップしたものを見せようと思ったよ。だから、今回はサウンド的により成長したものになってる。

──あなたにとって、曲作りが重要な位置にあるんですね。

ジェイ:今の時代、音楽業界はすごく変化してしまった。だから曲を作るということは、今や年金みたいなものなんだ(笑)。文字通り経済的な部分で、自分の仕事において、自分の曲を自分で書けるということは本当に大事なことだと思う。それは誰にも侵すことのできないものだからね。無料のダウンロードとかが可能でも、自分の作った曲が侵害されるということはない。なぜならラジオで自分の曲がかかるたびに、その分の報酬は入ってくるわけだからね。それは、ソングライターとしてすごく大事なことだと思う。そして、人としてアーティストとして、そして気持ちの部分にとっても、曲作りというのは僕にとって大事なことなんだ。僕にとって、歌を歌う時に実際にその曲を自分で感じることが必要だから。自分にとってリアルじゃないことを歌うのはあまり得意じゃない。だから、僕にとって自分で曲を作るというのはすごく重要なことなんだ。なぜならどういう風にしてその曲ができたかっていうことを少なくとも自分でわかるからね。そういった(基になる)経験は、通常自分の心で感じたもので、リアルなものなんだ。そしてそうやって心から出てきたものは、曲に表われるんだ。

──今回の新作はよりパーソナルな作品になっているようですが。

ジェイ:今回のアルバムは、自分の気持ちを本当に完全にさらけ出したものになったと思う。自分が経験したことについて書いてみて、自分の生活が人目にさらされているってことにすぐに気づいたんだ。それは、いろんな意味で今の方が以前よりもずっとそうで、FacebookやMySpace、BeeboといったいろんなSNSのせいだね。そういったサイトでは、あらゆることをみんなが見ることができる。写真だったり、ビデオだったりがそういうサイトにアップされて、たとえば電車で自分が寝ているところの写真だったり…。そういったあらゆるものがアップされていて、今や自分のプライベートは丸裸なんだ。だったら、何かを隠す必要なんてないじゃないかって思ったのさ。毎日いろんなインタビューに答えてて、すべてを曲の中で語るのが一番いい方法だって気づいたんだ。それが今回のアルバムさ。自分が経験したこと、自分のまわりで起こったことについて曲を書いたんだ。

──自分で曲作りなどに関わったことによって、よりパーソナルなものになったのでしょうか?

ジェイ:以前、“自分がわかることについて曲を書きなさい”っていうアドバイスをある人からもらったんだけど、いつもそれを実践するよう心がけてる。もし、自分自身でわからないことについて書こうとしたら、その曲は本物にはならないからね。

──今作はサウンド的に前作より格段に成長してますね。

ジェイ:1stアルバムからもう3~4年たったわけで、もちろんその間に成長はしてるよね。経験によって人は成長するからね。経験によって人は形作られる。当然のことそれは曲作りにも反映される。だから、よりサウンド的に成長した作品だっていえると思うけど、それはあらゆる年代の人が共感できるものになってると思う。今回曲の中で歌っている愛情の複雑さや社会問題といったことが理解できないような2、3歳の子供は別だけど、ティーンエイジャーであれ大人であれ母親の世代であれ、誰でもが何かしら共感できる内容になってると思うよ。

──今回のアルバム参加した人を教えてください。

ジェイ:このアルバムは、すごく緊密な関係の少人数のチームで作ったんだ。だからこそ、自分にとってすごくパーソナルな作品になったんだと思う。参加したのは、僕とアメリカのプロデューサー、というかプロダクション・チームって言った方がいいと思うんだけど、オレンジ・ファクトリーっていうプロダクション・チームのJレミとボビー・ベイス、そしてアラン・サンプソンっていうイギリスのプロデューサー。曲の共作で参加してくれたのは、アメリカのジェラルド・カーで、彼とは6曲ほど共作したんだ。それからアメリカのアーティスト/ソングライターのタラとは「マーダー」っていう曲をデュエットした。参加してくれたのはそれだけだよ。参加してくれた人全員がこのアルバムを愛してくれて、心を込めてやってくれた。1、2曲スタジオでいっしょにやって(アルバムの)他の曲に関しては何も気にしないようなプロデューサーと仕事をするようなのとは全然ちがったんだ。すべてのプロデューサーやこのアルバムに参加したすべての人たちが、この作品に本当に深く関わってくれたんだ。本当に気持ちを込めてやってくれた。そのお陰でこれだけの作品が作れたんだと思うよ。

──今作は、すべて自作曲なんですね。プロダクション部分にも関与したんですか?

ジェイ:このアルバムではすべての曲を自分で書き、約半分をジェラルド・カーと共作した。だからジェラルドと、それからオレンジ・ファクトリーのJレミとでアルバムの半分を作って、残りの半分を僕とアラン・サンプソンで作ったんだ。「Ride It」「Maybe」「Stay」とかは僕とアランで作った曲さ。プロダクションの部分でもどういうサウンドにしたいかっていう部分で、すごく関与したよ。だからこそ、適応能力の高い人たちと仕事をすることは僕にとってとても大切なことなんだ。なぜなら、僕は自分の作品をどういうサウンドにしたいかということがわかっている。だから、ティンバランドのような大物プロデューサーに対してだと“うーん、そうだなぁ…キーを変えて、コードもそれじゃなくて…”なんていうのは少し気後れしてしまう。そんなことティンバランドには言えないからね(苦笑)。でもJレミやアランは僕の友達で、彼らはまさしく信頼のおける友達だから、例えばレミに対してだと“すごくいいんだけど、スネアが気に入らないから変えられるかな?”って言えるし、レミも“あぁいいよ。やってみようぜ”ってね。彼らは本当にどんなことにも対応してくれる。そして、さっきもいったようにみんなこのアルバムを素晴らしいサウンドにしようとしてくれたんだ。そして僕が、自分がどういうサウンドにしたいかをちゃんとわかってるって信頼してくれたんだ。

──今までのキャリアの中で、いちばん好きな瞬間は?

ジェイ:たぶん初めて『トップ・オブ・ザ・ポップス』に初めて出たときだね。これはUKの最も歴史的なTVチャート番組で、この番組に出られれば“自分はポップ・スターだ”って思えるような番組。今までにマドンナやマイケル・ジャクソン、エミネムといったあらゆる世界のスターが出演したんだ。だからこの番組に出たときは“やった!夢じゃないんだ”って思ったね。すごくうれしかったよ。

──自分の曲の中でのフェイヴァリットは?

ジェイ:うーん、たぶん「Stay」だね。僕にとってすごくパーソナルな曲で、だからこそ他の曲よりもより思い入れが深くなっちゃうんだよね。

──普段のファッションはどんなスタイルですか?

ジェイ:うーん、普段はカジュアルな感じで、それからパフォーマンスの時のちょっとスマートな感じもあるかな。カジュアルな部分では、気合が入って行き過ぎた感じにあまりなり過ぎないようにしてて、ホントにラフな感じだね。あまり何も気を使ってないような感じっていうのかな。色あせてクタクタに着古したようなジーンズと、あとはオールド・スクールなTシャツに、そこに時々皮のジャケットとかパーカーとかを合わせる。普段はそんな感じだね。で、アーティストとしてのスタイルっていう部分では、もっとスマートな感じだね。スーツに細めのネクタイをしめて、それにVansやコンバースをはいて、オールド・スクール系のトレーナーとかを着る。好きなブランドはエナジーとかディーゼル、それからドルチェ&ガッバーナ。D&Gは実のところコンタクトを取ってきてくれて、本当にすごい数の洋服を僕に提供してくれたんだ。だからD&Gにはすごく感謝してる。

──自分の着る服は、自分で決めるのとスタイリストが決めるのとどれくらいの割合?

ジェイ:うーんどちらの意見も混ざった感じだね。僕についてくれてるスタイリストはすごくクールなんだ。彼女は“そんな服は着ちゃダメ!”とかっていうようなタイプじゃなくて、僕が自分で気に入った洋服を着てるとパフォーマンスもうまくいくっていうことをわかってくれてる。彼女もすごくフレキシブルなんだよ。でも、僕があまり乗り気じゃないような時には、“とりあえず着てみたら?もしかしたら気に入るかもよ”って言ってくれたりもする。すごくいいスタイリストだよ。だから僕の洋服のスタイリングは、僕の意見と彼女が進めてくれるもののミックスだね。

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