ジョセフ・ウィリアムズ インタビュー
ジョセフ・ウィリアムズ インタビュー Part.2
――今回の24曲は、どれもあなたにとって特別な曲ばかりだと思いますが、とくに思い入れのあるものを何曲か教えてください。
ジョセフ:とにかくもっとも好きな曲だったのがポール・マッカートニーの「Maybe I'm Amazed」だね。あとドナルド・フェイゲンの「Walk Between The Raindrops」はジャジーでハーモニーが美しくて、昔から大好きな曲。でもこれはピアノとヴォーカルだけで雰囲気を出すのがすごく難しかったな。エルヴィス・コステロの「She」は“ノッティングヒルの恋人”のエンディングに使われて有名になった曲。オリジナルはシャルル・アズナヴールなんだけど、僕もずっとコステロの曲だと思ってた。後になって40年代の曲だって知ったんだけど、とにかくこのメロディは最高だよ。「青い影」はあまりにも偉大な曲だし、イギリスに住んでたときの思い出も重なる曲だからぜひやりたかったんだ。あと、とくに名前を出しておきたいのが、『Smiles』の最後に入れたキーンの「Somewhere Only We Know」だね。キーンは今のバンドの中ではとくに好きなんだ。60年代から70年代には、世界中に素晴らしいメロディがあったのに、いつの間にかどこかにいっちゃったような気がする。でもキーンは今でもメロディを大切にしてるからね。
――「Maybe I'm Amazed」は本当にジョセフの歌にぴったりマッチしていて、素晴らしい仕上がりでした。ジョセフ自身が自分の声や歌に合うと思ったのはどんな曲でしたか?
ジョセフ:まぁどの曲も自分に合うと思ったから選んだんだけど、エルトン・ジョンの「悲しみのバラード」もうまくマッチしたと思うし、レオ・セイヤーの「星影のバラード」もよかったと思う。でも君の言うとおり、ポールのあの曲はとにかく好きな曲だし、もう体に染み込んでるくらい。だからいちばん歌いやすかったよ。
――24曲それぞれに異なる歌詞の世界があると思いますが、曲ごとにその世界に入り込むのに苦労しませんでしたか?
ジョセフ:僕はシンガーとしてステージで歌うパフォーマーでもあるけど、実はスタジオにこもって作業することが多いんだ。長年スタジオで歌ってきたから、どこでどう感情を込めるかということがよくわかってきた。それに周りには素晴らしい人たちがいていいアドバイスもくれる。だからこれまで、僕は感情移入とかで苦労したことはほとんどないんだ。
――ではレコーディングはスムースにいったんですね。
ジョセフ:そうだね。曲ごとにそれぞれ大変な部分はあったけど、とてもスムースだったよ。すべて好きな曲だし、ただひたすら楽しかった。
――これ以外にも録った曲はありましたか?
ジョセフ:今回録ったのはこの24曲だけ。でもその前に、ものすごくたくさんの曲を聴いて選んだんだ。思い出のある曲も多かったから、とにかく選ぶのには苦労したよ。結局やりたい曲が多すぎてアルバム2枚になってしまったんだけど。
――他にも候補になった曲があったら教えてください。
ジョセフ:うーん、あえて次点を挙げるとすると「In My Life」かな。でも候補はもうホントにたくさんあったんだ。ひょっとしたらベートーベンの第九のフォークバージョンなんかだって入ってたかも(笑)。
――今回ピアノを弾いているのは、以前からのパートナーであるデヴィッド・ハリスですね。
ジョセフ:彼とは家族ぐるみで付き合っていてすごく仲がいいんだ。15年近く前だったかな、ビル・チャンプリンに声をかけられてセッションに参加したときに出会ったのが最初で、それ以来何度も一緒にセッションをやってきた仲間なんだ。彼はむしろプロデューサー寄りの人で、クリスチャンミュージックの世界ではかなりの大物なんだよ。ピアノ一台でなんでもこなしちゃう人で、今回もコンセプトをちょっと説明しただけで、すべてうまく処理してくれた。素晴らしいミュージシャンだよ。
――このアルバムには様々なジャンルの曲が集められているし、お父さんのジョン・ウィリアムズも含め、多方面からいろいろな音楽に影響を受けてきていると思いますが、その中であなたの音楽の核になっているのは何ですか?
ジョセフ:クラシックと映画音楽だね。とくに映画音楽。映画音楽ってメロディが重要だからね。ジャズの影響が大きいだろうってよく言われるんだけど、もちろんジャズも聴いていたし、家の中には常にジャズがあったよ。でもやっぱりもっとメロディを重視したもの、映画音楽などの影響が大きいと思う。
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