羊たちの回想：メリーのツアー総括（6）

関東シリーズを終了したメリーの一行が次に目指した方角は北。ご存知の通り、札幌ではメリーのライヴに清春がゲスト出演し、さらに翌日に同じ会場で行なわれた清春のライヴにはガラが登場するという“事件”も発生するなど、連夜、熱いステージが繰り広げられていたわけだが、さすがにこの時期の青森や北海道は寒い。5人の間で、あるものが流行し始めていたことに、実はみんな気付いていたのかもしれない。

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12月12日（水）青森・QUARTER
12月14日（金）札幌・ペニーレーン24

――そしてツアーは北へ。青森に向かう車中のテツ君から“鼻水ずるずる”というメールが届いたとき、バンド内に風邪流行の兆しがあることを察知せずにはいられませんでしたが。

テツ：多分、俺自身の場合は一瞬の体調の崩れだったと思うんですよ。実際、そのあとはまったく大丈夫だったんで。本格的な風邪じゃなくて良かったな、と。でも、やっぱり寒かったですね。この時期の青森は。

結生：俺はしっかり風邪ひきました。しかもまさにその日に、青森に到着した瞬間に（笑）。

――青森でのライヴでは、最初のうちバラバラだったお客さんのノリが徐々に一体になっていくさまが気持ち良かった、という声が多かったように思います。

ネロ：そうですね。横浜とか、慣れてるファンの多い環境というか、すでに一体感が約束されてるような場所でのライヴの後だったんで、特に最初のうちはバラバラ感が気になりましたね。でも、要は、こっちがガッと行かないと反応もガッと返ってはこないっていう、実にアタリマエのことで。すべてに集中力をもって臨まなきゃ、ということを改めて感じました。あと、お客さんのノリがだんだんと揃ってくるのは見てて嬉しかったし、素直なお客さんだなと思いましたね。

テツ：すごくいいお客さんでしたよ、青森は。会場全体でライヴしてる、という実感があった。最初のうち出遅れてた人たちの歩調もだんだん合ってくるのが体感できる感じで。

ガラ：これまでの自分たちだと、お客さんが出遅れてたりするのを感じると、自分たちでもその雰囲気に飲まれてしまう傾向があったように思うんですよ。でも、今回のツアーはとにかく“攻め”だったんで。そういう意味では、“いつでも攻めの気持ちでいることの大切さ”を実感できたライヴだった。

ネロ：緊張感って大事な要素じゃないですか。実際、青森でのライヴのときは、開演前、吐きそうなくらい緊張してました。でも、演奏する側のいい緊張が伝わると、空気もいいものになる気がする。

――そして青森から北海道へとフェリーで移動して、まず函館で美味しいものを堪能（笑）。

ネロ：美味かったですね。ちょっとハシャいでしまいました（笑）。

――で、14日の札幌公演には清春さんが登場したわけですが。

ガラ：ゲストらしい扱いがまったくできてなくて、申し訳なかったです。どうしたらいいのかが、俺自身にもわかんなくて。本当は、自分は清春さんを立てなきゃいけない側じゃないですか。でも、本気でどうしていいかわらなかったんで、常に僕が前に立って歌ってしまってました（笑）。そこに清春さんのほうから絡んでくれて。ちょっと気を遣わせてしまったかなって反省してます。

――翌日は、同じ会場での清春さんのライヴにゲストとして登場。そこでは逆に「ゲストとしてもてなされた」と感じたわけですか？

ガラ：そうですね。だってほとんど俺が歌ってましたから（笑）。3曲やったんですけど、2曲は丸々俺が歌って、清春さんはコーラスとかをたまに入れてくる程度で。「あ、ゲストってこういうことなのか！」みたいな（笑）。

――それもまた勉強になった、と。札幌も当然、寒かったはずですよね？　雪の降りまくってる写真が届いたのを憶えてますが。

結生：ライヴの前日は寒くて外に出たくなくて、ホテルにピザを頼みました。みんなはどこかに食いに行ってたの？

ネロ：いや。俺も出歩きたくなかったからコンビニでテキトーに調達して（笑）。

健一：俺はラーメン食いに行ったけど。

テツ：寿司を食いに行きましたね、俺は。

ガラ：俺もラーメンですね。いつも行くところがあるんで。まさにいつものコースですよ。ラーメン食べて、パチンコして……その後、マネージャー呼んでゲーセンで5000円ぐらい使いました（笑）。そういえば今回のツアー、オフの日はあんまりみんなで一緒にすごしてなかったですね。多分それは偶然じゃなくて、どこかで緊張感を欲してたことの現われだと思う。ライヴの前に和気藹々としてるんじゃなくて、だんだんと戦闘モードになっていくような感じが欲しかったんですよ。開演が近づくほどに、まわりの人たちが楽屋にいたくなくなるような……。そういう空気を＃4では求めたいなと思ってて。

増田勇一