ルースター、『サークルズ・アンド・サテライツ』特集 INTERVIEW編
──ここ2、3年、デビューした中で、ルースターは最も成功したバンドの1つだと思いますが、デビューしてから今日までを振り返ると、まずどんなことを感じますか?
ベン・スミス(B、以下ベン):なかなかいい気分だよ(笑)。最も成功したかどうかは分からないけど、確かにこの上もないチャンスをもらえたとは思うし、そこから学んで、成長できたとも思う。新作を作ったことで、今はまた、1からスタートするんだという気持ちでいるよ。
──成長できたというのは、どういう部分で?
ニック・アトキンソン(Vo、以下ニック):ちょっと背が伸びたよ(笑)。いや、俺達、確実にプレイヤーとして成長したよ。俺の場合は、より力強い声を出せるようになった。それに音域も広がった。だからこそ、新作は前作以上の作品、たとえば世の中でベストと言われているアーティストと競い合えるような作品にしたいと思えたんだ。
──地に足がついているというか、ある意味、自分達の成功に対して、すごく謙虚ですよね。これまで成功したことに浮足立つようなことはなかったんですか?
ニック:なかったよ。逆に状況が悪化したときほど、クレイジーになるんだよ。LAで新作をレコーディングしているとき、3日も待ちぼうけを食らわされて、思わず“もう待てない。今すぐレコーディングさせろ!”ってキレちゃったんだけど、その10分後には自分の行動を恥ずかしいと思ったよ。俺達、成功なんて、あっという間に消えてしまう儚いものだって分かっているんだよ。それはルースター以前にやっていたバンドがブレイク寸前までいったにもかかわらず、最後の最後に何も起こらなかったってことを経験しているからなんだけどね。
デイヴ・ニール(Dr、以下デイヴ):これまでいろいろな有名人に会ってきたけど、たとえばロバート・プラントなんかはさ、俺達にとって神様みたいな人なんだけど、パブで一緒に酒を飲んだり、サッカーの話で盛り上がったりさ、本当に普通の人なんだ。決して、“レッド・ツェッペリンはさぁ”みたいな自慢話はしない。そういう姿を目の当たりにしちゃうとね。もちろん、中には“ああいう風にはなりたくない”って人達もいたけど、俺達としてはやっぱりルースターっていい連中だよなって思ってほしいからさ(笑)。
ニック:ただ、ツアー中のリクエスト・リストはちょこっとだけ長くなったかな。これまでは水とビールだけあればよかったけど、今はそこにシャンパンが加わったよ(笑)。
──なるほど(笑)。ところでさっきの話ですが3日も待ちぼうけって?
ニック:歌入れ待ちだったんだけど、もうレコーディングの最終段階で、とにかく家に帰りたかったんだよ。それにもかかわらず、やらなきゃいけないことが山ほど残ってて、自分のパートを録りおわるまでは帰れないって現実を受け入れられなかったんだ。それでキレちゃったんだ。だけど、“どうかしてるぞ”って3人に諭されて、“確かにどうかしてた。ごめん”って(笑)。