アークティック・モンキーズ、大熱狂のスタジオコースト速報レポ!

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“2000年代きってのロックスター誕生!”。その予感は、昨年11月の代官山ユニットのライヴの時に早くもあった。若さにまかせた骨太でエネルギッシュなバンド・グルーヴ。その喧噪の中、シャウトこそしながらも、ひとりポツンと醒めた目線で会場を見つめるフロントマンのアレックス・ターナー。20歳そこそこにして、この大胆不敵なオーラは醸し出そうとしても、なかなか生み出せるものではない。“古くからの仲間との断ち難いケミストリーと、カリスマ性の強いフロントマンの存在”。思えば、ビートルズやストーンズの時代から、こんなマジックを偶発的に持っていたバンドこそが、少年たちを憧れさせていたものだ。そんな、限られたバンドだけが持つ資質をアークティック・モンキーズは早くも垣間見せていた。そして、そんな“大器の予感”は、デビュー・アルバム発売わずか3ヶ月にして“本物”となった。シングル1枚だけで2公演を即完させた伝説の日本初ライヴから4ヶ月。今度は3,000人キャパの新木場スタジオコーストが完売。同日公演予定だったU2の来日延期も重なり、今回のジャパン・ツアーは日本の洋楽ロック・ファンの視線を一身に集める好環境に恵まれたのだ。

開場時から熱気ムンムンの会場をまるでリラックスさせるように、メロウ系ヒップホップの名曲、ウォーレンGの「レギュレイト」でステージに上がって来たアークティックの面々。ドラマーのマットは、なぜか頭が'80年代のエアロビ・ダンサーのよう出で立ちになっており、ちょっとおかしかった。そしてライヴは、すでに名作の誉れ高いデビュー作同様、「The View From The Afternoon」でスタート。アルバムの流れ同様、大ヒット・シングル「I Bet You Look Good On The Dancefloor」へと続き、早くも大合唱とダイヴの嵐が巻き起こる。

こんなに早くから、ここまでの熱烈歓迎を受けるバンドもそうは存在しないが、前回より格段にパワー、スピードともにアップしたグルーヴをライヴで聴けば、それも十分に納得できる。アルバムの完成度も素晴らしいが、まだライヴを見ていないのに彼らを判断している人は、1.5倍速のライヴ・ヴァージョンの方をぜひ耳にすべきだろう。彼らの演奏は年齢の割には優れているものの、決して完璧な“上手さ”ではない。だが、そんなことが全く気にならないのは、彼らがその“若さ”を“未熟さ”ではなく“若いからこそ放てる無限のエネルギー”に絶妙に転化させているからだ。

さらに、その独自の粗さに乗るのは“ドライヴィングなテンポ”“胸元にズシッと来る重さ”“一度聴いたら忘れられない、わかりやすいメロディ”といった、時代性を問う必要の全くない、優れたバンドたちだけが伝統的に持っていた普遍的なロックン・ロール・グルーヴなのだ。エアロスミス、グリーン・デイ、ミッシェル・ガン・エレファント……など、優れたライヴ・バンドと呼ばれて来た一流のバンドだけが持つ何かを、アークティックは無意識のうちに体得しているといえるだろう。

そして、そんな熱くなる一方のライヴでも、アレックスの目はやはり醒めたまま。以前よりも観客に対してフレンドリーになったものの、地面から足を離すことなく、やたらに長い曲名通りの、歌詞の持つストーリーを伝えることに徹しているかのようだ。その冷静沈着な姿も、演奏同様見逃せないポイントである。デビュー・アルバム1枚しか持たないゆえ、基本的にライヴにはまだ選曲の妙や構成の面白さはない。だが、後半に披露されたアルバム未収録の新曲がまた、新たな驚きの要素を見せてくれた。

新曲は、メロディ感覚、コード感覚、ともに1stアルバムにはなかった、職業作曲家のような上手さを持っていた。まるで、絶好調時のノエル・ギャラガー並の洗練されたロックンロールを感じることができたのだ。今の時点でこういう楽曲が書けている点に、このバンドの未知の可能性が垣間見え、ますますゾクゾクしてしまった。

そしてライヴはアルバムと同じ「A Certain Romance」で幕を閉じた。メンバーがステージを去り、これまたなぜか1970年代のカーリー・サhttp://219.101.193.152/?mode=util&action=distディストリビュータ管理イモンのムーディーな007主題歌「Nobody Does It Better」をBGに幕を閉じた。

かのホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトは、ライヴも見ないうちからアークティック・モンキーズの大ファンを公言している。アークティックには、決してジャックのような人間離れした天才的なパフォーマンスがあるわけではない。だが、そんなジャックでさえきっと羨んでしまうような“普遍的かつ大衆的な何か”がある。そして、それはアークティックのライヴにもあることは確かなのだ。

取材・文●沢田太陽
写真●YUKI KUROYANAGI

<arctic monkeys Japan tour 2006>
2006.4.4 TOKYO STUDIO COAST
SET LIST
THE VIEW FROM THE AFTERNOON
I BET YOU LOOK GOOD ON THE DANCE FLOOR
YOU PROBABLY COULDN'T SEE FOR THE LIGHTS BUT YOU WERE LOOKING
STRAIGHT AT ME
PERHAPS VAMPIRES IS A BIT STRONG BUT
FROM THE RITZ TO THE RUBBLE
CIGARETTE SMOKER FIONA
WHEN THE SUN GOES DOWN
RED LIGHT INDICATES DOORS ARE SECURED
STILL TAKE YOU HOME
DANCING SHOES
LEAVE BEFORE THE LIGHTS COME ON
MARDY BUM
FAKE TALES OF SAN FRANCISCO
A CERTAIN ROMANCE
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